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院長ブログ
日々の診療室から(478件)
ペットボトル症候群とは? ― 清涼飲料水の飲み過ぎで起こる高血糖の正体を内科医が解説 ―
ペットボトル症候群とは何か ペットボトル症候群とは、糖分を多く含む清涼飲料水を短期間に大量摂取することで、高血糖状態に陥る病態を指す俗称です。 正式な病名ではありませんが、医学的には 清涼飲料水ケトーシス(soft drink ketosis) と呼ばれることがあります。 特に問題となるのは以下の飲料です。 炭酸飲料 スポーツドリンク 加糖ジュース エナジードリンク 甘味入りコーヒー飲料 これ
多発性骨髄腫とは何か ― 血液検査の異常から見つかることがある病気を、正確に理解するために ―
健康診断や血液検査の結果をきっかけに 「多発性骨髄腫(たはつせいこつずいしゅ)」という聞き慣れない病名を知り、不安になって検索してこのページにたどり着いた方も多いと思います。 この病気は、正しく理解すれば、必要以上に恐れるものではありません。 一方で、誤解や断片的な情報によって、過剰に心配してしまう人が多い病気でもあります。 この記事では、 多発性骨髄腫について そもそも何の病気なのか なぜ血液検
(2026年1月)全国的に感染性胃腸炎患者数が増えている理由
2026年1月に入り、全国的に感染性胃腸炎の患者数が増加しています。これは毎年冬にみられる典型的な流行パターンと一致しており、特に小児から成人、高齢者まで幅広い年代で受診が増えています。 以下、背景と臨床的に重要なポイントを整理します。 なぜ1月に増えるのか 感染性胃腸炎は、冬季に流行しやすいウイルス性胃腸炎が主因です。理由は明確です。 低温・低湿度環境でウイルスが安定する 室内での集団生活が増え
インフルエンザA型とB型の違いを、あえて症状だけで深掘りする
インフルエンザには主に A型 と B型 があります。 本記事では ・ウイルス学的な違い ・流行時期 といった話は最低限にとどめ、 症状の違いだけ を、医学論文に基づいて整理します。 まず結論:症状は「傾向」が違うだけで、重症度の上下ではない 日本の臨床データ・海外の大規模研究を総合すると、以下が現在の共通認識です。 A型とB型で「出る症状の種類」はほぼ同じ ただし 症状の出方・強調される部位に傾向
前胸部キャッチ症候群(Precordial Catch Syndrome)総説 ― 若年者に多い、危険ではないが強烈な胸痛 ―
はじめに 「突然、胸に針で刺されたような痛みが出た」 「息を吸うと激痛が走るが、数分で自然に消える」 このような訴えで受診する若年者は少なくありません。 心電図・胸部X線・採血などの検査で異常が見つからない場合、その代表的な原因の一つが**前胸部キャッチ症候群(Precordial Catch Syndrome, PCS)**です。 本症は強い痛みを伴うものの、生命予後に影響しない良性
採血で「LDHが低い」と言われた:何が起きているのか徹底考察
LDHとは何か(まず前提) LDH(乳酸脱水素酵素, lactate dehydrogenase)は、糖代謝に関わる酵素で、筋肉・肝臓・心筋・赤血球など多くの組織に存在します。 この「どこにでもある」という性質のため、LDHは「高い」場合でも原因臓器の特定力が弱く、逆に「低い」場合はさらに解釈が難しくなります。 結論:LDH低値は、病気よりも「検査値の見かけ」をまず疑う LDHが低いと聞くと不安に
Bell麻痺と顔面神経痛は、そもそも別の病態です
「顔が動かしにくい」「顔が痛い」「ピリピリする」 これらは一見似ていますが、関与する神経も原因も異なることが多い症状です。 顔面の症状を理解するうえで重要なのは、 麻痺=運動神経の障害 痛み=感覚神経の障害 という大原則です。 顔の運動を司るのは「顔面神経(第7脳神経)」 Bell麻痺とは Bell麻痺は、顔面神経(第7脳神経)単独の末梢性麻痺です。 主な特徴は以下の通りです。 片側の表情筋が動か
過敏性腸症候群(IBS)網羅解説 ―「検査で異常がないのに症状がつらい」の正体―
1. 過敏性腸症候群(IBS)とは何か 器質的異常(炎症・腫瘍・潰瘍など)がないにもかかわらず、腹痛と便通異常が慢性的に続く機能性消化管疾患。 有病率:日本で約10%前後 若年〜中年に多い 生命予後には影響しないが、QOLを著しく低下させる 重要点: 「気のせい」「自律神経の乱れ」という曖昧な概念ではなく、病態生理が明確に研究されている疾患。 2. 診断基準(Rome IV) IBSは症状で診断す
自律神経の乱れ の正体
「自律神経の乱れ」という言葉は広く使われていますが、 これは医学的な診断名ではありません。 まずこの点を明確にしておく必要があります。 自律神経とは何か 自律神経は、意思とは無関係に身体の内部環境を調整する神経系です。 具体的には、 心拍数 血圧 呼吸 消化管運動 体温調節 発汗 などを制御しています。 自律神経は次の2系統から構成されます。 交感神経:覚醒・活動・循環促進に関与 副交感神経:休息
過換気症候群で「手足がしびれる」のはなぜか?
