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急に体重が増えた——ホルモンの病気を疑うサインと、検査を考える目安を内科医が解説

「体重が増えたので、ホルモンの病気ではないかと思って。内分泌の検査をしてほしいんですけど」

こういうご相談がじわじわと増えています。多くの方が、来院前にAIで調べていらっしゃいます。

以前、AIで調べてから来院される患者さんについて書いたことがあります。そのときの考えは今も変わっていません。調べてから来ていただけると、話の方向が最初からそろっているので、診察はむしろ速く進みます。

ただ、あれは「調べてくること自体をどう思うか」という総論でした。今日はもう少し踏み込んで、実際にこのご相談を受けたとき、こちらが何を見て検査を決めているのかを書いてみます。

体重そのものより、増え方を伺っています

診察でまずお聞きしているのは、体重の数字よりも「どう増えたか」のほうです。

いつごろから増え始めたのか。半年でどのくらいか。どこから太ってきたのか。体重以外に変わったことはないか。飲んでいるお薬は何か。

このあたりを一通り伺うと、内分泌の検査に進むべきかどうかは、かなり見えてきます。採血の項目を決めるのは、そのあとです。

検査を考えるのは、こういうとき

体重の増加が、ホルモンの異常のサインとして出てくることは確かにあります。

甲状腺の働きが落ちているとき。 この場合の体重増加はそれほど大きくないことが多く、むくみ、寒がり、だるさ、便秘、皮膚の乾燥などが一緒に出てきます。「太った」より先に「なんとなく調子が出ない」が来ることが多い印象です。

副腎のホルモンが過剰になっているとき。 頻度は高くありませんが、太り方に特徴が出ます。おなかまわりや顔、首の後ろに脂肪がつく一方で、手足はむしろ細くなる。おなかや太ももに幅の広い赤紫色の線が出る、あざができやすい、血圧や血糖が短期間に上がってきた——このあたりが重なるときは、検査を考えます。

女性で、月経が乱れている場合。 体毛やにきびの変化を伴うようなら、調べる価値があります。

お薬の影響。 ステロイド、一部の精神科のお薬、糖尿病のお薬の一部などで、体重が増えることがあります。お薬手帳を拝見するだけで説明がつくことも少なくありません。ご自身では気づきにくいところなので、こちらから確認しています。

いびきや日中の強い眠気があるとき。 睡眠時無呼吸のほうを先に調べたほうがよい場合もあります。

検査で「異常なし」と出たときに分かること

内分泌の検査をして、結果が正常だったとします。

これは「何も分からなかった」ではありません。ホルモンの病気が背景にあるわけではない、とはっきりしたということです。ここが決まると、次にどこを見ればいいかが定まります。

体重の変化には、生活側の要因が重なって起きているものも多くあります。生活が変わった記憶がなくても、通勤の手段が変わった、座っている時間が延びた、食事の時間帯がずれた——こうした小さな変化は、あとから振り返ってようやく見つかることがほとんどです。そして、こちらのほうが手の届く場所に原因があります。

検査は、その順番を決めるためのものだと思っています。

AIは可能性を並べるのが得意で、確率を配るのが苦手

AIに「体重が増えた 原因」と聞けば、甲状腺の病気も副腎の病気も、きちんと候補に挙がってきます。並べ方としては正確です。抜けがない。

ただ、そこには「そのうちどれが、どのくらいありそうか」という重みがついていません。まれな病気と、よくある要因が、同じ大きさで並びます。読んで不安になるのは自然なことだと思います。

診察でやっているのは、たぶんその重みをつける作業です。目の前の方の話を伺って、並んだ候補に確率を配り直す。ここはまだAIに置き換わっていない部分だな、と最近よく感じます。

だから、調べてから来ていただくので大丈夫です。並べるところまではAIがやってくれているので、答え合わせを一緒にやりましょう。

受診の目安

  • 体重の増加に加えて、むくみ・寒がり・だるさ・便秘が続く
  • おなかや顔まわりに脂肪がつく一方で、手足は細くなってきた
  • おなかや太ももに幅の広い赤紫色の線が出てきた
  • 血圧や血糖が短期間に上がってきた
  • 月経の乱れ、体毛やにきびの変化を伴う
  • 新しく飲み始めたお薬がある
  • いびきが強い、日中の眠気が強い

まとめ

  • 体重の増加でホルモンの病気が見つかることはあり、甲状腺や副腎などが候補になります
  • 診察では体重の数字よりも「いつから・どのくらい・どこから増えたか」を伺い、そこから検査を決めています
  • 検査が正常だったときは「何も分からなかった」ではなく、次にどこを見るかが定まったということです
  • AIは可能性を漏れなく並べてくれますが、どれがどのくらいありそうかという重みまでは示しません。そこを一緒に整理するのが診察です

参考文献

  • 日本内分泌学会 甲状腺機能低下症・クッシング症候群に関する診療情報
  • 日本甲状腺学会 甲状腺疾患の診断に関する情報
  • 各種医薬品の添付文書(副作用としての体重増加に関する記載)
  • 睡眠時無呼吸症候群に関する診療情報

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https://wakumy.lyd.inc/clinic/hg08874

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