脈が飛ぶ「期外収縮」は心配ない?——放っておいていい場合と受診すべきサインを内科医が解説
「脈が飛ぶ気がする」「胸がドキッと一瞬つまずく」「健診の心電図で期外収縮と書かれていた」——外来でよくある相談です。期外収縮は、不整脈の中で最もありふれたもので、健康な人にも起こります。ただ、「よくあるもの」と「放っておいていいもの」は同じではないので、その線引きをお伝えします。
期外収縮とは何が起きているのか
心臓は本来、決まったリズムで電気信号が流れて拍動しています。期外収縮は、本来のタイミングより早く、別の場所から電気信号が飛び出してしまう現象です。1拍早く打った後にわずかな休止が入るため、「脈が飛んだ」「ドキッとした」と感じます。飛び出す場所によって、心房性(上室性)と心室性に分けられます。
実は、24時間心電図をつけると健康な人の大多数に期外収縮が見つかることが分かっています。ほとんどは治療のいらない良性のもので、加齢、睡眠不足、ストレス、カフェイン、アルコール、喫煙などで増えます。「期外収縮=心臓病」ではありません。
受診して確認すべきはこの3点
良性かどうかの判断で、診察室で確認するのは次の3点です。
- 心臓そのものに病気がないか:心エコーや心電図で、心筋梗塞の既往・心筋症・弁膜症などの「土台の病気」がないかを確認します。土台が健康なら、期外収縮の多くは経過観察で十分です
- 数と連発の有無:24時間ホルター心電図で1日の総数と、連発(連続して出る)の有無を見ます。総拍動数の一定割合を超える多発例や連発例は、追加の評価が必要です
- 症状との対応:めまい・ふらつき・失神・胸痛を伴う場合は、単純な期外収縮以外の不整脈が隠れていないかを調べます
こんなときは早めに受診を
- 脈の乱れとともに、めまい・失神・強い胸痛・息切れがある
- 脈がバラバラに乱れ続ける(規則的な中の「時々の飛び」ではなく、常に不規則)——心房細動の可能性があり、放置すると脳梗塞のリスクになります
- 運動中に症状が強く出る
- 心臓病の既往や家族歴(突然死など)がある
スマートウォッチの心電図機能で「時々乱れる」記録が残っている方は、その記録も参考になります。受診時にお持ちください。
治療が必要な場合・不要な場合
心臓に病気がなく症状も軽ければ、治療は不要で、カフェイン・飲酒・睡眠などの生活要因の調整だけで様子を見ます。「気にしすぎると余計に感じる」のもこの不整脈の特徴で、良性と確認できたこと自体が一番の治療になる方も多いです。
症状がつらい場合は薬(β遮断薬など)で抑えることがあり、非常に数が多く心機能への影響が心配される場合はカテーテルアブレーション(根治術)が検討されることもあります。その場合は循環器専門の医療機関へ紹介します。
「脈が飛ぶ」は多くの場合こわいものではありません。ただ、一度は「良性であること」を確認しておく価値があります。健診で指摘された方、症状が気になる方はご相談ください。
参考文献
- 日本循環器学会「不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン」
- 日本循環器学会 一般向け情報「期外収縮」
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