過換気症候群では、 「息が苦しい」「動悸がする」と同時に 手足がしびれる・指が固まるといった症状がよくみられます。 このしびれは、神経や血管の病気ではなく、 呼吸による血液の変化で説明できます。 ① 過換気で起きているのは「酸素不足」ではない 不安や緊張、パニック状態になると、 呼吸が速くなる 深く吸いすぎる という状態が続きます。 このとき体内では、 酸素が足りなくなる → わけではありません
【2026年最新】黄砂の飛来が例年より早いと考えられる根拠と、注意すべき症状・対策
2026年は、日本への黄砂の飛来時期が例年より早い可能性が高いと判断されています。 これは感覚的な話ではなく、実際の気象観測・予測データに基づく事実です。 本記事では、 なぜ「2026年は黄砂が早い」と言えるのか それによって、どのような症状に注意すべきか 現実的で医学的に妥当な対策 を、根拠を明示しながら整理します。 2026年はなぜ「黄砂の飛来が早い」と言えるのか 1.1月の時点で日本への黄砂
【2026年最新】やせる注射(GLP-1関連薬)を中止すると体重はどうなるのか 最新エビデンスに基づく整理
BBCニュースで 「いわゆる“やせる注射”を中止した後、体重が再増加するスピードが速い可能性がある」 という研究が報道されました。 本記事では、2026年時点で利用可能な最も新しいエビデンスを基に、 この内容を事実のみに基づいて整理します。 結論(エビデンスベース) 体重管理薬を中止すると、体重は再増加する傾向がある 特に セマグルチド や チルゼパチド などの インクレチン関連注射薬では、再増加
ジベルバラ色粃糠疹(Pityriasis rosea)総説
概要 ジベルバラ色粃糠疹は、自然軽快することが多い炎症性皮膚疾患です。若年者に比較的多く、数週間〜数か月で治癒する経過をとります。強い全身症状を伴うことは稀ですが、発疹の見た目が特徴的で、初見では他疾患との鑑別が重要になります。 疫学 好発年齢:10〜40歳代 性差:やや女性に多いとされる報告あり 季節性:春・秋にやや多いとされるが一定しない 原因・病因 原因は確定していません 有力説:ヒトヘ
皮疹のない「帯状疱疹様神経痛」に抗ヘルペスウイルス薬はどこまで適応か(エビデンス重視)
結論から言うと、皮疹がない段階で「帯状疱疹(VZV再活性化)」と断定できないケースが多く、抗ヘルペスウイルス薬(アシクロビル/バラシクロビル/ファムシクロビル/アメナメビル等)の“標準的適応”は原則として成立しにくいです。一方で、皮疹を伴わない帯状疱疹(zoster sine herpete:ZSH)は存在し、検査でVZV再活性化が裏付けられる、または神経合併症が強く疑われる状況では、臨床的には帯
若年者の頻脈(洞性頻脈)についての考察
若年者でみられる頻脈の多くは、病的な不整脈ではなく洞性頻脈です。外来でも「動悸がする」「脈が速い気がする」という訴えはよくありますが、評価のポイントを整理すると、過度に心配する必要がないケースが大半です。 洞性頻脈とは何か 洞性頻脈とは、 心臓の正常なペースメーカー(洞結節)からの刺激で心拍数が増加している状態 を指します。 心電図ではP波の形・リズムは正常 心拍数のみが増加(通常100/分以上)
妊活中・妊娠中の抗ヘルペスウイルス薬使用の是非 ― アシクロビル/バラシクロビルは使ってよいのか ―
妊活中あるいは妊娠中に、 抗ヘルペスウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビルなど)を使用してよいのかどうかは、 医療者側が正確な安全性データを把握したうえで判断すべきテーマです。 特に、 妊活中に偶発的に内服した場合 妊娠判明前後に単純ヘルペスが再発した場合 妊娠後期の性器ヘルペス管理 といった 判断を要する場面は実臨床で確実に存在 します。 本稿では、日本の添付文書およびヒトでの疫学データをもと
2026年冬|感染性胃腸炎の全国的な流行状況【最新まとめ】
