無印医師が解説する「2025年秋冬の感染症」 インフルエンザ・コロナ・その他の流行見通し
正直に告白します。
私は「救急科専門医」も昨年末で失効し、内科専門医も持っていません。
学会にも所属していないので、世間的には肩書きゼロの**“無印医師”**です。
けれど、臨床の現場で29年間積み重ねてきた経験と、AIを使った情報収集を組み合わせることで、
今年の秋冬に患者さんが直面しそうな感染症の動向を、できるだけわかりやすく整理してみます。
1. インフルエンザの流行見通し
流行の開始時期と規模
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日本のインフルエンザ流行は例年12月下旬〜翌年2月がピーク。
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近年は流行開始が前倒しになる傾向があり、2025年も9月末〜10月初旬から増加が予測されています【国立感染症研究所, 2025】。
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南半球(オーストラリア)では今シーズンすでに大規模流行が確認されており、日本への波及が懸念されます。
ワクチンの効果
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発症予防効果は40〜60%程度にとどまりますが、**重症化予防効果は50〜70%**と報告されています【CDC, 2024】。
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特に高齢者・基礎疾患のある方・小児にとっては接種が重要です。
当院での対応
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当院としては、今年が開業後初めてのインフルエンザワクチン接種シーズンになります。
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すでに公官庁から100件規模の集団接種依頼をいただいており、社会的ニーズの高さを実感しています。
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接種は 9月下旬からリリース予定です。
2. 新型コロナ(ニンバス株 NB.1.8.1 を含む)
ニンバス株の特徴
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オミクロン派生株。2025年初頭に報告。
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WHO分類は「監視下の変異株(Variant Under Monitoring)」。
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感染力と免疫逃避はやや強いが、重症化率は従来株と同程度。
症状の特徴
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咽頭痛(いわゆる「カミソリ喉」)が注目される。
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英国のデータでは**感染者の74%が咽頭痛を訴え、そのうち強烈な痛みは約30%**にとどまる【UKHSA, 2025】。
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発熱・倦怠感・咳・鼻汁など、その他の症状は従来と大差なし。
ワクチンと治療薬
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ワクチン:発症予防効果は低下するが、重症化予防効果は維持【NEJM, 2024】。
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治療薬:パキロビッド®、ラゲブリオ®は依然として有効【厚労省, 2025】。
現場での印象
名前やキャッチーなフレーズが先行していますが、臨床的にはオミクロンの延長線と考えて差し支えない印象です。
3. その他の感染症
RSウイルス
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例年秋〜初冬に流行、小児で重症化しやすい。
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近年は流行開始が早まり、今年も9〜10月から増加が予測されています。
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乳児には抗RSウイルス抗体製剤(ナイセルガビ®)の使用が推奨。
アデノウイルス
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咽頭炎・結膜炎の原因。特効薬はなく対症療法。
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学校・保育園で集団感染が発生しやすい。
溶連菌感染症
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小児中心に流行。咽頭痛と発熱が特徴。
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2024年は全国的に大規模流行があり、2025年も注意が必要。
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放置するとリウマチ熱・腎炎などの合併症あり。抗菌薬治療が必須。
受診の目安
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高熱や強い倦怠感で日常生活に支障がある
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強い喉の痛みが続く
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基礎疾患があり感染で悪化が心配
こうした場合は、早めの受診をおすすめします。
無印医師のまとめ
私は専門医資格を一つも持たない“無印医師”です。
けれど、臨床一筋29年で培ってきた経験と見識は、肩書きが消えても失われるものではありません。
アカデミアで研究を積み重ねる先生方には深い敬意を抱いています。
私はそこに並ぶことはできませんが、AIと臨床経験を組み合わせ、患者さんにわかりやすく役立つ形で情報を伝える。
それが私にできる役割であり、無印医師としての誇りでもあります。
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https://wakumy.lyd.inc/clinic/hg08874
参考文献・エビデンス
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国立感染症研究所. インフルエンザの発生動向 (2025).
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CDC. Seasonal Influenza Vaccine Effectiveness (2024).
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UKHSA. COVID-19 variant technical briefing: Nimbus lineage (2025).
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New England Journal of Medicine. Omicron Subvariants and Vaccine Effectiveness (2024).
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厚生労働省. 新型コロナウイルス感染症の診療指針 (2025).