大人もかかる突発性発疹とは?症状・原因・治療を医師が解説
大人も突発性発疹になるの?
突発性発疹(Exanthem Subitum / Roseola Infantum)は、乳幼児に多いウイルス感染症ですが、大人にも発症することがあります。
成人例は多くがヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)または7型(HHV-7)の再活性化感染によるもので、まれに成人初感染で起こります。
成人が発症する原因は?
-
乳幼児期にHHV-6/7に感染後、体内で潜伏しているウイルスが再活性化することが多い
-
免疫力が低下する状況で発症しやすい
-
強い疲労やストレス
-
糖尿病や悪性腫瘍などの基礎疾患
-
免疫抑制薬内服中
-
妊娠・出産後
-
臓器移植後
-
-
成人初感染は稀ですが、乳幼児と接触が多い職種(保育士・小児科医など)で起こることがあります
大人の突発性発疹の症状は?
発熱期
-
38〜40℃の発熱が3〜5日間続く
-
咽頭痛、咳、鼻水、倦怠感、筋肉痛、頭痛などインフルエンザ様症状
-
リンパ節腫脹(後頸部・耳介後部)が見られることもある
発疹期
-
解熱直後〜翌日に、体幹を中心に紅斑性発疹が出る
-
顔や首、四肢に広がることもある
-
かゆみは軽度〜中等度
-
発疹は数日で自然消退
その他
-
軟口蓋にナギサ斑(赤い小斑点)を認めることがある
-
発疹が軽度または出ない「不全型」もある
どうやって診断するの?
-
典型的な経過(高熱→解熱直後の発疹)で診断が可能
-
血液検査では軽度の白血球減少やAST/ALT上昇を認めることがある
-
確定診断が必要な場合(移植後や免疫抑制例など)にはHHV-6/7 PCR検査を行うこともある
他の病気との見分け方(鑑別診断)
-
麻疹、風疹
-
EBウイルス感染症(伝染性単核球症)
-
パルボウイルスB19感染症(伝染性紅斑)
-
アレルギー性薬疹
-
COVID-19などのウイルス性発疹症
治療は?
-
健康成人では対症療法が基本
-
解熱薬(アセトアミノフェン)で発熱や頭痛を緩和
-
水分・栄養補給
-
-
かゆみがある場合は抗ヒスタミン薬を使用することもある
-
免疫抑制患者や重症例では抗ウイルス薬(ガンシクロビルなど)を検討する場合がある
予後と注意点
-
健康成人は予後良好で、1〜2週間以内に自然回復
-
免疫力が低下している場合は、重症化や長引くケースもある
-
高熱時は脱水に注意
【参考文献】
-
Yamanishi K, et al. Identification of human herpesvirus-6 as a causal agent for exanthem subitum. Lancet. 1988;1(8594):1065-1067.
-
Okuno T, et al. Human herpesvirus 6 infection in adults. Arch Intern Med. 1995;155(1):33-36.
-
日本感染症学会. 成人発疹症診療ガイドライン 2023年版
ひろつ内科クリニック受診予約はこちらから
https://wakumy.lyd.inc/clinic/hg08874