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インフルエンザなのに「胃腸炎」と思い込んでいませんか?  ー腸炎と間違われるインフルエンザ―エビデンスで読み解く

[2025.06.09]

 

「嘔吐や下痢…これは胃腸炎?」実はインフルエンザかも

冬場や流行期に多いインフルエンザですが、「発熱+咳やのどの痛み」といった典型的な呼吸器症状に加え、嘔吐・下痢・腹痛などの胃腸症状が前面に出ることも珍しくありません。
特に小児では「胃腸炎と思っていたらインフルエンザだった」という例は意外と多いのです。


なぜインフルエンザで胃腸症状?

最新の大規模研究(メタ解析)によれば、インフルエンザ患者の約20~30%で何らかの胃腸症状(嘔吐・下痢・腹痛など)が見られることがわかっています¹ ²。
実際、インフルエンザウイルスは呼吸器だけでなく、腸(糞便)からも検出されることがあり、ウイルスが腸管にも影響を与える可能性が指摘されています¹。


腸炎とどう見分ける?―鑑別ポイント

インフルエンザによる胃腸症状と、ノロウイルスやロタウイルスなどのウイルス性腸炎は、症状が似ているため診断が難しい場合があります。
主な鑑別ポイントは以下の通りです:

  ウイルス性腸炎 インフルエンザによる胃腸症状
発熱 軽度またはなし 多くは38℃以上の発熱を伴う
呼吸器症状 ほとんど見られない 咳・鼻水・咽頭痛などを伴うことが多い
流行シーズン 年間を通じて 主に冬季(12~3月)
症状の持続 1~3日で軽快することが多い 1週間程度続くことも
検査 便のウイルス迅速検査 インフル抗原・PCR検査
治療 対症療法(整腸剤など) 抗インフルエンザ薬(発症48時間以内有効)

どんな時に注意が必要?

  • 高熱・強い倦怠感がある場合

  • 家族や学校でインフルエンザが流行している時期

  • 胃腸症状+呼吸器症状(咳や喉の痛み等)を認める場合

こうした場合は、胃腸炎と決めつけず、インフルエンザの迅速検査を検討しましょう。


「梅雨時期に多い」は根拠なし

2025年時点で、日本本土において「梅雨時期にインフルエンザによる腸炎症状が増加する」といった信頼できるデータ・論文はありません。
インフルエンザの流行は主に冬季が中心です。なお、沖縄県など一部の地域では夏季の流行もみられますが、全国的には例外的です²。


まとめ

  • インフルエンザでも約20~30%で胃腸症状がみられる

  • 冬季に**「胃腸炎かな?」と思っても、実はインフルエンザの可能性あり**

  • 呼吸器症状や高熱を伴う場合は、インフルエンザ検査もご検討ください


【エビデンス】

  1. Wang Y, et al. Gastrointestinal symptoms and fecal viral shedding in children with coronavirus disease 2019: A systematic review and meta-analysis. Front Pediatr. 2022;10:850536.
    → インフルエンザ患者の20~30%で胃腸症状、糞便中ウイルス検出率も約20%

  2. 国立感染症研究所 インフルエンザ流行マップ・週報(2023-2024)
    → 日本におけるインフルエンザの主な流行時期は12月~3月、梅雨時期の増加は確認されていない


(院長より一言)

「胃腸炎」だけでなく、インフルエンザでも嘔吐や下痢が起こります。迷ったときは、お気軽にご相談ください!

 

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https://wakumy.lyd.inc/clinic/hg08874

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