健康診断で「白血球が低い」と言われたら ― 内科医が語る、再検査すべき“真の異常値”とは
健康診断で「白血球が少ない」と指摘された患者さんは、少なからず不安を感じるものです。
しかし実際のところ、白血球数が軽度に低下しているだけでは、必ずしも再検査や治療の対象とはなりません。
本記事では、医療現場で実際に使用されているガイドライン・エビデンスをもとに、白血球減少の見極めポイントと、再検査が必要なケースについて解説します。
白血球数(WBC)の基準値と「減少」と判断される数値
一般的な基準値は
3,500~9,000 /μL(施設により±500程度の差)です。
医学的に「白血球減少症(leukopenia)」とされるのは、以下のいずれかに該当する場合です:
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WBC < 3,000 /μL(確定的低下)
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WBC 3,000~3,500 /μL(境界域:経過観察や再検査の対象)
一過性の低下は「異常」ではない
白血球数は日内変動やストレス、ウイルス感染後の反応によって一時的に低下することがよくあります。
以下はよくある非病的原因です。
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ウイルス感染回復期(post-viral leukopenia)
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体質性白血球減少(benign ethnic neutropenia)
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薬剤(例:抗生物質、抗てんかん薬、免疫抑制剤)
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栄養状態・骨髄抑制(放射線・抗がん剤後など)
一方、慢性的な白血球減少や他の血球減少を伴う場合は、より注意が必要です。
再検査が必要とされる条件(医療現場の実際)
以下に該当する場合は、**血液内科的精査(血液像、自動分類、骨髄評価等)**を行う必要があります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| WBC < 2,500/μL | 明らかな異常。ほぼすべてのケースで再検査対象。 |
| 好中球数(ANC)<1,000/μL | 感染リスク上昇(好中球減少症:neutropenia)。 |
| 汎血球減少(白血球+赤血球+血小板低下) | 骨髄異形成症候群(MDS)や再生不良性貧血などを疑う。 |
| リンパ節腫脹・脾腫を伴う | 白血病やウイルス感染の可能性を含めて評価。 |
| 持続性(2回以上の低値確認) | 経時的に確認しても改善しない場合は、原因検索を行う。 |
これらは、日本血液学会ガイドラインおよび米国NCCNの指針に基づく判断基準です【1】【2】。
「要経過観察」とされたら何をすべき?
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1〜2か月後の再検査(血液一般+白血球分類)をまずは実施
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他の血球(赤血球・血小板)も同時に評価する
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薬剤歴、体重減少、寝汗などの「B症状」にも注意
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高齢者や既往歴のある方は慎重に評価
当院では、こうしたケースに対して迅速血算(CBC)、末梢血液像、感染症マーカー、自己免疫マーカーなどを組み合わせて、必要最小限かつ確実な診断を心がけています。
まとめ
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白血球がやや少ないだけでは、再検査不要なことが多い
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しかし、基準以下の持続、他の血球の異常、症状の併存がある場合は精査が必要
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一般的な体質的変動か、疾患の初期兆候かは、1回の検査では判別できないこともある
「放っておいて大丈夫?」と気になる方は、遠慮なくご相談ください。
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https://wakumy.lyd.inc/clinic/hg08874
【参考文献】
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日本血液学会 白血球減少の診療ガイドライン(2022年改訂版)
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National Comprehensive Cancer Network (NCCN). Clinical Practice Guidelines in Oncology: Myelodysplastic Syndromes. 2023.
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JAMA. 2022;327(14):1368-1376. "Approach to the Patient With Leukopenia."
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日本内科学会雑誌 Vol.111, No.2, 2022年「血球異常の評価指針」
