インフル2025シリーズ #10(最終回) 2025年:インフルエンザ後に注意すべき 二次感染(肺炎・副鼻腔炎・心筋炎)まとめ
インフル2025シリーズ #10(最終回) 2025年:インフルエンザ後に注意すべき 二次感染(肺炎・副鼻腔炎・心筋炎)まとめ
[2025.11.14]
はじめに
インフルエンザ自体は発症から数日で改善することが多い一方、
発症後1〜2週間以内に「二次感染」や「合併症」が起こるケースが古くから知られています。
日本感染症学会・厚生労働省の資料でも、
インフルエンザ後に注意すべき病態として
- 肺炎
- 副鼻腔炎・中耳炎
- 心筋炎
- 脳炎・脳症(小児)
- 細菌感染全般
が挙げられています。
本記事では、2025年のインフルエンザ流行状況を踏まえつつ、
医学的に確認されている範囲だけを整理します。
1. インフルエンザ後の肺炎
(もっとも頻度が高い二次感染)
肺炎は 「インフルエンザ後にもっとも注意すべき合併症」 とされています。
1-1. 種類
肺炎は大きく2種に分かれます。
● ウイルス性肺炎
- インフルエンザウイルスが直接肺に炎症を起こす
- 呼吸苦・酸素低下が目立ちやすい
- 高齢者・基礎疾患のある患者は要注意
● 細菌性肺炎(いわゆる二次性細菌肺炎)
- インフル後の免疫低下で細菌が増殖
- 発熱がいったん下がった後に再上昇するのが特徴
- 肺炎球菌・ブドウ球菌などが原因となる
1-2. 受診すべきサイン
- 咳が増えて息苦しい
- 高熱が再度出る
- 胸が痛い
- SpO2低下(家庭用パルスオキシメータで確認できる場合)
- 高齢者で「動きが鈍い」「食事量が急に減る」
肺炎は 数日で急速に進行することがあるため、
「治ったと思っていたのに再発熱」が非常に重要です。
2. 副鼻腔炎・中耳炎
(上気道炎が残ったあとに起こりやすい)
インフルエンザの炎症で鼻腔〜咽頭の粘膜がダメージを受け、
細菌の二次感染として副鼻腔炎(蓄膿症)・中耳炎が起こることがあります。
2-1. 副鼻腔炎のサイン
- 黄色〜緑色の鼻水が続く
- 頬・眉間・歯の痛み
- 耳鳴り・頭の重さ
- 10日以上咳が続く(後鼻漏)
2-2. 中耳炎のサイン(特に小児)
- 耳を触る
- 強い耳痛
- 発熱が続く
- 夜間の急な泣き
耳鼻科領域の二次感染は「咳が長引く原因」になりやすいため、
遷延性咳嗽の鑑別として重要です。
3. 心筋炎
(まれだが重症化リスクがある)
インフルエンザ後には、ごく少数ながら 心筋炎 が報告されています。
3-1. 心筋炎が疑われる症状
- 動悸
- 胸痛
- 息苦しさ
- 立ちくらみ
- 倦怠感が極端に強い
- 少し動いただけで息が切れる
3-2. 検査が必要となるケース
- 心電図異常(ST-T変化、頻脈、不整脈)
- BNP上昇
- トロポニン上昇
- エコーで心機能低下
心筋炎は「インフルが治った後の違和感」が手がかりとなるため、
胸部症状のある患者では慎重に評価します。
4. 小児で特に注意すべき病態
(インフルエンザ脳症を含む)
小児では、インフルエンザ後に以下の病態に注意します。
● インフルエンザ脳症
- 意識障害
- 異常行動
- 意味不明の言動
- 嘔吐を繰り返す
- けいれん
特に 発熱から48時間以内の異常行動 は重要なサインとされています。
● 脱水
- 水分が取れない
- 尿量減少
- 訴えが曖昧になってくる
● 急性中耳炎
- 小児で高頻度
- 発熱の遷延や睡眠障害の原因に
5. インフル後の咳が長引く理由
(2025年の相談で急増)
2025年は 「インフル後の長引く咳」 の相談が増えています。
考えられる原因の例は以下です。
- 後鼻漏(鼻水が喉に落ちる)
- 副鼻腔炎
- 気管支の過敏性(咳喘息様)
- 細菌感染の遷延
- 体力低下・脱水
特に後鼻漏は、10日以上続く咳の最も一般的な原因とされており、
副鼻腔炎を疑うポイントでもあります。
6. 受診するべきタイミング(2025年版)
6-1. 同日受診が望ましい症状
- 発熱がいったん下がった後に再上昇
- 強い咳・呼吸苦
- 胸痛
- 動悸が強い
- 小児の異常行動
- 水分がとれない
- 嘔吐が続く
6-2. 早めの受診が推奨される人
(ガイドラインで重症化リスクが高い群)
- 高齢者
- 妊娠中
- 呼吸器疾患
- 心疾患
- 糖尿病などの基礎疾患
- 免疫低下状態
7. 最後に:インフルエンザは治ったようでも油断しない
インフルエンザの本体は数日で改善しても、
二次感染はその後1〜2週間の間に起こることがあります。
特に
- 再発熱
- 咳の悪化
- 胸部症状
- 小児の異常行動
- 高齢者の活動性低下
は受診のきっかけとして重要です。
本シリーズ(#1〜#10)は、
2025年のインフルエンザを「一般向けに」「エビデンスに基づいて」まとめたものです。
今後もガイドライン改訂・国内外データを随時反映していきます。
参考文献(エビデンス)
- 日本感染症学会 インフルエンザ診療指針
- 厚生労働省 インフルエンザQ&A
- 国立健康危機管理研究機構(旧NIID)
- 小児救急医学会 ガイドライン
- WHO/CDC Influenza Guidance
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