痛風発作とは?― 尿酸の炎症反応を科学的に理解する
痛風発作とは?― 尿酸の炎症反応を科学的に理解する
[2025.11.06]
痛風発作のメカニズム
痛風は、尿酸ナトリウム結晶が関節内に沈着し、急性の無菌性炎症を引き起こす疾患です。
結晶がマクロファージに取り込まれると、NLRP3インフラマソームが活性化し、IL-1βが放出され、好中球浸潤によって激しい疼痛と腫脹を生じます。
典型的には**母趾MTP関節(足の親指の付け根)**に発作が起こります。
痛風発作の誘因
- 飲酒(特にビール・焼酎などプリン体含有が多いもの)
- 脱水(尿酸排泄低下)
- 高プリン食(レバー、魚卵、肉の脂身など)
- 手術・外傷・感染・ストレス
- 急激な尿酸値変動(特に急降下時)
痛風発作の診断
金標準は関節液中の尿酸結晶の確認です。
偏光顕微鏡で針状結晶を同定することが確定診断となります。
臨床的には以下の特徴があれば痛風発作が強く疑われます。
- 数時間以内に関節痛が急速に出現
- 1関節に限局した強い疼痛と発赤・腫脹
- 尿酸値が7.0mg/dL以上
- 発作間欠期には症状が完全に消失
**注意点:**発作時は尿酸が関節内へ移行するため、血中尿酸値が一時的に正常化することがあります。
急性痛風発作の治療
目的は炎症の抑制であり、尿酸値を下げる治療は発作が完全に治まった後に行うのが原則です。
(出典:日本リウマチ学会『痛風・高尿酸血症の治療ガイドライン第3版』2021)
急性期治療
- NSAIDs(非ステロイド系抗炎症薬)
- ロキソプロフェン、ナプロキセンなど。
- 腎障害・胃潰瘍リスクに注意。
- コルヒチン
- 発作初期(24時間以内)に0.5〜1mgを1回投与。
- 予防的少量投与(0.5mg/日)も可能。
- 副腎皮質ステロイド
- NSAIDs禁忌例にプレドニゾロン10〜30mg/日を短期間使用。
再発予防と尿酸コントロール
痛風の再発防止には、血清尿酸値を6.0mg/dL以下に保つことが目標です。
発作消退後に尿酸降下療法を開始します。
尿酸降下薬の分類と特徴
分類 | 代表薬 | 主な作用機序 | 特徴 |
|---|---|---|---|
キサンチンオキシダーゼ阻害薬 | フェブリク(フェブキソスタット)、ザイロリック(アロプリノール) | 尿酸産生抑制 | 尿酸生成を根本から抑える。腎機能低下例では用量調整が必要。 |
尿酸排泄促進薬 | ユリノーム(ベンズブロマロン)、ユリス(ドチヌラド) | 尿酸排泄促進(URAT1阻害) | 尿酸の再吸収を抑制し排泄を促す。ユリスは日本企業が開発した新しいURAT1選択的阻害薬で、肝機能障害の報告が少ない点が特徴。 |
ユリス(ドチヌラド)は住友ファーマ(旧:大日本住友製薬)とKisseiが共同開発した日本発の新薬で、2020年に承認。
従来薬に比べ、尿酸排泄促進と腎保護の両立が期待されており、エビデンスも増えつつあります(Clin Exp Nephrol 2021;25(9): 958–968)。
生活習慣での再発予防
- アルコールを控える(特にビール・焼酎)
- プリン体の多い食品を減らす
- 水分摂取:1日2L以上の尿量を維持
- 体重コントロール(BMI < 25目標)
- 尿酸値を定期的に測定(少なくとも年2回)
まとめ
痛風発作は「代謝異常による炎症性疾患」であり、正しい診断と尿酸コントロールで予防可能です。
ユリスをはじめとした日本発の新薬も登場し、治療選択肢は確実に進化しています。
発作を繰り返さないためには、薬物治療と生活習慣の両面での管理が鍵です。
参考文献
- 日本リウマチ学会. 痛風・高尿酸血症の治療ガイドライン 第3版, 2021.
- Yamanaka H, et al. Clin Exp Nephrol. 2021;25(9):958–968.
- Richette P, Doherty M, et al. Ann Rheum Dis. 2017;76(1):29–42.
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