熱中症による頭痛ってどんなもの?総合的に解説します
夏になると、なんとなく頭が痛い…それ、もしかして熱中症のサインかもしれません。
今回は「熱中症による頭痛」について、内科医の立場からわかりやすく解説します。
熱中症の頭痛、実はよくある症状です
熱中症というと「めまい」「吐き気」「意識がぼんやりする」といった症状が有名ですが、頭痛も非常に一般的な症状です。
特に「軽度~中等度の熱中症(いわゆるI度・II度)」では、頭が重い・ズキズキする・締め付けられるように痛いといった訴えがよく見られます。
原因は何?なぜ熱中症で頭痛が起こるの?
熱中症による頭痛にはいくつかのメカニズムがあります:
1. 脱水による脳の血流不足
汗を大量にかくと、体内の水分と電解質が失われ、脳への血流が低下します。これにより頭痛が起こります。
2. 体温の上昇による炎症反応
高体温になると、全身の炎症反応が強くなり、脳の血管が拡張して頭痛を引き起こすことがあります。
これは片頭痛に似たメカニズムです。
3. ナトリウムの不足(低ナトリウム血症)
水だけを過剰に摂取し、塩分が補給されないと、血中ナトリウムが下がってしまい、頭痛・吐き気・けいれんを引き起こすことがあります。
こんな頭痛は要注意!
以下のような頭痛を伴う場合は、すぐに医療機関を受診してください:
-
意識がぼんやりする
-
吐き気や嘔吐が強い
-
ふらつきや脱力がある
-
大量の汗のあとに、急に汗が止まっている
-
首すじやこめかみにズキズキとした強い痛みがある
これらは**重症の熱中症(III度)**の可能性があり、迅速な対応が必要です。
予防にはどうしたらいい?
-
水分と塩分をセットで補給する(経口補水液・スポーツドリンクなど)
-
直射日光を避ける、帽子や日傘を使う
-
外出や運動時はこまめに休憩をとる
-
室内でも油断せず、冷房や扇風機で室温管理
また、軽い頭痛の段階で無理をしないことが非常に大切です。
「ただの頭痛」で済ませないで
夏の頭痛は、軽く見てはいけません。特に普段は頭痛のない人が突然の頭痛と倦怠感・めまいを感じたら、早めの水分・塩分補給と休息を。
症状が改善しない場合は、医療機関へ早めの受診をおすすめします。
まとめ
-
熱中症でも頭痛はよく見られる症状
-
原因は脱水・高体温・電解質の乱れ
-
重症化のサインを見逃さないように!
-
予防の基本は「水+塩分+休憩」
エビデンス・参考文献
-
厚生労働省「熱中症環境保健マニュアル2022」
-
日本救急医学会 熱中症分類および対応指針(2020年改訂)
-
Bouchama A, Knochel JP. "Heat stroke." N Engl J Med. 2002;346(25):1978-1988.
-
Epstein Y, et al. "Exertional heat stroke: pathophysiology, diagnosis, and treatment." Am J Med Sports. 1999.
ひろつ内科クリニック受診予約はこちらから