ニンバス株(NB.1.8.1)とは?咽頭痛は本当に「カミソリ喉」なのか
最近「ニンバス株(NB.1.8.1)」という言葉がニュースやSNSで取り上げられるようになり、不安を感じている方も少なくありません。特に「カミソリを飲み込んだような強烈な咽頭痛」という表現が目立ち、「これまでのコロナと違って危険なのでは?」と心配される方もいらっしゃいます。
しかし、現時点での科学的データを見ると、ニンバス株は**“名前が先行して話題になっている”**印象が強く、従来のオミクロン株と大きく異なる点は限定的です。この記事では、最新の知見を整理して解説します。
ニンバス株とは?新型コロナの新しい変異株
ニンバス株(NB.1.8.1)は、オミクロン株から派生した変異株です。WHO(世界保健機関)は「監視下の変異株(Variant Under Monitoring)」に位置付けています。
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発見時期:2025年初頭に各国で報告
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感染力:従来株に比べて感染しやすい可能性がある
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免疫逃避:ワクチンや過去感染で得た抗体をすり抜けやすい性質が指摘されている
ただし、重症化リスクが大幅に高いというエビデンスはなく、現時点では「重症度は従来のオミクロン株と同程度」と考えられています。
ニンバス株の症状の特徴:咽頭痛は本当に強い?
「カミソリ喉」と呼ばれる理由
ニンバス株では「喉の痛み(咽頭痛)」が目立つと報告されています。
一部の患者は「唾を飲み込むのもつらい」「喉を切られるような鋭い痛み」と表現しており、メディアが「カミソリを飲み込んだような喉の痛み」と報じたことで大きな話題となりました。
実際のところは?
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咽頭痛を訴える人の割合は7割以上と高頻度。
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ただし、痛みの程度は個人差が大きく、「喉はそこまで痛くないが頭痛が強かった」「倦怠感の方がつらかった」というケースも多いです。
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つまり「咽頭痛はよくある症状だが、必ずしも全員が激痛ではない」のが現実です。
他の症状との比較
ニンバス株で報告されている症状は、これまでのオミクロン株と大きく変わりません。
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発熱
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倦怠感
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関節痛
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咳
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鼻水
従来株と同様、軽症で経過する方が大半ですが、基礎疾患がある方や高齢者は注意が必要です。
感染力と免疫逃避の可能性
ニンバス株は「感染しやすい」「免疫をすり抜けやすい」と報告されています。
具体的には、スパイクタンパクの変異により抗体の効果がやや弱まる可能性があるとされています。
ただし、感染力が強い=重症化しやすい、ではない点は重要です。
重症化率や致死率が特に高いというデータは現時点でなく、他のオミクロン株と大きな違いはないとみられています。
ワクチンと治療薬の効果は?
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ワクチン:従来株に比べて発症予防効果は下がる可能性がありますが、重症化防止には依然として有効と評価されています。
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治療薬:抗ウイルス薬(例:パキロビッド®など)は引き続き効果があるとされています。
そのため、「新しい株だから治療法がない」という状況ではありません。
「名前負け」している?冷静な評価を
「ニンバス」という名前のインパクトや、「カミソリ喉」といった強烈なフレーズが先行していますが、実際の臨床現場では「症状はオミクロンと大きな違いはない」という印象を持つ医師も多いです。
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症状は軽症〜中等症が中心
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咽頭痛は特徴的だが、必ずしも全例で強烈ではない
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重症化リスクは従来と同程度
つまり、**「名前ほど特別なウイルスではない」**と考えてよいでしょう。
受診の目安
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強い喉の痛みが続く
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高熱や倦怠感で日常生活に支障がある
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基礎疾患があり、感染による悪化が心配
このような場合は、早めの医療機関受診をおすすめします。
まとめ
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ニンバス株はオミクロンの派生株で、感染しやすさはあるが重症化リスクが特に高いわけではない
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咽頭痛はよくみられるが、必ずしも「カミソリ喉」ほどの激痛ではない
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ワクチンや治療薬は引き続き有効とされている
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名前の印象にとらわれず、冷静な対応が大切
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