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防風通聖散はなぜダイエットに効くのか? “証”から考える漢方的な体質分類

防風通聖散はなぜダイエットに効くのか? “証”から考える漢方的な体質分類

[2025.07.13]

「漢方薬で痩せる」と聞いて、まず名前が挙がるのが防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)

いわゆる「痩せ薬」として市販でも人気がありますが、実はこれ、体質に合わなければ全く効きません

今回は、当院で自由診療として取り扱っている防風通聖散と五苓散を中心に、漢方的な“証”の考え方も交えて解説していきます。


防風通聖散が効くのは、こんなタイプ

防風通聖散は「実証(じっしょう)」と呼ばれる体質の方に向いています。

これは“体力があって、余分な熱や老廃物がたまっている状態”を意味します。

向いているタイプの特徴:

  • お腹まわりに脂肪がつきやすい
  • のぼせやすく、顔が赤くなる
  • 便秘気味
  • 食欲旺盛で、食べ過ぎやすい
  • 口が渇きやすい、暑がり
  • イライラしやすい

こうしたタイプは、体内の代謝が滞り、熱と水が詰まっている状態。

防風通聖散はこれらを排出し、代謝を促す処方として適しています。


向いていないタイプに使うと逆効果

一方で、以下のようなタイプの方には防風通聖散は合いません。

防風通聖散が不向きなタイプ:

  • 冷えやすく、疲れやすい
  • 胃腸が弱く、下痢しやすい
  • 食が細い
  • 尿が近く、むくみやすいがのぼせはしない

このような「虚証」タイプには、補う系の処方(例:防己黄耆湯、補中益気湯など)が合うとされています。

※当院ではこれらは取り扱っていませんが、知識として紹介しています。


当院で取り扱っている漢方:防風通聖散と五苓散

当院で自由診療として取り扱っている漢方薬は、防風通聖散と五苓散の2つです。

・防風通聖散(ツムラ62番)

→ 脂肪が多く、便秘がちで、のぼせ傾向のあるタイプ向け。

痩身目的での定期処方が多く、GLP-1製剤と併用される方も少なくありません。

・五苓散(ツムラ17番)

→ むくみ、頭重感、二日酔い、気圧変化による不調に。

利水作用を持ち、ダイエット補助や疲労・浮腫対策として用いるケースがあります。

「冷えのない水毒タイプ」には適しています。


実際の運用としては、問診をもとに簡便にご希望を伺うケースもあります。


防風通聖散の科学的エビデンス

  • Kamei T, et al. (2007)

     → 肥満成人に12週間投与し、体重・腹囲の有意な減少を確認

     Evid Based Complement Alternat Med. 2007;4(1):79–86.
  • Ito Y, et al. (2012)

     → 脂質代謝改善・炎症マーカー抑制など、内臓脂肪型肥満への効果を報告

     Phytomedicine. 2012;19(4):245–250.

防風通聖散は、単なる便秘薬ではなく、脂肪分解・抗炎症・利水の多面的な作用を持つことが科学的にも報告されています。


他の漢方との使い分け(知識として)

当院では防風通聖散・五苓散のみ取り扱っていますが、参考までに他の代表的処方も紹介します:

体質

処方

特徴

実証(熱+便秘+肥満)

防風通聖散

熱を取り、便を出し、代謝を促進

水毒(むくみ・頭重)

五苓散

利水作用、二日酔いやPMSにも

冷え+むくみ+疲労

防己黄耆湯

体を温め、水はけを改善

胃腸虚弱・食欲不振

六君子湯

胃腸を補い、栄養吸収改善

倦怠感・脱力

補中益気湯

気を補い、全身の活力を改善

 


自分に合う処方かどうかが、すべてを決める

「有名だから」「痩せると聞いたから」と使うと、逆効果になるのが漢方の難しさ。

当院では問診や既往歴の確認を通じて、安全かつ現実的な選択を心がけています。


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