インフルエンザワクチン接種翌日に39℃発熱…ワクチンでインフルになる?検査陽性になる?
外来で頻繁にある質問
「ワクチンのせいでインフル陽性になったんですか?」
「ワクチンでインフルに感染したんですか?」
結論は
どのタイプのワクチンを打ったかで答えが変わります。
現在日本で接種可能なインフルエンザワクチンは
-
不活化ワクチン(皮下注射)
-
フルミスト点鼻液(経鼻弱毒生インフルエンザワクチン)
の2種類です。
まず最重要ポイント
● 不活化ワクチン(皮下注射)
→ インフルになることはない
→ 定性(迅速抗原)が陽性になることもない
● フルミスト(経鼻 生ワクチン)
→ 鼻粘膜でウイルスが一時的に増える
→ 接種直後〜数日間は迅速抗原が A も B も陽性になり得る
→ これは「ワクチン株のウイルス」が検出されている状態
この違いを理解すると、外来での “接種後陽性” の意味づけが一気に明確になります。
1. 不活化ワクチン(皮下注)について
(日本で最も広く使われているワクチン)
● ウイルスは完全に不活化されている
→ 体内で増殖しない
→ 感染を起こさない
● 構造的に迅速検査を陽性にしない
迅速抗原検査は
NP(核タンパク)抗原 を検出します。
不活化ワクチンには NP 抗原が含まれないため、
陽性の原因になることは起こりません。
◎ つまり
-
発熱は「副反応」であり得る
-
陽性は「自然感染」でしか説明できない
2. フルミスト点鼻液(経鼻弱毒生ワクチン)について
(第一三共より市販、満2歳〜19歳で使用可能)
フルミストは 生ワクチン(LAIV) のため構造がまったく異なります。
● 特徴
-
鼻腔に噴霧
-
ワクチン株 A型・B型が実際に鼻粘膜で一時的に増殖
-
粘膜免疫の誘導が主目的
● ここが最重要
接種直後〜数日間、ワクチン株由来の A・B ウイルスが鼻腔から検出されることがある
→ そのため
迅速抗原が A も B も陽性になることがある
これは「感染した」のではなく
ワクチンウイルスが鼻粘膜で複製して検査に引っかかっている状態。
● 症状
-
軽い鼻かぜ様症状(鼻水・咳・微熱)は起こり得る
-
いわゆる典型的なインフル(高熱+全身症状)とは別物
3. 実際の外来での整理
● 成人が職場で注射ワクチンを打った
→ ほぼ100% 不活化ワクチン
→ 39℃発熱は副反応として説明可能
→ 陽性なら自然感染(これ一択)
● 小児または思春期で「フルミスト」を投与していた
→ A・B両方の迅速陽性は起こり得る
→ ワクチン由来陽性か、自然感染かは経過+流行状況で判断
→ 高熱が続く/全身状態悪化 → 自然感染も鑑別
4. まとめ(完全版)
| ワクチン | 感染する? | 迅速抗原陽性? | 備考 |
|---|---|---|---|
| 不活化(皮下注) | しない | ならない | 発熱は副反応であり得る |
| フルミスト(生・経鼻) | “感染”とは異なるが鼻でウイルス増殖 | A・Bとも陽性になり得る | ワクチン株ウイルス検出 |
結論
-
不活化ワクチンでは陽性化は絶対に起こらない
-
フルミストでは陽性化が起こり得る(A・B両方)
-
成人の外来で「接種翌日39℃+陽性」なら
→ 不活化:自然感染で説明 -
小児でフルミストの場合は
→ ワクチン株陽性の可能性もあるので慎重に評価
参考文献(エビデンス)
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厚生労働省:インフルエンザワクチン情報
-
日本感染症学会 インフルエンザ診療ガイドライン
-
フルミスト点鼻液 添付文書(第一三共)
-
LAIV(Live Attenuated Influenza Vaccine)に関する国際的データ(CDC, WHO)
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