スマートウォッチの血圧測定——承認済みは一部のみ、カフレスの限界を内科医が解説
「血圧が測れるスマートウォッチ」「血圧を通知してくれる」といった製品や機能が増えています。高血圧が気になる方には魅力的ですが、ここは注意が必要なところです。日本で「血圧の数値測定」を医療機器として認められているスマートウォッチは、実はごく一部だけです。仕組みの違いと、上手な使い方を整理します。
血圧測定には2つの方式がある
スマートウォッチの血圧測定には、大きく2つの方式があります。
- カフ式:バンドの中の空気袋(カフ)がふくらんで手首を圧迫し、圧力の変化から血圧を測る方式です。家庭用の血圧計と同じ考え方で、精度が高いとされています。
- カフレス(光学式):手首に当てた光で血流の変化を読み取り、計算で血圧を「推定」する方式です。手軽ですが、あくまで推定値で、実際の血圧とずれることもあります。
日本で医療機器として認証されているのは「カフ式の一部」だけ
日本で、血圧の“数値測定”について医療機器としての認証を受けている腕時計型のデバイスは、ごく限られています。認証を受けているのは、カフ式を採用した一部の製品(オムロンやHUAWEIのカフ式モデル)です。一方、カフを使わずセンサーだけで推定するタイプや、日本で認証を受けていない製品(たとえばSamsungのGalaxy Watchは日本では血圧機能を使えません)もあります。「血圧が出る」からといって、すべてが医療機器として認められた測定とは限らない、という点を知っておいてください。
Apple Watchの「高血圧パターンの通知」について
2025年12月4日から、日本でもApple Watchの「高血圧パターンの通知」が使えるようになりました(対応はApple Watch Series 9以降やUltra 2以降)。ただし、これは血圧を直接測る機能ではなく、血圧値も表示されません。しばらくのデータから「高血圧の傾向があるかもしれない」と知らせてくれるもので、あくまで“気づき”のきっかけです。通知が来たときは、家庭用の血圧計で測ったり、医療機関で確認したりする必要があります。
血圧の基本は「上腕でのカフ測定」
高血圧の診断や管理の基本は、いまも上腕(二の腕)にカフを巻いて測る血圧計です。家庭では、朝晩の決まった時間に、静かに座って測ることがすすめられています。スマートウォッチの推定値や通知は、この基本を置き換えるものではなく、あくまで補助・きっかけとして使うのが適切です。
上手な使い方
カフレスの推定値は、日々の大まかな傾向を眺めるくらいにとどめ、実際の判断は上腕の血圧計の値で行う。高血圧の通知が来たら、家庭血圧を測って記録し、高い値が続くなら受診する。こうした使い分けが、無理のない付き合い方だと思います。
こんなときは受診を
- 高血圧パターンの通知が来た、または家庭血圧で高い値が続く
- 頭痛、めまい、動悸などの症状を伴う
- もともと高血圧や、心臓・腎臓などの持病がある
まとめ
スマートウォッチの血圧機能は便利ですが、日本で数値測定を医療機器として認められているのはカフ式の一部だけで、カフレスの推定値やApple Watchの通知は“きっかけ”として使うものです。血圧の診断・管理の基本は、いまも上腕での測定です。気になる通知や高い値があれば、家庭血圧の記録を持って受診してください。当院でも血圧のご相談を承っています。
(あわせて、当院の「スマートウォッチの健康機能、どれが医療機器でどれがウェルネスか」もご覧ください。)
参考・一次情報
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「プログラム医療機器の承認等情報」
- 各メーカーの公式発表(血圧測定・高血圧通知機能の仕様)
- 高血圧の家庭血圧測定に関する一般的な指針
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