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高血圧治療の最前線:最新ガイドラインに基づく降圧目標とは?

[2025.07.30]

「血圧が高いと言われたけど、薬を飲むべき?」「どこまで下げれば安心なの?」
そう感じたことはありませんか?

高血圧は日本人の約4,300万人が抱える“国民病”ともいえる疾患です。動脈硬化を進行させ、脳卒中や心筋梗塞、腎不全などのリスクを高めます。
本記事では、**最新の「高血圧治療ガイドライン(JSH 2019)」**に基づいて、降圧の目標や治療方針をわかりやすくご紹介します。


1. なぜ血圧を下げる必要があるのか

高血圧は長年にわたって血管に負担をかけ、脳卒中・心筋梗塞・心不全・腎不全などの発症リスクを高めます。
初期は自覚症状がほとんどないため、**「沈黙の殺人者(silent killer)」**とも呼ばれています。


2. 治療開始の目安と降圧目標

最新のガイドラインでは、以下のように血圧の分類と治療方針が示されています。

血圧分類(診察室血圧) 収縮期/拡張期(mmHg) 対応
正常血圧 <120 / <80 経過観察
高値血圧 120-129 / <80 生活習慣改善
正常高値〜I度高血圧 130-139 / 80-89 高リスクなら薬物療法も検討
II度以上の高血圧 ≧140 / ≧90 原則として薬物療法開始

また、治療目標血圧は以下のように設定されています:

  • 75歳未満の成人:<130/80 mmHg

  • 75歳以上の高齢者:<140/90 mmHg

  • 糖尿病・CKD・心疾患合併例:<130/80 mmHg(可能な限り)


3. 治療法:まずは生活習慣の見直しから

薬に頼る前に、以下のような生活習慣改善が強く推奨されます:

  • 減塩(1日6g未満が目標)

  • 適度な運動(週150分程度の有酸素運動)

  • 禁煙・節酒

  • BMI 25未満を目指す

  • ストレス管理

生活習慣改善だけでも、5〜10mmHgの血圧低下が期待できます。


4. 薬物療法の基本

それでも改善が乏しい場合は、薬物療法が選択されます。
第一選択薬として以下が挙げられます:

  • ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)

  • ACE阻害薬

  • Ca拮抗薬

  • 利尿薬

高齢者や合併症のある方は、2剤併用での治療も一般的です。


5. 「血圧を下げすぎても危ない」は本当?

近年の研究では、「血圧を下げすぎると脳灌流が悪くなる」などの懸念が示されたこともありますが、ガイドラインでは可能な範囲での厳格な降圧を推奨しています。特に心血管イベント予防の観点からは、130/80mmHg未満が安全かつ有効とされています(SPRINT試験など)。


まとめ

高血圧の治療は、「数値だけを見る」のではなく、「年齢」「合併症」「生活状況」に応じて個別に調整されます。
当院では、最新のガイドラインに基づいた治療を行いながら、患者さまの生活背景にも配慮した対応を心がけています。

「薬を飲むか悩んでいる」「最近、血圧が高めになってきた」
そんなときは、どうぞお気軽にご相談ください。


【参考文献】
・日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)
・SPRINT研究(NEJM 2015)
・日本循環器学会 生活習慣病予防指針2022


ひろつ内科クリニック受診予約はこちらから
https://wakumy.lyd.inc/clinic/hg08874

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