ビタミンD不足——日照が減る秋冬に知っておきたい骨・筋肉・免疫との関係、測定と補充の考え方を内科医が解説
日照時間が短くなる秋から冬にかけて、体内のビタミンDは目に見えて減っていきます。ビタミンDは「骨のビタミン」として知られますが、筋力・転倒予防・免疫との関係も分かってきており、日本人の多くが不足していることが調査で示されています。測定と補充の考え方を整理します。
ビタミンDはどこから来るか
ビタミンDの主な供給源は、食事より日光(紫外線B波)を浴びた皮膚での合成です。夏なら1日15分程度の日光で十分作られますが、秋冬は太陽が低く紫外線が弱いため、同じ時間でも合成量は大きく減ります。日焼け止め・屋内中心の生活・高緯度・肌の色の濃さも合成を減らします。食事からは、鮭・サバ・イワシなどの魚、きのこ(干し椎茸)、卵黄に含まれます。
不足で何が起きるか
- 骨——カルシウムの吸収が落ち、骨密度が下がる。高齢者の骨折リスク、子どもではくる病
- 筋肉——筋力低下、転倒しやすさ(高齢者で特に問題)
- 免疫——呼吸器感染症との関連が報告されていますが、「補充で風邪を防げる」と言い切れる段階ではありません
- 気分の落ち込みや倦怠感との関連も研究されていますが、因果関係はまだ確定していません
測定の意味
血液中の25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)を測ります。日本の目安では、20ng/mL未満を欠乏、20〜30を不足としています。保険で測定できるのは、原発性骨粗鬆症の治療薬を選ぶとき(1回)や、ビタミンD欠乏性くる病・骨軟化症の診断時・治療中などに限られ、健康チェック目的では自費になることが一般的です。骨粗鬆症の診断・治療中の方、閉経後の女性、高齢の方、日光をほとんど浴びない生活の方は、測定を検討する価値があります。
補充の考え方
- まず日光——秋冬でも、日中に手や顔を出して外を歩く時間をつくる(冬は夏より長い時間が必要です)
- 食事——週に数回の魚、きのこ、卵
- サプリメント——不足がある方は、サプリメントでの補充も選択肢になります。適切な量は不足の程度や体の状態によって異なるため、医師にご相談ください。過剰に摂ると高カルシウム血症などを招くおそれがあり、「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では成人の耐容上限量を1日100μg(4,000IU)としています。自己判断で大量に摂らないでください
- 骨粗鬆症の治療では、活性型ビタミンD製剤が処方薬として使われます(サプリとは別物)
受診の目安
- 骨密度の低下・骨折歴がある、閉経後で骨が心配
- 高齢で転びやすくなった、筋力の低下を感じる
- ほとんど日光を浴びない生活が長い
- 原因不明の骨や筋肉の痛み、倦怠感が続く
参考文献
- 厚生労働省研究班・日本骨代謝学会・日本内分泌学会「ビタミンD不足・欠乏の判定指針」日本内分泌学会雑誌 93巻Suppl.(2017年)(25(OH)D 20ng/mL未満=欠乏、20以上30未満=不足、30以上=充足)
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
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