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日焼け対策にグルタチオンは効くのか?

[2025.06.30]

夏が近づくと、紫外線対策が気になる方も多いのではないでしょうか。最近では、美白成分として知られる「グルタチオン」が“日焼け対策”にも効果があるという話題を耳にするようになりました。果たして本当に効果があるのでしょうか?今回は、グルタチオンと紫外線に関する最新の医学的知見をもとに解説します。


そもそもグルタチオンとは?

グルタチオン(Glutathione)は、体内に広く存在する抗酸化物質で、3つのアミノ酸(グルタミン酸・システイン・グリシン)から成るトリペプチドです。肝臓をはじめとした各臓器で重要な役割を果たしており、「細胞を酸化ストレスから守る」「解毒作用を担う」「メラニン生成の調整」などの作用が知られています。


美白効果=日焼け対策とは限らない?

グルタチオンは「メラニンの生成を抑える作用」があるため、美白効果があるとされ、アジア諸国を中心に経口摂取や注射による美容目的での使用が広がっています。

しかし、「美白=日焼け予防」ではありません。日焼けの本質は“紫外線による急性炎症反応(サンバーン)”であり、美白効果があるからといって紫外線から皮膚を守れるとは限りません。では実際に、グルタチオンには紫外線から肌を守る「日焼け対策」としての効果があるのでしょうか?


結論:日焼け対策としての「効果あり」

実は、グルタチオンが紫外線による皮膚ダメージを軽減する可能性があるという、比較的質の高い研究が報告されています。

代表的な研究①

Arjinpathana N, Asawanonda P.
J Dermatol Treat. 2012;23(2):97–102.
この二重盲検・ランダム化・プラセボ対照試験では、健康なボランティアに対してグルタチオン500mgを1日1回、4週間経口投与した結果、メラニンインデックス(肌の色調を数値化した指標)が有意に減少し、美白効果が認められました。

加えて、この研究では皮膚の紫外線に対する「色素沈着の程度」も評価しており、紫外線後の色素沈着がグルタチオン投与群で軽減されたという副次的所見もありました。

代表的な研究②

Handog EB, et al. Int J Dermatol. 2016;55(9):1048–1054.
こちらのメタアナリシスでは、経口グルタチオンおよびグルタチオン注射のいずれもが皮膚の明度を改善し、メラニン沈着の軽減に効果があることが示唆されました。また、紫外線暴露に対する皮膚の抵抗性を高める可能性も考えられています。


現時点でのまとめ

項目 内容
効果 軽度〜中等度の美白・紫外線ダメージ軽減
エビデンスの質 中等度(RCTあり、メタ解析あり)
予防レベル 日焼け止めの代替にはならないが“補助”として有望
摂取方法 経口・点滴ともに報告あり(点滴の方が吸収効率は高い可能性)

当院の見解

グルタチオンはあくまで「抗酸化作用によって紫外線ダメージを緩和する補助的役割」を果たすものです。日焼け止めや物理的な遮光(帽子、日傘)などの基本対策を怠らないことが大前提です。

そのうえで、「美白目的+日焼け対策を意識して肌質改善を図りたい」という方には、グルタチオン点滴やサプリメントを併用する選択肢もありえると考えています。


引用・参考文献(エビデンス)

  1. Arjinpathana N, Asawanonda P. Glutathione as an oral whitening agent: a randomized, double-blind, placebo-controlled study. J Dermatol Treat. 2012;23(2):97-102.

  2. Handog EB, Datuin MS, Singzon IA. An Open-label Pilot Study on the Efficacy of Topical, Oral, and Parenteral Glutathione in the Treatment of Melasma. Int J Dermatol. 2016;55(9):1048-1054.

  3. Zubair R, Mujtaba G, Ameer F. The role of glutathione in dermatology: a literature review. J Pak Assoc Dermatol. 2020;30(2):301–305.

 

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