「9月病」って何?——夏の疲れと連休明けの不調、うつ病との見分け方を内科医が解説
「5月病」はよく知られていますが、実は9月にも同じような不調の波があります。夏休みやお盆が終わり、涼しくなり始める頃に、だるさ、気分の落ち込み、朝起きられない、仕事に集中できない——こうした状態が続くことがあり、俗に「9月病」と呼ばれます。正式な病名ではありませんが、外来では毎年この時期に同じような訴えが増える、実感のある現象です。
なぜ9月に不調が出るのか
要因は大きく3つ重なっています。
1つ目は夏の疲労の持ち越しです。猛暑の中での活動、冷房と屋外の温度差、熱帯夜による睡眠の質の低下——夏の間に自律神経は働きづめで、その疲れが涼しくなった頃に一気に表面化します。
2つ目は生活リズムの乱れです。連休や帰省で夜型になった体内時計が戻りきらないまま日常が再開すると、朝のだるさや日中の眠気が続きます。
3つ目は環境の変化と心理的な負荷です。9月は下半期の始まりで、異動や新しいプロジェクトなど環境が変わりやすい時期です。「夏が終わってしまった」という季節の変わり目特有の気分の沈みも重なります。日照時間が短くなり始めることも、気分に影響するといわれています。
「9月病かな」と思ったときのセルフケア
- 起きる時刻を毎日そろえる(休日も差を1時間以内に)。朝に日光を浴びると体内時計が整います
- 軽い運動を続ける。ウォーキング程度で十分です
- 湯船に浸かる。シャワーだけで済ませていた夏の習慣を切り替えるタイミングです
- 冷たい飲食を減らし、温かい食事で胃腸をいたわる
- 予定を詰め込みすぎない。9月は「回復期」と割り切るのも一つの考え方です
「ただの9月病」で済ませてはいけないサイン
季節の変わり目の一過性の不調であれば、2週間ほどで自然に上向いてきます。注意してほしいのは、次のような場合です。
- 気分の落ち込みや興味の喪失が2週間以上続いている
- 眠れない・食欲がない状態が続き、体重が減ってきた
- 仕事や家事が手につかず、生活に支障が出ている
- 「消えてしまいたい」といった考えが浮かぶ
これらはうつ病のサインの可能性があり、「季節のせい」と我慢を続けるべき状態ではありません。また、だるさの背景に貧血や甲状腺機能の異常、糖尿病、肝機能の異常などの体の病気が隠れていることもあります。これらは血液検査で確認できます。
「気持ちの問題なのか、体の問題なのか分からない」という段階でこそ、内科の出番だと考えています。まず採血で体の原因を確認し、体に異常がなければ、休養の取り方や生活リズムの立て直しを一緒に考える。必要に応じて心療内科や精神科への紹介も行います。
夏の疲れが出やすいこの時期、「なんとなく不調」を放置せず、長引くようならお気軽にご相談ください。
参考文献
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
- 日本うつ病学会 うつ病に関する一般向け情報
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