2026年冬(年末年始を含む時期)にかけて、日本全国で感染性胃腸炎の報告数は増加傾向が確認されています。例年どおり、冬季はノロウイルスを中心としたウイルス性胃腸炎が流行しやすい時期であり、今シーズンも同様の動きを示しています。 本記事では、全国向けに、現時点で公表されているサーベイランス情報をもとに、流行状況・原因ウイルス・注意点を整理します。 全国の流行状況(サーベイランス概要) 国の感染症発生
【2026年1月最新】全国インフルエンザ感染状況 ― 今シーズンの特徴と注意点 ―
2025–2026シーズンのインフルエンザは、例年より早い時期から全国的に流行しています。 2026年1月時点の感染症発生動向調査をもとに、現在の状況を整理します。 全国の流行状況(2026年1月時点) 全国の定点医療機関からの報告では、 多くの都道府県で警報レベルを超過 全国平均の定点当たり患者数は警報水準付近で高止まり 流行は一部地域に限らず、全国規模で持続 という状況が続いています。 特に九
インフルエンザAに同じシーズンで2回かかることはあるのか ― 理論上は否定できないが、実臨床ではほぼ想定しない ―
インフルエンザ流行期になると、 「インフルエンザAに同じシーズンで2回かかることはあるのか」 という疑問が話題になることがあります。 この問題は、定義を厳密にしないと必ず議論が破綻します。 医学的に整理すると、結論は明確です。 同一シーズンにインフルエンザAへ2回感染することは、理論上は完全には否定できないものの、健常な一般集団では実臨床で想定すべき事象ではありません。 以下、その理由を論理的に説
Edwardsiella tarda(エドワルジエラ・タルダ)とは
Edwardsiella tarda は、腸内細菌科に属するグラム陰性桿菌です。 自然界では淡水・海水・魚類(特にウナギなど)に存在し、ヒトでは主に経口感染により感染します。 日本では魚介類の生食文化があるため、まれに便培養で検出される菌です。 感染経路 確認されている主な感染経路は以下です。 生または加熱不十分な魚介類の摂取 汚染された水の摂取 調理時の二次汚染(手指・調理器具) 人から人への感
感染性胃腸炎の感染経路|医学的に確認されているものをすべて整理する
感染性胃腸炎は、ウイルス・細菌・一部の原虫などを原因として発症し、 その感染経路は大きく分けると糞口感染を中心とした複数のルートが存在します。 以下、医学的に確立している感染経路を順に解説します。 1. 糞口感染(fecal–oral transmission) 感染性胃腸炎の最も基本かつ主要な感染経路です。 仕組み 感染者の便・嘔吐物に含まれる病原体が 手指・物品・食品などを介して 口から体内に
自分で診断を決めて医師を動かそうとするより、もう一段ラクなやり方がある
日々の診療をしていると、たまにこんな場面に出会います。 「ネットで調べたら◯◯病だと思うので、この薬をください」 「前と同じ診断で大丈夫ですよね」 「検査はいいので、診断書だけお願いしたいです」 悪気がないのは分かります。 むしろ、ちゃんと調べてきている方も多い。 ただ正直に言うと、 それ、あまり“スマート”ではないことが多いです。 医師の役割は「指示通りに出す人」ではない 医師の仕事は、 ・
耳の後ろが刺すように痛い 小後頭神経痛・大耳介神経痛についての総説
「耳の後ろがチクッと刺すように痛む」「触ると電気が走る感じがする」「頭を動かしたときに一瞬強い痛みが出る」。 このような症状は、後頭部から耳の周囲を走る末梢神経が原因となる神経痛で説明できることがあります。代表的なのが小後頭神経痛と大耳介神経痛です。 小後頭神経・大耳介神経とは 後頭部から耳の後ろにかけての感覚は、主に頸神経叢から分かれる神経で支配されています。 小後頭神経 第2頸神経(C2)由来
蕁麻疹の最新研究(2025年) ― 内科医の立場から、いま分かっていることだけを整理します ―
はじめに 蕁麻疹は、内科外来でも非常によく遭遇する症状のひとつです。 一方で、2025年は慢性蕁麻疹、とくに「慢性自発性蕁麻疹(CSU)」に関して、海外を中心に新しい治療薬の臨床試験結果が複数報告されました。 ただし、最初に明確にしておきます。 当院(ひろつ内科クリニック)は内科クリニックであり、 これらの最先端治療(生物学的製剤や新規分子標的薬)を実施する医療機関ではありません。 本記事は ・患