手足口病とは?大人にも起こる症状・治療・出勤の目安を医師が解説
夏から秋にかけて流行しやすい感染症として知られる「手足口病」は、子どもの病気というイメージが強いかもしれません。しかし実際には、大人でも感染することがあります。
この記事では、手足口病の基本的な特徴から、大人の場合の症状、治療の考え方、仕事を休む目安までを、医学的根拠に基づいて解説します。
手足口病とは
手足口病は、ウイルス感染によって起こる急性の感染症です。
主に小児に多く見られますが、保育や子守り、家庭内での接触を通じて、大人が感染することもあります。
日本では、毎年夏を中心に流行がみられ、秋口まで患者数が増える傾向があります。
原因となるウイルス
手足口病は、以下のようなウイルスが原因となります。
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コクサッキーウイルスA群
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エンテロウイルス71 など
これらのウイルスは、飛沫感染や接触感染、便を介した経口感染によって広がります。
主な症状
手足口病の症状は、次のようなものが典型的です。
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手のひらや足の裏の発疹・赤み
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指先や足底の小さな水疱
-
発熱(軽度〜中等度)
-
口の中の発疹や痛み(出ない場合もあります)
口内の発疹が出ないケースもあり、その場合は比較的軽症で経過することが多いとされています。
大人の手足口病について
大人の手足口病は、以下のような状況でみられます。
-
子どもや孫の看病・子守りをした後
-
家庭内での接触
小児と比べると、大人では症状が軽いことも多く、
発疹や軽い痛みのみで発熱を伴わないケースもあります。
一方で、手足の痛みや倦怠感が強く出る場合もあり、症状の程度には個人差があります。
感染性のある期間と出勤の考え方
日本の感染症対策の考え方では、手足口病は感染症法上の出勤停止対象には含まれていません。
感染性が高いのは、
-
発症前後から数日間
-
特に発熱や全身症状がある時期
とされています。
そのため、以下のような判断が一般的です。
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発熱や体調不良がある場合は出勤を控える
-
熱がなく、全身状態が良好であれば出勤は可能
無理をせず、体調を優先することが重要です。
治療について
手足口病に対して、原因ウイルスを直接排除する特効薬はありません。
治療は、症状に応じた対症療法が中心となります。
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皮膚の保湿
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かゆみがある場合:抗ヒスタミン薬の使用
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かゆみが強く日常生活に支障がある場合:短期間のステロイド外用を検討することがあります
-
痛みや発熱がある場合:解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)
多くの場合、自然経過で軽快していきます。
受診を検討した方がよい状況
次のような場合は、医療機関への相談を検討してください。
-
高熱が続く場合
-
手足の痛みが強くなってきた場合
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水疱が破れて赤く腫れ、二次感染が疑われる場合
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症状が長引く、または悪化している場合
予防のポイント
手足口病の予防には、日常的な感染対策が重要です。
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こまめな手洗い
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タオルや食器の共用を避ける
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発症している人との密な接触を控える
特に家庭内では、手指衛生が感染拡大防止の基本となります。
まとめ
-
手足口病は子どもだけでなく、大人にも起こります
-
大人では軽症で経過することが多い一方、症状には個人差があります
-
治療は対症療法が中心で、自然に軽快することが多い感染症です
-
発熱や体調不良がある場合は無理をせず休養を優先しましょう
正しい知識を持ち、落ち着いて対応することが大切です。
参考文献・エビデンス
-
厚生労働省「手足口病に関するQ&A」
-
国立感染症研究所 感染症発生動向調査
-
日本小児科学会 手足口病解説資料
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