熱中症になったとき、経口補水液はどう飲む? 医師が教える正しい「飲用」方法
熱中症になったとき、経口補水液はどう飲む? 医師が教える正しい「飲用」方法
[2025.07.02]
はじめに
「熱中症になったらとりあえず水分補給」と言われますが、実は水だけでは不十分な場合があります。
特に**脱水が進んでいるときには、経口補水液(ORS)**が重要です。
でも、飲み方を間違えると、せっかくの経口補水液も効果が薄れてしまいます。
この記事では、熱中症時における経口補水液の正しい飲用方法を、医師の視点からわかりやすく解説します。
経口補水液とは?スポーツドリンクとの違い
経口補水液(ORS)は、水分と電解質(特にナトリウム)を効率よく体内に吸収させるために開発された飲料です。
スポーツドリンクとは以下のような違いがあります。
項目 | 経口補水液(例:OS-1) | スポーツドリンク |
|---|---|---|
ナトリウム濃度 | 約50〜60mEq/L | 約20mEq/L以下 |
ブドウ糖濃度 | 約2.5%前後 | 約5〜8% |
吸収速度 | 速い(腸管吸収がスムーズ) | やや遅い |
主な目的 | 脱水状態の回復 | 発汗による水分・エネルギー補給 |
つまり、発汗予防にはスポーツドリンクでもよいが、脱水症状が出てからは経口補水液が第一選択です。
熱中症時の「飲用」方法 ~正しい3つのポイント~
1. 喉の渇きに気づいた時点で飲むのは「やや遅い」
脱水は、喉が渇いたと感じる前から始まっています。
頭痛・吐き気・めまい・ふらつき・倦怠感などの症状が出た時点で、すぐに経口補水液の摂取を開始してください。
目安:最初に100〜200mLをゆっくり飲む
2. 一気飲みはNG。少量ずつこまめに飲むのが基本
経口補水液は腸からの吸収効率を最大化するために設計されています。
一気に飲んでしまうと吸収が追いつかず、下痢や胃もたれを起こすことがあります。
正しい飲み方:1回あたり50〜100mL、5〜10分間隔で少しずつ
3. 尿が出るまで継続的に飲む
適切に水分・電解質が補充されていれば、数時間以内に尿が出始めます。
もし経口補水液を飲んでも2〜3時間で尿が出ない、吐いてしまう、意識がぼんやりするなどがあれば、すぐに医療機関を受診すべきサインです。
飲用量の目安(成人の場合)
状態 | 飲用量(目安) |
|---|---|
軽度の脱水(汗が多い、ふらつき) | 500〜1000mL/日 |
中等度の脱水(倦怠感、頭痛、吐き気) | 1〜2L/日を目安に少量ずつ |
嘔吐や下痢もある場合 | 医療機関での点滴が優先されることも |
自家製経口補水液の作り方は?
市販のORSが手に入らない場合、自宅で簡易的に作ることも可能です。
■ 作り方(1リットル分)
- 水:1000mL
- 食塩:3g(小さじ1/2)
- 砂糖:20〜40g(大さじ2〜4)
- レモン果汁などで味を調える(任意)
※冷蔵庫で保管し、24時間以内に使い切るのが衛生上の原則です。
ただし、正確なナトリウム濃度が得られない可能性があるため、市販品のほうが推奨されます。
経口補水液を使う際の注意点
● 医療機関受診が優先されるケース
以下の症状がある場合は、飲用にこだわらず速やかな受診を:
- 意識障害、けいれん
- 嘔吐を繰り返して飲めない
- 高齢者で尿が出ない/元々腎機能が悪い
- 小児や高齢者でぐったりしている
● 高血圧・腎臓病のある方へ
経口補水液はナトリウムが高濃度に含まれているため、水分制限や塩分制限中の方は医師に相談してから使用してください。
まとめ
経口補水液は、熱中症時の「命を守る飲み物」です。
しかし、正しく飲まなければ十分な効果が得られません。以下のポイントを押さえてください:
- 喉が渇く前に飲み始める
- 一気に飲まず、少量ずつこまめに
- 尿が出るまで継続して飲む
- 重症症状があれば迷わず受診
エビデンス・参考文献
- 日本救急医学会 熱中症診療ガイドライン2022
- 大塚製薬 OS-1製品情報(https://www.os-1.jp)
- 厚生労働省「健康のため水を飲もう」推進運動
- WHO/UNICEF: Oral Rehydration Salts: Production of the New ORS
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