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スマートウォッチの健康機能、どれが「医療機器」でどれが「ウェルネス」か——承認マップを内科医が解説

スマートウォッチやイヤホンには、心電図、血圧、血中酸素、睡眠、聴覚のサポートなど、健康に関わる機能がどんどん増えています。とても便利ですが、ここで知っておいてほしい大事な区別があります。それは、その機能が「国(薬機法)に医療機器として承認されたもの」なのか、「あくまで健康管理の参考にとどまる、ウェルネス機能」なのか、という点です。同じ「血中酸素」でも、機種や機能によって位置づけがまったく違います。内科医の視点から、機能別に整理します(承認の情報は、一次情報にもとづいて確認しています)。

まず大前提——「医療機器」と「ウェルネス」は何が違うのか

日本では、体の状態を測って医療に使う機器やプログラムは、薬機法(医薬品医療機器等法)にもとづいて、国の承認・認証を受ける必要があります。承認された「医療機器プログラム」は、精度や安全性について一定の基準を満たしていることを意味します。

一方、「ウェルネス機能」は、そうした承認を受けていない、健康づくりの参考のための機能です。これは悪いものという意味ではなく、「日々の傾向を知る」目的には十分役立ちます。ただし、その数値だけで病気を判断するものではない、という前提で使うことが大切です。

心電図(ECG)——日本で医療機器として承認されています

手首で心電図(心電図アプリ)を記録し、脈のリズムを調べる機能は、日本でも「家庭用心電計プログラム」などとして医療機器の承認を受けています。代表的なものを、承認された時期とともに挙げます。

  • Apple Watch:2020年9月に承認され、日本では2021年1月から心電図アプリと不規則な心拍の通知が使えるようになりました。
  • Garmin:2025年4月から、日本国内でも心電図(ECG)機能が正式に使えるようになりました(対応は上位モデル)。
  • Google Pixel Watch:2025年に日本での承認が取得され、心電図機能が使えるようになりました(それ以前の国内モデルでは使えない状態でした)。
  • HUAWEI:一部のモデルが承認されています。

これらは、脈の乱れ(とくに心房細動の可能性)に気づくきっかけとして役立ちます。ただし後述のとおり、通知=診断ではありません。

聴覚(ヒアリング補助)——AirPods Pro 2 が医療機器として承認

意外に思われるかもしれませんが、聴覚のサポート機能も医療機器の対象です。AirPods Pro 2の「ヒアリング補助」機能は、日本で薬機法上の管理医療機器として承認を受けています。日本では制度上の区別から「補聴器」ではなく「ヒアリング補助機能」という呼び方で提供されています。ここで大切なのは、医療機器である「補聴器」と、家電である「集音器」は別物だということです。聞こえの相談は、機器の種類による違いも含めて、医療機関で相談できます。

血圧——カフ(腕帯)のある一部の製品のみ医療機器です

血圧については、注意が必要です。血圧を正しく測るには、腕を圧迫して測る「カフ(腕帯)」の仕組みが基本で、医療機器として認証されているウェアラブル血圧計(たとえばオムロンの腕時計型血圧計)は、このカフを備え、一般的な血圧計と同じ方式(オシロメトリック法)で測っています。一方、カフを使わずに手首のセンサーだけで血圧を「推定」するタイプは、位置づけや扱いが異なります。血圧の測定は、機種によって承認の状況が大きく違うため、別の記事であらためて詳しく整理します。

血中酸素(SpO2)——多くは「ウェルネス」扱いです

スマートウォッチの血中酸素(SpO2)機能は、日本では多くが医療機器の承認を受けておらず、フィットネス・ウェルネスの範囲での利用を目的としたものです。実際、ある大手メーカーも「病気の診断や治療を目的としたものではない」と明言しています。指先で測る医療用のパルスオキシメーターとは、測定のしやすさや精度の位置づけが異なります。日々の傾向をみる参考にはなりますが、数値が気になるときは、医療用の機器での確認が必要です。

睡眠スコア・心拍変動(HRV)・歩数など——基本はウェルネス

睡眠スコア、心拍変動(HRV)、歩数、消費カロリーといった指標の多くも、健康管理の参考としてのウェルネス機能です。生活習慣を振り返る手がかりとしては有用ですが、「スコアが低い=病気」と直結するものではありません。これらの読み方や、どんなときに受診を考えるかは、指標ごとに別の記事で解説していきます。

「海外では承認・日本では未承認」という機能もあります

同じ製品・同じ機能でも、国によって承認の状況が違うことがあります。海外(たとえば米国)では医療機器として認められていても、日本ではまだ承認されていない機能や、日本のモデルでは使えないようになっている機能があります。「海外のニュースで見た機能が、手元の日本版では使えない」ということが起こるのは、このためです。

医療機器として承認されていても「診断」ではありません

ここがいちばん大切な点です。心電図のように医療機器として承認された機能であっても、それは「診断」そのものではありません。あくまで、異常に気づく“きっかけ”を与えてくれるものです。たとえば「心房細動の可能性」という通知が出ても、本当に不整脈があるのか、治療が必要なのかは、医療機関での検査(たとえばより長時間記録するホルター心電図など)で確かめる必要があります。ウェルネス機能の数値であればなおさら、参考値として受け止めるのが適切です。

まとめ

スマートウォッチの健康機能は、「薬機法で承認された医療機器」と「ウェルネス機能」に分かれます。日本では、心電図(Apple Watch・Garmin・Pixel Watch・HUAWEI一部)や、AirPods Pro 2の聴覚補助が医療機器として承認されています。血圧はカフを備えた一部の製品が医療機器で、血中酸素や睡眠スコアなどは多くがウェルネス扱いです。そして、承認済みの機能でも「診断」ではない、という点は共通しています。通知や気になる数値が出たときは、その値だけで判断せず、記録したデータを持って医療機関にご相談ください。当院でも、こうしたデータの受け止め方についてご相談いただけます。

(当院では、心電図の所見〔早期再分極、左軸偏位など〕の読み方についても解説記事を公開しています。あわせてご覧ください。)

参考・一次情報

  • 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「プログラム医療機器の承認等情報」(PMDAサイト
  • 各メーカーの公式発表(Apple/Garmin/Google/HUAWEI/オムロン ほか)

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https://wakumy.lyd.inc/clinic/hg08874

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