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RSウイルスは大人もかかる——長引く咳かぜの正体と、高齢の家族を守るために知っておきたいこと

RSウイルスというと「赤ちゃんの病気」というイメージが強いかもしれません。ただ、RSウイルスは大人にも普通に感染します。多くは鼻かぜ程度で済むため気づかれていないだけで、実は成人の「しつこい咳かぜ」の原因のひとつです。そして、ご高齢の方や心臓・肺に持病のある方では肺炎に進んで重症化することがあり、近年は高齢者向けのワクチンも登場しています。

大人がかかるとどうなるか

健康な成人がRSウイルスに感染した場合、症状は鼻水、のどの痛み、咳、微熱など、いわゆる普通の風邪と区別がつきません。ただ、特徴として咳が長引きやすいことが知られており、気道が過敏になって2〜3週間咳が続くことがあります。「熱はすぐ下がったのに咳だけずっと残っている」という経過は、RSウイルスでもよく見られます。

外来でRSウイルスと確定させる検査(迅速検査)は、保険診療では主に乳幼児などが対象で、成人には通常行いません。大人の場合は「診断名をつけること」より「肺炎になっていないか、悪化のサインがないか」を見きわめることが診療の中心になります。

注意が必要なのは、高齢の方と持病のある方

60歳以上、特に心不全やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、喘息、糖尿病などの持病がある方では、RSウイルスは決して軽い病気ではありません。気管支炎や肺炎に進行して入院が必要になることがあり、海外の報告では高齢者におけるRSウイルスの疾病負担はインフルエンザに匹敵するとされています。

「孫の風邪がうつった」という経過で、ご高齢の方が重い呼吸器症状を起こすことは、外来でも実際に経験します。小さなお子さんがRSウイルスと診断された家庭で、同居のおじいちゃん・おばあちゃんに咳や発熱が出てきたら、早めの受診をおすすめします。

高齢者向けのRSウイルスワクチン

近年、60歳以上を対象としたRSウイルスワクチンが日本でも承認され、接種できるようになりました。任意接種(自費)で、重症化予防の効果が示されています。接種を検討したい方は、取り扱いの有無や費用を含めて、かかりつけの医療機関にお問い合わせください。

受診の目安

  • 咳や痰が1週間以上たっても悪化してくる、ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音がする
  • 息切れがあり、階段や坂道でいつもよりつらい
  • 高熱が続く、いったん下がった熱がまた上がった
  • 高齢の方・心臓や肺に持病のある方が、家族の風邪のあとに咳や発熱を発症した

診察では、聴診で気管支や肺の音を確認し、酸素の取り込み(SpO2)を測り、必要に応じて血液検査やレントゲンで肺炎の有無を調べます。RSウイルスに特効薬はなく、治療は症状を和らげる対症療法が中心ですが、肺炎の合併や喘息の悪化があれば、それに応じた治療が必要になります。

家庭内でうつさないために

RSウイルスは、咳やくしゃみの飛沫だけでなく、ウイルスが付いた手やおもちゃ、ドアノブを介した接触でもうつります。家庭内では手洗いと、タオルの共用を避けることが基本です。咳などの症状が出ている間は、赤ちゃんや高齢の方との濃厚な接触をできるだけ減らしてください。

「大人の咳かぜ」の背景には、RSウイルスをはじめさまざまなウイルスがいます。咳が長引いて心配なとき、ご家族に重症化リスクの高い方がいるときは、お気軽にご相談ください。

参考文献

  • 国立感染症研究所「RSウイルス感染症」
  • 日本感染症学会 RSウイルスワクチンに関する考え方

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