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秋冬に続く鼻水・くしゃみ——ハウスダスト・ダニによる通年性アレルギー性鼻炎、かぜとの見分け方、家庭でできるダニ対策、検査と治療、受診の目安を内科医が解説

朝晩が冷え込むころから、くしゃみや鼻水が続いて「かぜが長引いているのかな」と感じることはありませんか。秋冬に続く鼻の症状は、ハウスダストやダニが原因の「通年性アレルギー性鼻炎」のこともあります。

ダニのアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)は室内で一年中見つかりますが、東京都の住まいの指針では、ダニが増えるピークにあたる夏から秋にかけて特に多くなるとされています。この記事では、通年性アレルギー性鼻炎の仕組み、かぜとの見分け方、家庭でできるダニ対策、検査と治療の考え方、受診の目安をまとめます。

通年性アレルギー性鼻炎とは

アレルギー性鼻炎は、本来は異物を体に入れないための防御の仕組みである、くしゃみ・鼻水・鼻づまりが、過剰に起こる病気です。日本アレルギー学会は、国民の半分がかかっている、とても多い病気だとしています。

アレルギー性鼻炎は、大きく2つに分けられます。

  • 通年性アレルギー性鼻炎:ダニやホコリなどが原因で、1年を通して症状が出ます
  • 季節性アレルギー性鼻炎(花粉症):スギやヒノキの花粉などが原因で、花粉が飛ぶ時期だけ症状が出ます

原因になりやすい物質には、ハウスダスト、ダニ、花粉のほか、犬や猫などのペット、カビがあります。ダニの場合、生きているダニそのものよりも、主にダニのフンや死がい(死んだダニの破片)がアレルギーの原因になります。日本の室内に多いのはヒョウヒダニという種類で、チリダニと呼ばれることもあります。

また、東京都の指針では、家の中でダニのフンや死がいを吸い込んでしまうのは主に睡眠中だとされています。1日の3分の1を過ごし、体に直接触れる寝具の手入れが、とくに大切になります。

症状の特徴と、かぜとの見分け方

アレルギー性鼻炎の症状には、次のような特徴があります。

  • くしゃみが連続して、何度も出る
  • 鼻水は無色で、粘り気がなくサラサラしている
  • 鼻の粘膜が腫れて、鼻がつまる
  • 鼻や目がかゆくなることがある

かぜでも鼻水やくしゃみが出るため、見分けにくいことがあります。目安として、次の点が挙げられています。

  • くしゃみ・鼻水に加えて、だるさや熱がある、咳が出る:かぜによる鼻炎が考えられます
  • くしゃみ・鼻水に鼻づまりを伴う、鼻や目がかゆい:アレルギー性鼻炎が考えられます
  • かぜなどの感染症の鼻水は粘り気があることが多く、アレルギー性鼻炎の鼻水はサラサラしています

ただし、どろどろした黄色い鼻水が出るときは、副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)の可能性があります。また、アレルギーの原因が見つからないのに同じような症状が続く「血管運動性鼻炎」という病気もあります。急な気温の変化や精神的なストレスがあると症状が出ることが多いとされています。

鼻の症状が続くと、勉強や仕事、家事に集中できない、よく眠れない、イライラするなど、生活に支障が出てきます。鼻づまりで口呼吸になると、のどを痛めてかぜを引きやすくなることもあります。

家庭でできるダニ対策

アレルギー性鼻炎の治療の原則は、原因物質(アレルゲン)を吸い込まないようにすることです。ダニやホコリを家からなくすことはできないので、神経質になりすぎず、ちょっとした工夫とこまめな掃除で増やさないようにしましょう。

ダニは、増えるために60%以上の湿度と、およそ25〜30℃の温度が必要とされています。乾燥に弱いという性質を利用して対策します。

  • 寝具を乾かす:布団やクッションは、日光や風にあてるか、布団乾燥機で乾かしましょう
  • 干したあとは掃除機を:干した布団をたたくと、ダニアレルゲンが細かくなって表面に浮き上がり、寝ているときに吸い込むことがあります。干したあとは掃除機をかけましょう。東京都の指針では、1週間に1回、1平方メートルあたり20秒かけて、布団の表と裏に掃除機をかけることがすすめられています
  • 掃除機はゆっくり:カーペットや畳、布団は、ノズルをゆっくり動かして吸い取ります。床の掃除機がけはできるだけ毎日、少なくとも3日に1回が目安です
  • 洗える寝具を選ぶ:シーツや布団カバーはこまめに取り替えて洗いましょう。ダニが通り抜けにくい高密度の繊維でできた防ダニシーツ・カバーも役立ちます
  • ダニの住みかを減らす:床はカーペットを敷かないフローリングが望ましいとされています。布製のソファーにも掃除機をかけ、カーテンは定期的に洗濯し、ぬいぐるみはこまめに洗いましょう
  • 湿気をためない:とくに壁や床に近い場所の湿度を60%以下に保つことがすすめられています。換気や除湿機、エアコンを上手に使いましょう

