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日本で使われるインフルエンザワクチンを網羅解説(2025/26シーズン)

日本で使われるインフルエンザワクチンを網羅解説(2025/26シーズン)

[2025.10.09]

日本の季節性インフルエンザワクチンは、大きく「不活化HAワクチン(注射)」と「経鼻弱毒生ワクチン(フルミスト)」、そして高齢者向けの「高用量HAワクチン(筋注)」があります。2025/26シーズン(令和7年度)は、標準の不活化HAワクチンが“3価(A/H1N1・A/H3N2・B〈ビクトリア系統〉)”に移行しています。厚生労働省


1. 種類と作用の違い(日本のラインナップ)

  1. 不活化インフルエンザHAワクチン(注射・皮下注)
  • 卵培養由来の「HA(ヘマグルチニン)」成分ワクチン。国内で長年使われている標準的なタイプ。
  • 2025/26シーズンは3価。1回0.5mL中、各株のHAを通常1株あたり15μg以上含有(成人用量)。JAPIC Pins+1
  1. 経鼻弱毒生インフルエンザワクチン「フルミスト点鼻液」
  1. 高用量インフルエンザHAワクチン「エフルエルダ筋注」(60歳以上)
  • 1株あたり60μgのHAを含む高用量製剤。60歳以上に0.7mLを筋肉内に1回接種。2024年12月承認、2025年1月発表。PMDA+1

2. 国内メーカー(製造販売)と主な製品名

  • デンカ(販売:アステラス)

    製品例:インフルエンザHAワクチン「生研」など(不活化・注射)。medical.mt-pharma.co.jp
  • 阪大微生物病研究会(BIKEN、販売:田辺三菱製薬)

    製品例:「ビケンHA」「フルービックHA/同シリンジ」(不活化・注射)。KEGG
  • KMバイオロジクス(販売:Meiji Seikaファルマ ほか)

    製品例:インフルエンザHAワクチン(不活化・注射)。
  • 第一三共

    製品例:フルミスト点鼻液(経鼻弱毒生ワクチン、販売:第一三共/ライセンス:アストラゼネカ系)。第一三共株式会社公式ウェブサイト
  • サノフィ

    製品例:エフルエルダ筋注(高用量HA、60歳以上、筋注)。sanofi.co.jp+1

※ 市場流通は年により供給バランスが変わります。2025/26の総供給見込みは約5,293万回分(HA+経鼻の合算換算)。厚生労働省


3. 規格・投与量・回数(日本の添付文書準拠)

不活化HAワクチン(皮下注)

  • 含量:0.5mL中、1株あたりHA 15μg以上(成人用量)。JAPIC Pins+1
  • 回数・用量(代表例)

    ・6か月以上3歳未満:0.25mL×2回(2~4週あけ)

    ・3歳以上13歳未満:0.5mL×2回(2~4週あけ)

    ・13歳以上:0.5mL×1回(必要に応じ2回可)

    いずれも皮下注射。KEGG

経鼻弱毒生ワクチン(フルミスト)

高用量HAワクチン(エフルエルダ、60歳以上)

  • 含量:1株あたりHA 60μg。
  • 投与:60歳以上に0.7mLを筋肉内に1回。PMDA

4. 接種経路と剤形の特徴

  • 不活化HA:日本の標準は皮下注。プレフィルドシリンジ(単回投与)やバイアル(多回投与)があり、添付文書に沿って使用。KEGG+1
  • 経鼻弱毒生:鼻腔噴霧で注射不要。第一三共株式会社公式ウェブサイト
  • 高用量HA:筋注のみ。PMDA

5. 添加物(チメロサール)について

  • 一部のバイアル製剤は保存剤としてチメロサールを含有。KEGG+1
  • 多くの単回投与用シリンジはチメロサール無添加(残液の再使用不可など取扱い注意)。実際の可否は各製品の添付文書で確認。厚生労働省

6. 年齢別の使い分けと選択肢

  • 6か月~:不活化HA(注射)が基本。
  • 2~18歳:注射に加え、フルミストという経鼻生ワクチンの選択肢あり(1回接種で完了)。適応年齢・禁忌に留意。第一三共株式会社公式ウェブサイト
  • 60歳以上:標準用量(皮下注)に加え、**高用量HA(筋注)**という選択肢が登場。心肺合併症リスクが高い高齢層での有用性データが蓄積。sanofi.co.jp+1

7. 標準的な価格の目安(自費)


8. 2025/26シーズンのポイント整理


9. よくある質問(安全性・卵アレルギー・同時接種)

  • 卵アレルギー:国内の不活化HAは卵由来成分に注意喚起があるため、重度アレルギー歴の確認と接種後観察を徹底。biken.or.jp
  • 副反応:注射部位反応、発熱、倦怠感などがあり得ます。経鼻では鼻症状(鼻閉・鼻漏)などが比較的多い報告。個々の製品の添付文書・IFに準拠。第一三共株式会社公式ウェブサイト
  • 同時接種:日本の予防接種実施要領や各製品の添付文書に従って判断(本稿では一般論のみ提示。実施時は最新の公式資料を確認)。

参考文献(エビデンス)


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