オナラはどこから来て、どこに行くのか? ~腸内ガスの生成から排出までを医学的に徹底解説~
オナラはどこから来て、どこに行くのか? ~腸内ガスの生成から排出までを医学的に徹底解説~
[2025.07.21]
1. オナラとは何か?
オナラ(屁)は、肛門から排出される腸内ガスのことを指します。主成分は窒素・水素・二酸化炭素・メタン・酸素などの無臭ガスで構成されており、においの成分はごく微量の硫黄化合物(インドール、スカトール、硫化水素など)です。
2. オナラはどこから来るのか?
腸内ガスの発生源は主に3つあります:
(1) 飲み込んだ空気(aerophagia)
- 食事や会話中、無意識に空気を飲み込む行為
- ガスの主成分(窒素・酸素)はこの経路由来
- 主に小腸・大腸の上部で吸収され、残りが直腸へ
(2) 腸内細菌の発酵作用
- 大腸内で、**難消化性の糖質(FODMAPsなど)**が細菌によって発酵
- メタン、二酸化炭素、水素などが発生
- 特に Bacteroides、Clostridium、Methanobrevibacter smithii などが関与
(3) 血液から腸管内への拡散
- 体内で代謝されたガス(例:CO₂)が腸管へ移動
3. においの原因はなにか?
- においのあるオナラは、腸内細菌がタンパク質や硫黄含有アミノ酸(メチオニンなど)を分解することで生じます。
- 硫化水素(H₂S)やメチルメルカプタンなどが主な悪臭原因物質です。
- 特に肉類中心の高タンパク食や、便秘傾向のある人に強いにおいが生じやすいとされています【文献1】。
4. オナラはどうやって排出されるのか?
腸内で発生したガスは、以下のルートで体外に排出されます:
- 約75%が肛門から排出
- 残りは腸粘膜から吸収され、呼気として排出
- ゲップとして排出されるガスは胃より上のガスであり、腸内ガスとは別物です
5. オナラが多くなる原因とは?
- 食物繊維や難消化性糖質の摂取増加(例:玉ねぎ、豆類、乳製品)
- 早食いや炭酸飲料の摂取(空気の嚥下)
- 小腸内細菌異常増殖症(SIBO)
- 便秘(ガスの通り道が悪くなる)
6. 臨床的に問題となる「異常なオナラ」
- SIBO(小腸内細菌異常増殖症):異常な腹部膨満感や臭気が強くなる
- FODMAP過敏:過敏性腸症候群(IBS)との関係あり
- 膵外分泌不全・胆汁酸吸収不良:タンパク・脂肪の未消化により臭気増大
7. オナラとの付き合い方:予防と対策
- 食習慣の見直し:食物繊維と発酵性糖質をバランスよく
- 整腸剤・プロバイオティクスの活用(例:乳酸菌・ビフィズス菌)
- 運動と排便習慣の改善
エビデンス参考文献:
- Suarez F et al. “Identification of gases responsible for the odor of human flatus and evaluation of a device purported to reduce this odor”, N Engl J Med. 1998; 339(10): 654–659.
- Levitt MD. “Volume and composition of human intestinal gas determined by means of an intestinal washout technique”, N Engl J Med. 1971; 284(25): 1394–1398.
- Roberfroid M. “Prebiotics: the concept revisited”, J Nutr. 2007; 137(3 Suppl 2): 830S–837S.
- Pimentel M. et al. “The prevalence of SIBO in IBS patients”, Am J Gastroenterol. 2000; 95(12): 3503–3506.
- Barrett JS et al. “Dietary management of functional gastrointestinal symptoms”, Am J Gastroenterol. 2009; 104(2): 252–258.
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