高血圧の薬、最初に選ばれるのはどれ?日本と欧米の最新ルールを比較
高血圧の薬、最初に選ばれるのはどれ?日本と欧米の最新ルールを比較
[2025.08.02]
そもそも「第一選択薬」って何?
高血圧の治療では、最初に使う薬(第一選択薬)がガイドラインで決まっています。
医師がなんとなく選んでいるのではなく、世界中で集められた研究データをもとに、学会が「この薬から始めるのが安全で効果的」とまとめているのです。
日本の最新ガイドライン(JSH2025)
2025年版の日本高血圧学会ガイドラインでは、5種類の薬が“最初に使える薬”として同じ扱いになりました。
- Ca拮抗薬(カルシウムの動きを抑えて血管を広げる薬)
- ARB(血圧を上げるホルモンの働きをブロック)
- ACE阻害薬(ARBと同じホルモンを別の経路で抑える)
- β遮断薬(心臓の負担や脈を抑える)
- 利尿薬(余分な水分や塩分を体から出す)
ポイント:
以前はβ遮断薬は特定の症状がある人向けでしたが、2025年からは他の薬と同列で使えるようになりました。
また、1種類で効果が足りなければ、**早めに2種類を組み合わせる(配合薬)**ことも推奨されています。
ヨーロッパ(ESC 2024)
ヨーロッパの考え方は少し違っていて、最初から2種類の薬を1つにまとめた配合薬でスタートするのが原則です。
- ACE阻害薬またはARB + Ca拮抗薬
- ACE阻害薬またはARB + 利尿薬(サイアザイド系)
β遮断薬は、心臓病や脈が速い症状などがある人に優先して使います。
アメリカ(ACC/AHA)
アメリカでは、今も2017年のガイドラインが基本です(2025年改訂版はまだ発表待ち)。
第一選択薬はこの3つです。
- ACE阻害薬またはARB
- 利尿薬(サイアザイド系)
- Ca拮抗薬
β遮断薬は、やはり特定の症状があるときに使います。
なぜ国ごとに違うの?
使われやすい薬が国ごとに違う理由はいくつかあります。
- 日本:塩分摂取量が多く、血管を広げるCa拮抗薬やARBが好まれる
- 欧米:肥満や心血管リスクの違いから利尿薬の使用頻度が高め
- 医療制度や薬の価格も影響
効果の差はあるの?
大規模な研究では、どの薬も血圧を下げる効果はほぼ同じです。
大事なのは「薬の種類」よりもしっかり血圧を下げ切ること。
そのため、1種類で足りなければ、早めに2種類以上を組み合わせます。
当院での考え方
ひろつ内科クリニックでは、最新のJSH2025に沿って、
- 年齢や腎機能
- 糖尿病・心臓病などの合併症
- 脈の速さや生活習慣
を総合的に見て、最初の薬を決めます。
必要に応じて早めに併用薬に切り替え、血圧を安全にコントロールします。
まとめ
- 日本の最新ルールでは、Ca拮抗薬・ARB・ACE阻害薬・β遮断薬・利尿薬が同じ立場で第一選択に
- ヨーロッパは「最初から2種類」が原則
- アメリカは現行では3種類(ACEi/ARB・利尿薬・Ca拮抗薬)
- どの国も「血圧を確実に下げ切る」ことを重視
【参考文献】
- 日本高血圧学会. 高血圧治療ガイドライン2025(JSH2025)
- 2024 ESC Guidelines for the management of arterial hypertension
- Whelton PK, et al. 2017 ACC/AHA Hypertension Guideline. Hypertension. 2018
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