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院長ブログ
日々の診療室から(340件)
秋バテ特集 第2弾 秋バテと自律神経の関係を医学的に解説
「秋バテ」は正式な医学用語ではありませんが、内科外来では毎年この時期に「なんとなくだるい」「眠れない」「朝から疲れている」といった訴えが増えます。 その中心にあるのが、自律神経の乱れです。では、なぜ季節の変わり目にこうした不調が起こるのでしょうか。 自律神経とは何か 自律神経は、私たちが意識せずに体の働きを調整してくれる神経です。 交感神経(活動モード) 副交感神経(休息モード) この二つがバラン
インフルエンザにかかったとき、出勤停止はいつまで? ― 大人にも「目安」はある ―
秋冬になると増えるインフルエンザ。 「熱が下がったから明日から出勤していいですか?」と聞かれることが多いですが、実は大人の出勤停止期間は法律で決まっていません。 しかし、医学的にも社会的にも、学校保健安全法の基準をそのまま目安にするのが最も合理的です。 子どもには明確な基準がある 学校保健安全法施行規則では、児童・生徒について次のように定められています。 「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2
マダニとSFTS(重症熱性血小板減少症候群)について総説
マダニは草むらや藪などに生息する吸血性のダニで、人や動物の血を吸う際に病原体を媒介することがあります。家庭内のダニとは種類が異なり、屋外での活動を通じて人が刺咬されるケースが増加しています。特に近年は、マダニが媒介する感染症として「日本紅斑熱」と「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」が問題となっています。 1. マダニの生態と感染リスク マダニは春から秋にかけて活動が盛んになり、森林や草地、畑の
QT延長症候群とは:突然死を防ぐために知っておきたい基礎知識
QT延長症候群(long QT syndrome:LQTS)は、心電図上でQT間隔が異常に長くなる状態を指し、心臓の電気的再分極の異常によって**致死性不整脈(トルサード・ド・ポワンツなど)**を起こすことがある疾患です。 突然死の原因にもなりうるため、早期の診断と適切な対応が重要です。 1. QT間隔とは 心電図におけるQT間隔は、心室の脱分極から再分極までの時間を示します。 具体的には、Q波の
抗ロイコトリエン薬(LTRA)とは?網羅的ガイド
1. ひとことで言うと ロイコトリエンという炎症メディエーターの働きをブロックして、鼻や気道の腫れ・狭まりを和らげる内服薬。アレルギー性鼻炎の鼻づまりや、喘息・咳喘息など“気道が過敏になっている状態”で役立つポジションです。日本の最新ガイドラインでも、鼻閉が目立つ鼻炎や喘息での選択肢として位置づいています。 2. 代表薬(日本) モンテルカスト(先発:シングレア/キプレス等の後発含む) プランル
検診で「低コレステロール」と言われたら ―放置していいのか、再検査が必要なのか―
健康診断で「コレステロールが低い」と言われると、多くの方は「いいことでは?」と思うかもしれません。 しかし、コレステロール値が低すぎる場合には、栄養状態や肝機能、甲状腺機能などに問題が隠れていることがあります。 ここでは、日本の最新エビデンスとガイドラインに基づいて、低コレステロール血症の原因・評価・対応を総合的に解説します。 1. そもそも「低コレステロール」とは 一般的に、総コレステロール(T
心電図の「早期再分極」とは?放置していいの?リスクと見分け方を徹底解説
健康診断で「早期再分極」と言われた方へ。正常と異常の違い、危険なタイプ(悪性型)の特徴、最新の研究によるリスク評価を医師が分かりやすく解説します。 心電図の「早期再分極」って何? 健康診断で「早期再分極があります」と言われ、不安になる方は多いと思います。 この「再分極」とは、心臓の筋肉が電気的に“リセット”される過程のこと。 そのリセットが早めに起こっている状態を「早期再分極(Early Repo
線維筋痛症とは?原因・症状・診断・治療を徹底解説
線維筋痛症(fibromyalgia:FM)は、明確な炎症や組織損傷がないにもかかわらず、全身に持続的な痛みが生じる慢性疼痛疾患です。日本でも近年、認知が高まりつつありますが、診断・治療には依然として難しさが伴います。本記事では、最新の国際ガイドラインと国内研究に基づき、線維筋痛症の全体像をわかりやすく整理します。 線維筋痛症の定義と疫学 線維筋痛症は、アメリカリウマチ学会(ACR)が2010年に
