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シングリックスは打った方がいいの?——帯状疱疹ワクチンの効果・副反応・定期接種の対象を内科医が解説

「帯状疱疹のワクチン、打った方がいいですか?」——最近、外来でよくいただく質問です。テレビCMや自治体からの案内で見かける機会が増え、気になっている方も多いと思います。

結論から言うと、50歳以上の方、とくに定期接種の対象になる年齢の方では、検討する価値が高いワクチンです。ただし、全員が一律に「打つべき」というものではなく、年齢・持病・費用・副反応をふまえて選ぶことになります。この記事では、判断に必要な材料を整理します。

そもそも帯状疱疹とは——なぜ予防が大事なのか

帯状疱疹は、子どものころに水ぼうそう(水痘)として感染したウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が、体の神経に長くひそんでいて、加齢や疲労などで免疫の力が落ちたときに再び活動して起こる病気です。

日本の成人の多くはこのウイルスをすでに体内に持っているとされ、「うつされて初めてなる」病気ではありません。つまり、誰にでも起こりうる病気です。

とくに問題になるのが、皮膚の症状が治ったあとも痛みが続く「帯状疱疹後神経痛」です。長引くと生活の質に影響することがあり、年齢が上がるほど残りやすいとされています。ワクチンの意義は、発症そのものを減らすことに加えて、こうした後遺症のリスクを下げることが期待できる点にあります。

2種類のワクチンがある——シングリックスと生ワクチン

日本で帯状疱疹の予防に使われるワクチンは2種類あり、性質がかなり異なります。

シングリックス(組換えワクチン・不活化)

  • 接種回数:2回(1回目から通常2か月以上の間隔をあけて2回目)
  • 報告されている有効性:50歳以上で約97%、70歳以上でも約91%の発症予防効果が報告されています
  • 効果の持続:接種後少なくとも10年程度、予防効果が続くことが報告されています
  • 免疫が低下している方にも接種できます(生ワクチンと異なる大きな特徴です)
  • 費用は生ワクチンより高めで、副反応(痛みなど)は出やすい傾向があります

生ワクチン(乾燥弱毒生水痘ワクチン)

  • 接種回数:1回
  • 報告されている有効性:50歳以上で約50%程度、70歳以上では約38%程度とされ、シングリックスより低めです
  • 費用は比較的安価で、副反応も軽い傾向があります
  • ただし、免疫抑制状態の方(免疫を抑える治療中の方など)には接種できません

効果の高さと持続を重視するならシングリックス、費用や体への負担を重視するなら生ワクチン、という整理になります。免疫を抑える治療を受けている方は、選択肢はシングリックスになります。

2025年度から「定期接種」になりました

大きな変化として、2025年4月から帯状疱疹ワクチンが定期接種(B類疾病)に位置づけられました。対象は次の方です。

  • その年度に65歳になる方
  • 60〜64歳で、HIVによる免疫機能障害など一定の条件に該当する方
  • 経過措置(2025年度〜2029年度の5年間)として、その年度に70歳・75歳・80歳・85歳・90歳・95歳・100歳になる方

定期接種の対象になると、自己負担が軽くなります。ただし、自己負担額は自治体によって異なり、お住まいの市町村の案内をご確認いただく必要があります。また、B類疾病の定期接種は「受けるよう努めなければならない」という強い勧奨ではなく、本人の希望に基づいて受ける位置づけです。

なお、過去に帯状疱疹ワクチンを接種したことがある方が定期接種の対象になるかどうかは、接種記録とあわせて市町村にご確認ください。

こんな方は、とくに検討する価値があります

  • 定期接種の対象年齢にあたる方(費用の面でも受けやすいタイミングです)
  • 50歳以上の方(加齢とともに発症が増えるとされています)
  • 免疫を抑える治療を受けている、または今後受ける予定がある方(接種の可否や時期は主治医とご相談ください)
  • 糖尿病などの持病がある方
  • 過去に帯状疱疹になったことがある方(再発することがあり、接種の対象になります)
  • 仕事や家庭の事情で、長引く痛みによる影響を避けたい方

一方で、「今すぐ打たなければ」と急かされるものでもありません。費用や2回接種のスケジュール、接種後の体調も含めて、無理のないタイミングを選んでください。

副反応——知っておいてほしいこと

シングリックスは効果が高い一方で、副反応が出やすい傾向があります。

  • 注射した部位の痛み・赤み・腫れ(多くの方に起こります)
  • 筋肉痛、疲労感、頭痛、発熱、寒気など
  • 多くは2〜3日でおさまるとされています
  • 1回目より2回目のほうが強く出やすいと報告されています

このため、接種の翌日に大事な予定を入れない、休める日を選ぶ、といった工夫をおすすめしています。まれに重いアレルギー反応が起こることもあり、接種後しばらくは様子をみます。

なお、ワクチンは発症を完全に防ぐものではありません。接種後に帯状疱疹になることもありますが、症状が軽くすむことが期待されます。

注意が必要な方・確認しておきたいこと

  • 発熱している、体調が悪いときは、接種を延期します
  • ワクチンの成分でアレルギーを起こしたことがある方は接種できません
  • 妊娠中・妊娠の可能性がある方:シングリックスの妊婦への安全性は確立しておらず、接種は慎重に判断します。生ワクチンは妊娠中は接種できません
  • 2回接種を完了することが大切です。1回で終わらせないよう、2回目の予定も最初に決めておきましょう(間隔については医師にご確認ください)
  • ほかのワクチンとの間隔については、医療機関でご相談ください

費用について

定期接種の対象となる方は、自治体の助成により自己負担が軽減されます(金額は自治体により異なります)。対象外の方が接種する場合は自費となり、シングリックスは2回接種のため合計の負担が大きくなります。

当院での接種の費用や在庫の状況については、お問い合わせいただくか、受診時にご確認ください。

まとめ

  • 帯状疱疹は、体内にひそむウイルスが再び活動して起こる病気で、加齢とともに増え、痛みが長引くことがあります
  • ワクチンは2種類。シングリックスは2回接種で、50歳以上で約97%、70歳以上で約91%の予防効果と10年程度の持続が報告され、免疫が低下した方にも接種できます
  • 生ワクチンは1回・安価ですが有効性は低めで、免疫抑制状態の方には使えません
  • 2025年度から定期接種になり、その年度に65歳になる方や、経過措置で70〜100歳の5歳刻みの方が対象です(自己負担額は自治体で異なります)
  • 副反応(注射部位の痛み・発熱・筋肉痛など)は出やすく、2回目のほうが強い傾向。休める日を選ぶのがおすすめです
  • 迷われている方は、年齢・持病・費用をふまえていっしょに考えますので、ご相談ください

参考文献

  • 厚生労働省 帯状疱疹ワクチン(定期接種)に関する情報
  • 各ワクチン添付文書(シングリックス筋注用/乾燥弱毒生水痘ワクチン)
  • GSK 臨床試験(シングリックスの長期予防効果に関する報告)

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