亜鉛不足のサイン——味覚障害・抜け毛・皮膚炎・傷が治りにくい、血液検査でわかる隠れた欠乏を内科医が解説
「味がわかりにくくなった」「髪が抜ける」「口内炎や皮膚炎を繰り返す」「傷の治りが遅い」——ばらばらに見えるこれらの症状に共通する原因として、近年注目されているのが亜鉛不足です。血液検査で分かり、補充で改善する、見落とされやすい欠乏症です。
亜鉛は何をしているか
亜鉛は体内で300種類以上の酵素の働きに関わる必須ミネラルで、味覚、皮膚や粘膜の再生、免疫、傷の修復、髪や爪の成長、精子の形成など幅広い役割を担っています。体内に蓄える仕組みが乏しいため、摂取が減るか排泄が増えると比較的早く不足します。
亜鉛不足で起こりうること
- 味覚障害——味が薄く感じる、金属味、何を食べてもおいしくない
- 皮膚炎・口内炎——口の周りや手足の皮膚炎、繰り返す口内炎、傷が治りにくい
- 脱毛、爪の白い斑点や変形
- 免疫低下で風邪をひきやすい、下痢
- 食欲低下、貧血(鉄と一緒に不足していることも)
- 男性の性機能低下、子どもの成長の遅れ
亜鉛が不足しやすい人
- 極端な食事制限・偏食・インスタント食品中心(加工食品は亜鉛が少なく、添加物が吸収を妨げることも)
- 高齢の方(摂取量の低下・吸収の低下)
- 肝臓の病気、腎臓の病気(透析)、糖尿病、炎症性腸疾患——排泄が増えるか吸収が落ちる
- 薬の影響——一部の降圧薬(ACE阻害薬・ARB)、利尿薬、抗菌薬、一部の抗リウマチ薬などは、亜鉛の排泄を増やしたり吸収を妨げたりすることがあります
- 妊娠・授乳中、アルコール多飲
検査と治療
血液中の亜鉛濃度は保険で測定できます。おおむね60μg/dL未満で亜鉛欠乏、60〜80μg/dL未満で潜在性亜鉛欠乏とされます(空腹時・午前中の採血が望ましく、食後は下がります)。不足があれば、まず食事(牡蠣・赤身肉・レバー・卵・チーズ・ナッツ・大豆製品)を見直し、症状が強い場合は亜鉛製剤(保険適用のあるものがあります)で補充します。過剰摂取は銅の欠乏や吐き気を招くため、サプリの自己判断での大量摂取は避け、医師の管理下で行うのが安全です。
受診の目安
- 味覚の異常が2週間以上続く
- 繰り返す口内炎・皮膚炎・脱毛、傷の治りが遅い
- 高齢・肝腎の持病・上記の薬を飲んでいて、上の症状がある
- 原因不明の食欲低下や下痢が続く
参考文献
- 日本臨床栄養学会「亜鉛欠乏症の診療指針2024」(日本臨床栄養学会雑誌 46巻4号、2024年)
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