秋の科学的セルフケア ― 季節の変わり目を乗り切るために
はじめに
「夏の疲れが残って体が重い」「季節の変わり目で気分が不安定」――秋は体調の変化を感じる方が多い季節です。
一方で、「秋バテ」「なんとなくの不調」と片付けてしまうと、必要な対策を逃すことも。今回は科学的エビデンスに基づいた“秋のセルフケア戦略”をご紹介します。
1. 睡眠リズムを整える
ポイント
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就寝前90分の入浴(38〜40℃程度)で深部体温をコントロール
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ブルーライトを避け、読書やストレッチなどリラックス習慣を導入
エビデンス
温熱刺激による深部体温の低下が睡眠導入を促進することは、多くの臨床研究で報告されています【Okamoto-Mizuno K, 2012】。
また、就寝前のブルーライト曝露はメラトニン分泌を抑制し、入眠を妨げることが示されています。
2. 旬の食材を取り入れる
ポイント
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秋刀魚、鮭などに含まれるEPA/DHAで血管保護
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きのこ類のビタミンDで免疫調整
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根菜類の食物繊維で腸内環境改善
エビデンス
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魚油由来EPA/DHAは心血管イベントのリスク低下と関連【NEJM, 2019】
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ビタミンDは感染症予防効果を示すメタ解析あり【BMJ, 2017】
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食物繊維摂取は腸内細菌叢を改善し、炎症性疾患のリスク低下に寄与【Lancet, 2019】
3. 軽い運動で自律神経を安定
ポイント
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ウォーキングやヨガを週3回以上
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朝日を浴びながらの散歩でサーカディアンリズム調整
エビデンス
有酸素運動は心拍変動(HRV)を改善し、自律神経バランスを整えることが報告されています【Sloan RP, 2009】。
朝の光曝露は体内時計のリセット効果を持ち、睡眠の質を改善します。
4. メンタルケア
ポイント
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「ジャーナリング(日記)」や瞑想でストレスを可視化・軽減
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趣味や芸術活動でドーパミン・セロトニン系を刺激
エビデンス
マインドフルネス瞑想はストレスホルモン(コルチゾール)を低下させる報告が複数あります【JAMA Intern Med, 2014】。
芸術活動による精神的ウェルビーイング改善もWHOが報告しています。
まとめ
秋は「夏の疲れ」+「寒暖差」+「生活リズムの乱れ」が重なる季節。
科学的根拠に基づいたセルフケア――睡眠・栄養・運動・メンタルを整えることで、心身のバランスを取り戻すことができます。
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参考文献
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Okamoto-Mizuno K, Mizuno K. Effects of thermal environment on sleep and circadian rhythm. J Physiol Anthropol. 2012.
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Bhatt DL, et al. Cardiovascular risk reduction with icosapent ethyl. N Engl J Med. 2019.
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Martineau AR, et al. Vitamin D supplementation to prevent acute respiratory infections. BMJ. 2017.
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Reynolds A, et al. Dietary fibre and health outcomes: Lancet. 2019.
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Sloan RP, et al. Aerobic exercise and autonomic function. Psychosom Med. 2009.
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Goyal M, et al. Meditation programs for psychological stress and well-being. JAMA Intern Med. 2014.
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WHO. What is the evidence on the role of the arts in improving health and well-being? 2019.