健康診断で「血小板が低い」と言われたら
血液検査の結果に「血小板が少ない」と書かれていると、不安になる方も多いと思います。 しかし血小板減少(thrombocytopenia)は、一過性の反応から骨髄疾患まで幅広い原因で生じる現象です。 ここでは、日本血液学会や内科学会のエビデンスをもとに、正確な見方と次にすべき対応を解説します。 血小板とは何か 血小板は骨髄内の巨核球(megakaryocyte)から放出される細胞断片で、血液1μLあ
猫ひっかき病とは?原因・症状・検査・治療を総まとめ
猫に引っかかれたあとに数日~数週間してリンパ節が腫れる――。 このような経過を示す感染症が「猫ひっかき病(Cat scratch disease:CSD)」です。 原因菌は**Bartonella henselae(バルトネラ・ヘンセレ)**というグラム陰性桿菌で、感染経路・診断・治療方針は日本でも確立しています。 原因と感染経路 日本では、猫の約10〜30%がBartonella hensela
椎骨動脈解離とは
椎骨動脈解離とは、首の後ろを走る「椎骨動脈(vertebral artery)」の血管壁が裂けて、血液が壁の中に入り込み、内側から圧迫されることで血流が妨げられる状態です。主に脳梗塞(特に延髄・小脳)やくも膜下出血の原因となることがあります。若年者でも発症することがあり、脳卒中の原因の5〜10%を占めるとも言われています。 主な原因 多くの場合、明確な外傷がなく自然に起こりますが、次のような要因が
自然気胸とは?原因・症状・治療・再発予防まで徹底解説
自然気胸(しぜんききょう)とは、肺に穴が開き、空気が胸腔内に漏れ出して肺がしぼむ状態を指します。交通事故や刺傷などの外傷によらず自然に発症するため、「自然気胸」と呼ばれます。若年男性や喫煙者に多く、突然の胸痛や呼吸苦で発症することが特徴です。 自然気胸の種類と発症機序 自然気胸は大きく2つに分類されます。 原発性自然気胸(Primary Spontaneous Pneumothorax:PSP)
高感度を、誠実に。ひろつ内科クリニックのインフル・コロナ同時検査 富士ドライケム IMMUNO AG2 を用いた「見逃しを減らす」診断体制
当院では、富士フイルムの定性装置「ドライケム IMMUNO AG2」を用いて、インフルエンザと新型コロナウイルスの同時抗原定性検査を行っています。 検査は一律実施ではなく、症状・発症時期・曝露歴・社会的要請などを考慮し、患者さんの希望とも照らして慎重に適応を判断しています。 「早さよりも正確さ」を重視し、必要な検査を、誠実に行うのが当院の方針です。 ドライケム IMMUNO AG2 の特長 金コロ
線維筋痛症とは?
慢性的な全身の痛みを特徴とする「線維筋痛症(Fibromyalgia)」は、見た目には異常がないにもかかわらず、痛みや倦怠感、睡眠障害などが続く疾患です。日本では10万人あたり約100人前後の有病率とされ、特に中年以降の女性に多くみられます。 症状の特徴 全身に広がる慢性的な痛み(3か月以上持続) 朝のこわばりや関節痛に似た症状 睡眠の質の低下(熟睡できない) 強い倦怠感、集中力低下、頭痛、過敏性
仕事帰りにさっとインフルエンザワクチン接種を ― 夜間・休日も受付中(ひろつ内科クリニック)
秋冬に向けて、インフルエンザワクチンの接種時期が始まりました。 「仕事が終わるのが遅くて病院が閉まっている」「休日は混んでいて行けない」 そんな方にこそ、当院の夜間・休日接種をおすすめします。 夜21時まで・土日祝も診療 ひろつ内科クリニックでは、平日12:00〜21:00、土日祝も診療しています。 仕事帰りに立ち寄れる時間帯にインフルエンザワクチンの接種が可能です。 予約はWebから24時間受け
nodocaが新たに「コロナ参考判定機能」を取得 AI診断が拓く次の医療の形
当院でも導入しているAI診断支援システム「nodoca」が、2025年10月に新型コロナウイルス感染症の参考判定機能を追加承認されました。 これは、既に薬事承認を得ている「インフルエンザAI診断機能」に対する一部変更承認という形で、既存システムの延長として認められたものです。 つまり、これまで咽頭画像からインフルエンザの可能性をAIが解析していたのに加え、同じ画像からコロナの“参考結果”も提示でき