なお、ダニを死なせるには60℃以上のお湯での処理や、熱風での乾燥が必要とされています。冷たい水で洗っても、ダニアレルゲンは洗い流せますが、生きているダニは死にません。布団を干すとダニは増えにくくなりますが、生き延びたダニはすぐにまた増えます。乾かす・掃除機をかける・洗うを組み合わせて、続けることが大切です。

検査について

アレルギー性鼻炎の診断では、問診と鼻の中の観察がとても重要です。いつ、どこで、どのような症状が出て、どのくらい続くのかを伺うことで、何に対してアレルギー反応があるのかを推し量ることができます。そのうえで、次のような検査が行われます。

  • 鼻水の検査:鼻水の中に、好酸球(こうさんきゅう)というアレルギーの手がかりとなる細胞がいるかを調べます
  • 血液検査:血液中の抗体の量を測り、ダニや花粉など、何に対してアレルギーがあるのかを調べます
  • 皮膚の検査:皮膚での反応を見て、原因となる物質を調べます

原因がダニなのか、花粉なのか、ペットなのかが分かると、家庭でどの対策に力を入れればよいかがはっきりします。また、後で述べるアレルゲン免疫療法を考えるときにも、原因を詳しく調べることが必要になります。

治療の考え方

治療には「薬物療法」「アレルゲン免疫療法」「手術療法」の3つがあり、ダニなどのアレルゲンを避ける環境整備も欠かせません。日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会の『鼻アレルギー診療ガイドライン』は2024年版(改訂第10版)が最新版です。第10版の治療方針を紹介した専門誌の解説では、治療を始めるときに患者さんと相談しながら目標を決め、目標に向けて治療を進める考え方が示されています。

主な治療の内容は、日本アレルギー学会のアレルギーポータルで次のように説明されています。

  • 薬物療法:鼻水をおさえる抗ヒスタミン薬の飲み薬、鼻の炎症をおさえる点鼻ステロイド薬(鼻に噴霧するステロイド薬)、鼻づまりを改善する作用があるロイコトリエン受容体拮抗薬などが使われます。抗ヒスタミン薬には眠気などの副作用がありますが、近年は眠気の出にくい薬もあります
  • アレルゲン免疫療法:原因となるアレルゲンを体に投与して、アレルギー反応を弱める治療です。注射と、舌の下に薬を置く舌下(ぜっか)免疫療法があり、日本で舌下錠を使って治療できるのはダニとスギ花粉です。舌下免疫療法は5歳以上のお子さんから行えます。治療には数年以上かかり、根気のいる治療です
  • 手術療法:鼻の粘膜をレーザーで焼く方法などがあり、薬で症状がおさえられない場合などに検討されます

市販の点鼻薬の多くは、血管を縮める成分を含んでいます。使うとすぐに鼻の通りがよくなったように感じますが、長く使い続けると、かえって鼻がつまる「薬剤性鼻炎(点鼻薬性鼻炎)」を起こすことがあります。市販薬を使うときは成分と対象年齢をよく確かめ、なんとなく使い続けないようにしましょう。とくに2歳未満のお子さんには、血管を縮める成分の点鼻薬は使ってはいけない(禁忌)とされています。

受診の目安

次のような場合は、医療機関にご相談ください。

  • くしゃみ・鼻水・鼻づまりが続き、眠れない、仕事や家事に集中できないなど、生活に支障がある
  • 薬を使っても症状が良くならない、市販の点鼻薬が手放せない
  • どろどろした黄色い鼻水が続く
  • 片側だけ鼻づまりが強い
  • 鼻血が続く、何度も出る
  • においが分からない
  • お子さんが鼻や目をよくこする、くしゃみを繰り返す、いつも口が開いている

鼻と気管支は、同じ空気の通り道です。ダニは、ぜん息の原因にもなります。咳が続く、息をするとゼーゼー・ヒューヒューする、息苦しいといった症状があるときは、早めに受診してください。

救急車(119番)を呼ぶ目安:ぜん息の発作などで強い息苦しさがあるとき、意識がぼんやりしている、またはひどく興奮しているときは、ためらわずに119番に連絡してください。苦しくて眠れないときも、すぐに医療機関を受診してください。

参考文献

  • 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会「鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症― 2024年版(改訂第10版)」(金原出版・2024年)
  • 岡野光博ほか「鼻アレルギー診療ガイドライン第10版における治療方針概略と花粉症重症化ゼロ作戦」(耳鼻咽喉科・頭頸部外科 96巻2号・2024年)
  • 日本アレルギー学会「アレルギー性鼻炎/Q&A」(2025年5月更新)
  • 日本アレルギー学会 アレルギーポータル(厚生労働省補助事業)「アレルギー性鼻炎」「室内環境の整備について」(2026年3月更新)
  • 日本アレルギー学会 アレルギーポータル(厚生労働省補助事業)「成人のぜん息」(2026年4月更新)
  • 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻の病気」「鼻の症状」「鼻の病気Q&A」
  • 東京都保健医療局「健康・快適居住環境の指針」(平成28年度改定版)

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