院長ブログ | | 更新

心電図で「右脚ブロック」と言われたら——完全・不完全の違いと、確認すべき3つのことを内科医が解説

健診の心電図で「完全右脚ブロック」「不完全右脚ブロック」と書かれていて、不安になって検索された方へ。まずお伝えしたいのは、右脚ブロックは健康な方にもよく見つかる所見で、多くの場合、治療は必要ないということです。ただし、確認しておくべきポイントがいくつかあります。順に整理します。

「ブロック」といっても、心臓が止まるわけではありません

心臓は電気信号で動いており、その信号は心室で「右脚」「左脚」という2本の電線のような経路に分かれて伝わります。右脚ブロックは、このうち右側の経路の伝わりが遅くなったり途切れたりしている状態です。

「ブロック」という言葉の響きから「血管が詰まっている」「心臓が止まりそう」と想像される方が多いのですが、そうではありません。右側の電線が遅くても、左側の経路から回り込んで信号は伝わるため、心臓はきちんと拍動を続けます。回り道の分だけ心電図の波形の幅が広がって見える——それが右脚ブロックの正体です。

遅れの程度が軽いものを「不完全右脚ブロック」、はっきりしたものを「完全右脚ブロック」と呼びます。「完全」という言葉が付くと重症に聞こえますが、これは波形の分類であって、重症度を意味しません。不完全右脚ブロックは若くやせ型の方にもよく見られ、健康な方の数%に見つかるありふれた所見です。

確認しておきたい3つのこと

大多数が心配ないとはいえ、次の3点は確認する価値があります。

  • ①今回初めて出たのか、以前からあるのか——以前の健診から変わらずあるなら、心配はさらに小さくなります。今回新しく出現した場合は、背景に心臓や肺の変化がないかを一度確認します。過去の健診結果があれば、受診時にぜひお持ちください
  • ②症状があるか——動悸、めまい、失神、息切れ、胸の痛み。これらを伴う場合は、右脚ブロック以外の要素も含めて調べる必要があります
  • ③ほかの所見と組み合わさっていないか——右脚ブロックに加えて左脚の一部のブロック(左軸偏位を伴う二枝ブロック)がある場合や、特徴的なST変化を伴う場合(ブルガダ症候群という病気の除外が必要なパターン)は、循環器専門医での評価をおすすめします

受診したら何をするのか

診察では、症状と既往の確認、過去の心電図との比較を行い、必要に応じて心エコー(心臓超音波)で心臓の構造や動きを確認します。右脚ブロックの背景に、心房中隔欠損などの生まれつきの変化や、肺の病気による右心系への負荷が隠れていることがまれにあるためです。

症状がなく、以前からの所見で、ほかの異常がなければ——治療も運動制限も必要ありません。年1回の健診で経過を見ていけば十分です。「薬で治せますか」と聞かれることもありますが、電線の伝わり方そのものを治す薬はなく、そもそも良性の右脚ブロックは治す必要のあるものではありません。

当院の心電図シリーズでは、これまで左軸偏位、QT延長、早期再分極、期外収縮についても解説しています。健診の心電図所見は「病名」ではなく「確認のきっかけ」です。結果票を持って、お気軽にご相談ください。

受診の目安まとめ

  • 今回の健診で初めて右脚ブロックが出た→一度受診を(過去の心電図があれば持参を)
  • 動悸・めまい・失神・息切れを伴う→早めに受診を
  • 二枝ブロックやST異常の合併を指摘された→循環器専門医での評価を(紹介状を書きます)
  • 以前からの不完全右脚ブロックで無症状→年1回の健診での経過確認で十分です

参考文献

  • 日本循環器学会「不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン」
  • 日本人間ドック・予防医療学会 判定区分関連資料

📘 院長の本 健診の結果票の読み方から再検査の受け方までを1冊にまとめました。

『夜間休日診療内科を運営する医師が教える 健康診断の「要精密検査」が届いたら: 結果票の読み方から、再検査の受け方まで』(Kindle/Kindle Unlimited対応)
Amazonで見る

ひろつ内科クリニック受診予約はこちらから

https://wakumy.lyd.inc/clinic/hg08874

ページ上部へ戻る