日本で使われるインフルエンザワクチンを網羅解説(2025/26シーズン)
日本の季節性インフルエンザワクチンは、大きく「不活化HAワクチン(注射)」と「経鼻弱毒生ワクチン(フルミスト)」、そして高齢者向けの「高用量HAワクチン(筋注)」があります。2025/26シーズン(令和7年度)は、標準の不活化HAワクチンが“3価(A/H1N1・A/H3N2・B〈ビクトリア系統〉)”に移行しています。厚生労働省 1. 種類と作用の違い(日本のラインナップ) 不活化インフルエンザHA
ミドドリンによる高血圧の副作用 ― 起立性調節障害で処方される前に知っておきたいこと
ミドドリンとは ミドドリン塩酸塩(商品名:メトリジン)は、交感神経を刺激して血管を収縮させることで血圧を上げる薬です。 もともと 神経因性起立性低血圧 や 起立性調節障害(OD) に対して使用され、立ちくらみやふらつきを改善する目的で処方されます。 作用機序 ミドドリンは体内で活性代謝物「デスメチルミドドリン」に変換され、α1アドレナリン受容体を刺激して末梢血管を収縮させます。 これにより血圧が上
即効性のある漢方・じっくり効く漢方 ― 効果発現のスピードの違いを理解する
「漢方は長く飲まないと効かない」と思っていませんか? 実は、**数時間で効果を実感できる“即効型の漢方”**もあれば、**数週間〜数か月かけて体質を整える“じっくり型の漢方”**もあります。 本記事では、その両者の違いと代表的な処方を、臨床的な使用例を交えて詳しく解説します。 即効性を期待できる漢方(急性期・発作性症状向け) いわば「その場で効く」タイプ。 発汗、鎮痛、鎮痙、利尿、消化促進といった
インフルエンザワクチンの副反応発生確率を徹底解説 (2025年版・エビデンスレベル最高)
毎年秋冬になると、多くの方がインフルエンザワクチンを接種します。 しかし、「副反応が怖い」「発熱したらどうしよう」と不安に感じる方も少なくありません。 この記事では、日本および国際的な高エビデンス研究をもとに、インフルエンザワクチンの副反応発生確率を科学的に解説します。 1. 副反応とは何か 「副反応」とは、ワクチンによって起こる生体の反応のうち、目的としない作用のことを指します。 その多くは免疫
潜伏梅毒(無症状梅毒)とは:定義・診断・治療
梅毒はトレポネーマ・パリダムによる性感染症です。典型的には皮疹やしこりで気づかれることが多いですが、症状が全くないまま血液検査で診断されることもあります。この状態は 潜伏梅毒(latent syphilis) と呼ばれます。 潜伏梅毒の定義 梅毒血清反応(RPR、TPHAなど)が陽性 臨床的な症状を認めない 分類は以下のとおりです。 早期潜伏梅毒(感染から1年以内) 再び第2期の症状が出ることが
銀杏中毒について総説
秋から冬にかけて旬を迎える銀杏は、茶碗蒸しや炒り銀杏などで親しまれています。しかし食べ過ぎにより「銀杏中毒」を起こすことが知られています。これは古くから日本で繰り返し報告されてきた食中毒であり、特に小児では重症化する可能性があるため注意が必要です。 銀杏中毒の原因成分 銀杏の種子には「4′-メトキシピリドキシン(MPN, ginkgotoxin)」が含まれています。 MPNはビタミンB6(ピリドキ
サルモネラ食中毒とは?症状・原因・予防策を徹底解説
サルモネラとはどんな菌か サルモネラ(Salmonella属)は腸内細菌科に属するグラム陰性桿菌で、世界中に広く分布しています。ヒトだけでなく、家畜、野生動物、爬虫類、鳥類など多様な生物に常在しており、食品や環境を介して容易にヒトへ伝播します。 血清型は2,500種類以上が確認されており、その中でも Salmonella Enteritidis(エンテリティディス) や Salmonella Ty
刺身や生魚で起こる細菌性腸炎 ― 主な原因菌と症状・予防策を徹底解説
日本の食文化に欠かせない「刺身」や「寿司」。世界的にも人気ですが、生魚を食べる文化は実は少数派です。その背景には「鮮度・保存・衛生管理」が厳密に守られている日本ならではの安全体制があります。 しかし、それでも 生魚を原因とする細菌性腸炎(食中毒) は毎年一定数報告されており、特に夏季や免疫が弱い人にとってはリスクが高まります。ここでは代表的な原因菌を整理し、症状・特徴・予防策を詳しく解説します。