「マンジャロって危ない薬?」という声に、医師として思うこと ~否定的な意見にエビデンスで向き合ってみた~
最近、SNSや口コミサイトなどで「マンジャロって危ない薬なんじゃないの?」「やめたほうがいいって聞いた」といったちょっとネガティブな声を耳にすることがあります。
当院でもマンジャロを使ったメディカルダイエットを導入していますが、これまでに数百人の患者さんに使用していただき、大きなトラブルなく、多くの方が健康的に痩せておられます。
それでも、「否定派」と呼ばれるような意見が出てくるのはなぜか?
今回は医師としての立場から、よくある疑問や誤解に対して、なるべくわかりやすく、科学的根拠(エビデンス)に基づいてお答えしてみようと思います。
「こんなに痩せる薬って逆に怖くない?」
たしかにマンジャロは驚くほど体重が落ちるお薬です。
2022年の大規模試験(SURMOUNT-1)では、平均で体重の20%前後も減少したという結果が出ています(※1)。これって、ある種の胃の手術に近い効果なんです。
ただし、怖いというよりは「それだけ効く薬が、ようやく出てきた」と考える方が正確です。副作用としては吐き気や下痢などの消化器症状が出ることはありますが、ほとんどが軽度で、飲み方を工夫すればコントロールできるものです。
「どうせリバウンドするんでしょ?」
これもよく聞かれますが、正直なところ、薬をやめれば体重が戻る可能性があるのは当然です。血圧の薬や糖尿病の薬だって、やめれば数値が悪化することがありますよね。
ダイエットも同じで、続けられる習慣づくりと、必要に応じた治療の継続がポイントになります。
実際の研究でも、マンジャロをやめると体重がある程度戻る傾向は見られました(※2)が、逆にいえば「確かに効果があるという証拠」でもあるわけです。
「供給が不安定でしょ?使わない方がいいのでは?」
たしかに2024年には一時的な出荷制限がありましたが、2025年現在、日本では供給体制は回復し、出荷制限は解除されています。
現場としては、安定して使える環境が整いつつあると感じており、実際に当院でも必要な患者さんに継続的にご提供できている状況です。
「高いし保険も効かないから、現実的じゃない」
たしかに、自由診療でのダイエット治療は保険診療とは違い、自費になります。ですが、それでも継続して利用される方が多いのは「費用以上の価値」を感じてくださっているからです。
体重だけでなく、血糖・脂質・血圧などの数値が改善したり、見た目や生活の質が向上したり。
「人生が変わった」とおっしゃる方も少なくありません。
じゃあ、なぜ“否定派”の意見が出てくるの?
個人的には、以下のような理由が背景にあると思っています。
-
情報の更新が追いついていない
→ GLP-1系薬の古いイメージのまま、最新の研究結果を知らないケースが多いです。 -
慎重すぎるあまりの拒否反応
→ 安全を大事にするのは医療の基本ですが、必要以上に恐れてしまうことも。 -
自由診療=怪しいという先入観
→ きちんと医師が診察している自由診療は、決して“なんでもアリ”ではありません。
最後に:必要な人に、適切に届けたい
マンジャロは、糖尿病だけでなく肥満という病態にも大きな変化をもたらす可能性のある、新しい世代の薬です。もちろん誰にでも使える薬ではありませんが、正しく使えば、多くの方の健康を支える力があります。
もし、情報の多さや意見の分かれ方に不安を感じている方がいらっしゃれば、どうぞお気軽にご相談ください。医師として、あなたにとって本当に必要かどうか、一緒に考えさせていただきます。
【参考文献】
※1. Wilding JPH et al. N Engl J Med. 2022;387:205–216.
※2. Jastreboff AM et al. NEJM. 2023;388:230–242.
当院のマンジャロ価格はこちら
https://hirotsu.clinic/
ひろつ内科クリニック受診予約はこちらから
https://wakumy.lyd.inc/clinic/hg08874