夏になると足がむくむのはなぜ?——冷房・暑さ・塩分の関係と、受診したほうがいいむくみを内科医が解説
「夕方になると靴下の痕がくっきり残る」「夏になってから、足の甲やふくらはぎが張る」——この時期、外来でよくうかがう相談です。
むくみは冬より夏に悪化する方が多く、これにはいくつかのはっきりした理由があります。この記事では、夏に足がむくみやすい仕組みと、自分でできる対策、そして「様子を見ないで受診してほしいむくみ」の見分け方を解説します。
夏に足がむくみやすい4つの理由
①暑さで血管が広がる。体は熱を逃がすために皮膚の血管を広げます。血管が広がると、足の静脈に血液がたまりやすくなり、水分が血管の外へしみ出しやすくなります。
②冷房の下で長時間同じ姿勢。ふくらはぎの筋肉は、足の血液を心臓へ戻すポンプの役割をしています。デスクワークや長距離移動で座ったままの時間が長いと、このポンプが働かず、水分が足にたまります。冷房による冷えは血流をさらに滞らせます。
③水分・塩分のバランス。汗をかく季節は水分補給が大切ですが、塩分の多い食事やスポーツドリンクの飲みすぎが重なると、体は水分を抱え込みやすくなります。
④飲酒。お酒の席が増える季節です。アルコールのあとは血管の透過性やホルモンバランスの変化で、翌朝に顔や足がむくみやすくなります。
多くは「生理的なむくみ」です
夕方にかけて両足が同じようにむくみ、一晩寝ると朝には引いている——このパターンであれば、多くは病気ではない生理的なむくみです。
次のようなセルフケアで軽くなることが多いです。
- 1時間に1回は立ち上がる。座ったままなら、足首を上下に動かす(ふくらはぎのポンプを動かす)
- 着圧ソックス・弾性ストッキングを日中に使う(医療用の圧が必要かは診察でご相談ください)
- 塩分を控えめにする。ラーメンの汁を残す、加工食品を減らすだけでも変わります
- 寝るときにクッションなどで足を少し高くする
- 湯船に浸かる(シャワーだけで済ませない)
受診してほしいむくみ——ここが大事です
一方で、むくみが病気のサインであることもあります。次に当てはまる場合は、様子を見ずに受診してください。
- 片方の足だけが急にむくんだ——ふくらはぎの痛みや熱感を伴う場合、深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群と同じ病態)の可能性があります。血栓が肺に飛ぶと危険なため、早めの受診が必要です
- 赤く腫れて痛い・熱をもっている——細菌感染(蜂窩織炎)の可能性があります
- 息切れ・横になると苦しい・急な体重増加を伴う——心臓の機能が落ちているサインのことがあります
- 朝になっても引かない、日ごとに強くなる——腎臓・肝臓・甲状腺の病気が隠れていることがあります
- 尿の泡立ちや量の変化を伴う——腎臓からたんぱくが漏れている場合があります
受診したら何を調べるか
診察ではまず、むくみの出方(両側か片側か、いつからか、朝に引くか)、飲んでいるお薬、生活状況をうかがいます。お薬の中には副作用としてむくみが出るもの(一部の血圧の薬や痛み止めなど)があるため、お薬手帳をお持ちください。
そのうえで、必要に応じて血液検査(腎機能・肝機能・甲状腺・心臓の負担の指標)、尿検査、心電図を行います。深部静脈血栓症や心臓の異常が疑われる場合は、超音波検査(エコー)で確認することもあります。
なお、下肢静脈瘤(血管がこぶ状に浮き出るタイプ)が原因の場合、手術やレーザー治療が必要なときは血管外科が専門になります。当院では初期評価と、必要な場合の専門医療機関へのご紹介を行っています。
まとめ
- 夏は「血管の拡張・冷房下の同一姿勢・塩分・飲酒」が重なり、足がむくみやすい季節です
- 夕方にむくんで朝に引く両側のむくみは、生理的なことが多く、足首の運動・着圧・減塩などのセルフケアが有効です
- 片側だけ・急激・痛みや発赤・息切れ・朝も引かない——このいずれかがあれば受診してください
- 初期評価は内科でできます。原因に応じて専門科へおつなぎします
参考文献
- 日本循環器学会 深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症に関する診療ガイドライン
- 日本静脈学会 下肢静脈瘤・慢性静脈不全に関する診療情報
- むくみ(浮腫)の鑑別に関する一般的診療情報
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