マンジャロってどんな薬?効果・副作用・費用を医師が解説
マンジャロとは?
マンジャロは、有効成分チルゼパチドを含む注射薬で、2型糖尿病や肥満症に対して血糖コントロールや体重管理を目的に使われることがあります。国内では保険診療と自由診療の両方で処方されますが、肥満症での保険適応には厳格な施設基準があります。
マンジャロの薬理作用
-
GLP-1受容体作動薬とGIP受容体作動薬の二重作用
-
食欲抑制と胃排出遅延作用による摂取カロリー減少
-
インスリン分泌促進とグルカゴン抑制による血糖降下作用
効果と使われるケース
主な適応
-
2型糖尿病の血糖コントロール
-
肥満症(BMI 35以上など一定条件下、保険適応あり)
研究報告
-
海外の臨床試験(SURPASS試験)では、HbA1cの低下と体重減少の両方が報告されています。
-
メタ解析では、GLP-1/GIP作動薬の使用が急性膵炎の発症リスクを有意に増加させない、むしろ低下傾向があるとの報告もあります(ただし症例による差異あり)。
-
国内データでも同様の傾向が示されています。
副作用と注意点
よく見られる副作用
-
吐き気、下痢、便秘、食欲低下
-
一過性の倦怠感
まれな副作用
-
急性膵炎(報告はあるが、近年の研究ではリスク低下傾向の報告もあり)
-
低血糖(特に他の糖尿病薬と併用時)
注意が必要なケース
-
膵炎の既往がある方
-
重度の胃腸障害を持つ方
費用の目安
-
保険診療:自己負担は用量や加算によって変動します。マンジャロを保険で使用する場合は、在宅自己注射指導管理料と導入初期加算(在宅自己注射指導管理料)が算定されます。用量が多い場合や導入初期は、3割負担でも月1万円を超えることがあります。
-
自由診療:当院の価格表はこちら → https://hirotsu.clinic/自由診療価格表
まとめ
マンジャロは、GLP-1とGIPの二重作用を持つ注射薬で、血糖コントロールや体重管理に使われます。従来懸念されていた急性膵炎リスクについては、近年の研究で必ずしも増加しない、むしろ低下傾向とする報告も出ています。費用は在宅自己注射指導管理料や加算によって変動するため、事前に医師と相談のうえ適切に使用することが重要です。
【参考文献】
-
Frias JP, et al. Tirzepatide versus Semaglutide Once Weekly in Patients with Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2021;385:503-515.
-
Zhou Z, et al. Association between GLP-1 receptor agonists and risk of pancreatitis: A systematic review and meta-analysis. Diabetes Obes Metab. 2024;26(1):12-21.
-
厚生労働省「糖尿病治療薬の適正使用に関する指針」2024年版