GPTからClaude Codeへ──バイブコーディングという選択
3か月ほど、このnoteを放置していました。その間に何をしていたかというと、ひたすらツールを作っていました。診療で使う業務ツールを、AIと一緒に。
プログラミングの経験はありません。今もありません。コードは1行も書いていません。本当に。
でも、今うちのクリニックには35個の自作ツールが動いています。紹介状、診断書、健診レポート、漢方提案、音声カルテ、レセプト病名推測──全部、診察室のブラウザの中で動いている。
何が起きたのか、書きます。
GPTの限界
僕はもともとChatGPTを診療に使っていました。翻訳、カルテ要約、ブログ執筆。それで十分役に立っていた。
でも「ツールを作る」となると話が違いました。ChatGPTにHTMLを書かせて、コピーして、ブラウザで開いて、動かない、またプロンプトを直して──このループが果てしなく続く。1つのツールを仕上げるのに、何日もかかる。しかも出来上がったものは、次の日にはもう直したくなる。
これは無理だ、と思いました。
Claude Codeとの出会い
2026年の2月、Claude Codeというツールの存在を知りました。チャットでAIと会話すると、AIが直接ファイルを作って、書き換えて、動くものを出してくれる。ブラウザで確認して、「ここ直して」と言えば、その場で直る。コピペのループが消えた。
「健診書アプリを作って。検査値はPACSから取得して、AI所見をつけて、印刷できるようにして」
これだけで、3時間後には動くものが手元にありました。
これが「バイブコーディング」と呼ばれているものです。プログラミングの知識がなくても、作りたいものの「感覚(vibe)」を伝えるだけで、AIがコードにしてくれる。
なぜ医者がやると強いのか
バイブコーディング自体は、誰にでもできます。プロンプトを書いて、AIにコードを作らせるだけだから。
でも「何を作るか」は、現場にいないとわからない。
紹介状に何を書くべきか。健診レポートで患者さんが知りたいことは何か。採血の基準値はいくつで、どこからが要注意か。漢方の「証」とは何で、どう判断するか。
これは医学の知識です。プログラマーには書けない要件定義。
毎日100人診ている医者が「この書類めんどくさい」と思う、その"めんどくさい"が最強のプロンプトになる。
この感覚は、外注では絶対に再現できません。
技術構成
せっかくなので、裏側も書いておきます。
- AI処理: AWS Bedrock Claude(東京リージョン、ZDR=データ保持ゼロ契約)
- 音声認識: faster-whisper(院内GPU、RTX 3070で処理。外部送信なし)
- サーバー: 院内のPC1台でlocalhost稼働
- カルテ連携: ブックマークレットでワンクリック取込、ブラウザ内完結
患者データがAWSに保持されることはありません。音声データも院内のGPUで処理されて、外には出ません。3省2ガイドラインへの適合も意識した設計にしています。
月額コストは約50ドル。年間20万の音声認識サービスを解約できたので、実質マイナスです。
3か月で変わったこと
GPT時代は「AIを診療に使う」話をしていました。今は「AIで診療の道具を作る」フェーズに入っています。
使うのと、作るのでは、まったく次元が違う。
使う側は、ベンダーの都合に合わせる。作る側は、自分の現場に合わせる。
開業医が自分で作ったツールは、自分の診療フローにぴったりはまる。当たり前です。自分が設計しているのだから。
次回からは、具体的にどんなツールを作ったのか、1つずつ紹介していきます。
ひろつ内科クリニック
開業1年3ヶ月
自作ツール:35種
プログラミング経験:なし
使用AI:Claude Code / AWS Bedrock Claude