熱中症のあと、なぜか首が痛い? ― 大量の汗をかいた後に起こる「筋肉痛」の正体 ―
夏の暑さが厳しくなると増える「熱中症」。
「なんとか乗り越えたけど、翌日から首まわりがバキバキに痛む…」そんな経験はありませんか?
実はそれ、熱中症後の“脱水性ミオパチー”や筋クランプと呼ばれる現象かもしれません。
今回は、熱中症のあとに起こる「筋肉痛」、特に首まわりや肩周辺に感じる痛みについて、医学的に解説します。
大量発汗後の“筋肉痛”の原因とは?
1. 脱水と電解質異常による筋肉の異常収縮
熱中症では、大量の汗とともにナトリウム・カリウム・マグネシウムなどの電解質が失われます。
これにより、筋細胞の電気的な興奮が不安定になり、筋スパズム(こむら返り)や収縮痛が出現します。
特に、日常的に緊張している**僧帽筋や胸鎖乳突筋(首〜肩)**などは影響を受けやすく、
「首から肩にかけて鉄板のように張っている」「頭を動かすと痛い」と訴える方が多く見られます。
2. 筋繊維の微細損傷と炎症反応
高温下での活動により筋肉はオーバーワーク状態になり、筋繊維が傷つきます。
これに加え、酸素供給の不足や代謝産物の蓄積が重なることで、軽度の筋炎や筋膜炎のような症状が出ることもあります。
3. 姿勢性要因も重なる
暑さの中での不良姿勢(スマホ操作・うつむき姿勢)や、睡眠中の脱水なども加わり、
首まわりの筋緊張が高まりやすくなります。
放っておくと危険? それとも自然に治る?
ほとんどの場合、数日以内に改善しますが、以下のような場合は注意が必要です。
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筋痛が1週間以上続く
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首を動かすたびに激痛が走る
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発熱や脱力感を伴う
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血尿や尿量の減少がある
これらは、熱中症に伴う軽度横紋筋融解症の可能性もあるため、医療機関での評価が望まれます。
どう対処すればいい?
● こまめな水分+電解質補給
水だけでなく、経口補水液やスポーツドリンクで失われた電解質を補うことが重要です。
● 冷却と安静
炎症の兆候がある場合(熱感・腫脹)、局所の冷却と休息が効果的です。
● マッサージ・温熱療法は慎重に
炎症がある場合にマッサージや温熱を加えると悪化することもあるため、
数日安静にしてから行うのがベターです。
まとめ
熱中症後の首まわりの筋肉痛は、単なるコリではなく電解質の異常や筋炎が関与していることがあります。
軽視せず、十分な水分・電解質の補給と休息を心がけましょう。
気になる痛みや違和感が長引く場合は、お早めに医師へご相談ください。
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