マンジャロと便秘・下痢の話:GLP-1で腸内環境はどうなる?
メディカルダイエットとして人気急上昇中の「マンジャロ(チルゼパチド)」。
食欲が抑えられること、血糖が下がること、体重が減ることはよく知られていますが、
実際に使ってみた患者さんからよく聞くのが、**「お腹の調子が変わった」**という声です。
今回は、マンジャロと腸の関係、便秘・下痢といった副作用の原因と対処法について、医師の立場から解説します。
マンジャロが腸に与える影響とは?
マンジャロはGIP/GLP-1受容体作動薬です。
とくにGLP-1受容体を刺激することで、以下のような腸の働きに影響します:
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胃排出のスピードを遅らせる → 食欲が落ちる(=食べる量が減る)
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腸のぜん動運動が抑制される → 便秘傾向になりやすい
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水分吸収のバランスが変わる → 下痢気味になる人も一部にいる
つまり、「食べたものが腸を進むスピード」が変わることで、便通にも影響が出るというわけです。
便秘になりやすいタイプとは?
当院でマンジャロを処方している患者さんのうち、2~3割程度が便秘を訴えます。
以下のようなタイプの方は注意が必要です:
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元々便秘がち(1週間に2~3回以下)
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水分摂取量が少ない
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食物繊維をあまり摂っていない
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マンジャロを使い始めたばかり
初回〜2回目の投与後に便秘が出やすく、時間とともに慣れていく方も多いです。
逆に下痢になる人もいる?
はい、実はいます。
特に以下のような場合には下痢傾向になることがあります:
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高用量(10mg以上)にアップした直後
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食事内容に脂質が多い
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元々過敏性腸症候群の傾向がある
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GLP-1の作用に強く反応する体質
当院では便秘>下痢の訴えの方が多いですが、どちらも起こり得る副作用として事前にお伝えしています。
対処法:便秘編
以下の方法でかなりコントロールできます:
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水分摂取を1日1.5〜2Lに増やす
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マグネシウム系の便秘薬(例:酸化マグネシウム)を併用する
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漢方(防風通聖散、大黄甘草湯など)を使うことも
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1回投与量の減量や間隔の調整も選択肢に
対処法:下痢編
下痢が強い場合には以下を試みます:
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油ものや食物繊維を控える
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整腸剤(ビオフェルミンなど)の併用
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漢方(半夏瀉心湯など)で調整する
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用量調整や一時的な休薬も検討
マンジャロは腸内環境を良くする?
GLP-1は「腸内環境を整えるホルモン」としても注目されており、一部の研究では腸内細菌叢(マイクロバイオーム)に良い影響を与える可能性も示唆されています。
ただし、あくまで個人差が大きく、「便秘や下痢がつらくて継続できない」となってしまっては本末転倒です。
腸の症状も含めて医師と相談しながら安全に継続することが大切です。
まとめ
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マンジャロ使用時は、便秘・下痢ともに起こりうる副作用
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水分、食事、薬の調整で大半の方は継続可能
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腸内環境改善の可能性もあるが、医師のフォローが前提
マンジャロによるダイエットをご検討の方は、まず医師と相談のうえ、安全に使いましょう。
当院ではマンジャロを中心に、患者さま一人ひとりに合ったオーダーメイドのダイエット治療をご提案しています。
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