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院長ブログ
日々の診療室から(403件)
治らないニキビに「イソトレチノイン」という選択肢|効果・副作用・治療の流れを医師が解説
この記事の要点 イソトレチノインはビタミンA誘導体の経口薬で、重症ニキビに対して世界40年以上の使用実績を持つ治療薬です 皮脂腺の縮小・毛穴の角化抑制・抗炎症作用など複数の機序が重なり、保険診療で改善しなかったニキビにも高い効果が期待できます 日本では未承認薬のため自費診療での提供となり、開始前の血液検査と定期的なモニタリングが必要です 強い催奇形性があり、妊娠中・授乳中・妊娠の可能性がある方は使用できません 治療期間は通常4〜6か月。適切な管理下で使用すれば、安全性が高く長期的な効果が期待できる薬剤です 1. イソトレチノインとは イソトレチノインは、ビタミンA(レチノール)の化学的類似体で
風邪・胃腸炎の処方薬はドーピング検査に引っかかる?アスリートが知っておくべき薬の選び方【内科医が解説】
この記事の要点 WADA(世界アンチ・ドーピング機関)の禁止リストは毎年1月1日に更新される。処方薬であっても禁止物質を含む場合がある 風邪処方で特に注意が必要なのは「PL顆粒」「葛根湯・小青龍湯」「コデイン系鎮咳薬」「ステロイド経口・注射」 アセトアミノフェン(カロナール)・NSAIDs・抗生剤・整腸剤・ドンペリドンはドーピング上問題ない 処方を受ける際は医師に「競技会の時期」と「アスリートであること」を必ず申告すること 禁止物質が治療上必要な場合はTUE(治療使用特例)の申請で対応できる ドーピング違反は「知らなかった」では免責されない スポーツにおけるドーピング違反の原則として、選手は自
粘血便が出たらどうする?原因の鑑別と受診すべき症状【内科医が解説】
この記事の要点 粘血便(ねんけつべん)とは、粘液と血液が混じった便のことで、「イチゴゼリー状」と表現されることがある 原因は感染性腸炎・潰瘍性大腸炎・クローン病・大腸がん・虚血性腸炎など多岐にわたる 「痔だろう」と自己判断して放置するのはリスクが高い 発熱・激しい腹痛・大量出血を伴う場合は緊急受診が必要 症状が2〜3日以上続く場合や繰り返す場合は、内科を受診して大腸カメラの適応を判断してもらうことが推奨される そもそも「粘血便」とは何か 便に含まれる粘液は、腸の粘膜から分泌されるタンパク質の一種で、便が腸内をスムーズに移動するために必要なものです。健常な状態では腸に再吸収されるため、通常は便の
EBウイルス感染後に紫斑が出た——血小板減少性紫斑とはどんな状態か
はじめに 「EBウイルスに感染した後、皮膚に赤い斑点が出てきた」——そのような訴えで受診される患者さんが一定数います。発熱・咽頭痛・リンパ節腫脹という典型的な伝染性単核球症の症状が落ち着き始めた頃に、今度は皮膚の出血斑が目立ち始める——この経過を踏まえると、EBウイルス感染に関連した血小板減少が背景にある可能性を考える必要があります。 本記事では、EBウイルス(Epstein-Barr virus、以下EBV)感染後に生じる紫斑の機序・症状・診断・対応について、内科医の立場から解説します。 EBウイルス感染症(伝染性単核球症)とは EBVはヘルペスウイルス科に属するウイルスで、主に唾液を介して
口唇ヘルペス(熱の花)完全ガイド|症状・原因・治療・再発予防まで内科医が解説【福岡・博多】
この記事の要点 口唇ヘルペスの原因ウイルス(HSV-1)は、日本人成人の約60〜80%が感染している非常にありふれたウイルスです 一度感染すると三叉神経節に潜伏し、免疫低下のたびに再発します(完治はしません) 治療の核心は「前駆症状の段階で抗ウイルス薬を内服すること」。タイミングが早いほど効果が高くなります 年3回以上再発する方には「PIT療法(Patient Initiated Therapy)」という先手治療が保険適用で受けられます ウイルス排泄は症状消失後も続くため、かさぶたが完全に落ちるまで感染対策が必要です 口唇ヘルペスとは 唇の周囲にピリピリとした違和感とともに小さな水ぶくれが現れ
花粉症の点鼻薬、どれを使えばいい?処方薬・市販薬の噴射感・使用感を医師が徹底解説
この記事の要点 点鼻ステロイド薬の「使い心地」はデバイス・剤形・投与回数で大きく異なります。 成分の違いだけでなく、「液体か粉末か」「液だれするかどうか」「においや刺激があるか」といった使用感の差が、継続率に直結します。 処方薬では4製品(アラミスト・ナゾネックス・エリザス・フルナーゼ)が主流であり、それぞれデバイス特性が異なります。 当院でも患者さんの職業・生活スタイル・鼻の敏感さに応じて選択を調整しています。 市販薬(OTC)のステロイド点鼻薬は、フルナーゼ点鼻薬とナザールαARの2製品が中心です。 処方薬と同一成分の製品もありますが、適応・使用上限・デバイス設計は異なります。 「市販薬で
食後に眠気・動悸・だるさが出る「反応性低血糖」とは?病態と自宅でできる対処法を解説
この記事の要点 反応性低血糖は、食事後2〜5時間以内にインスリンの過剰分泌が起き、血糖値が急激に低下することで起こる 昼食後の強い眠気・集中力低下・動悸・冷汗・手の震えが主な症状 糖尿病薬を使っていない人でも起こりうる病態である 食事内容・食べる順番・食事回数を見直すことで、自宅での対処が可能 症状が繰り返す・強い場合は内科への受診と血糖測定が必要 「食べたのに低血糖」はなぜ起きるのか 食後に急激な眠気に襲われる、強い疲労感で動けなくなる、動悸や手の震えが出る——これらの症状を「食後特有のもの」として放置されている方が少なくありません。 原因の一つとして考えられるのが「反応性低血糖(react
「どこでうつった?」より大事なこと|嘔吐・下痢の感染性胃腸炎、治療は原因が何であれ変わらない【福岡市博多区】
この記事の要点 嘔吐・下痢が出たとき、「どこでうつったか」を気にするのは自然な反応です 家族や同席者に同じ症状が出ている場合は食中毒の可能性があり、感染源を確認することに意味があります ただし、原因ウイルスが何であれ、個人の治療方針は変わりません 感染源の追跡より、今すぐ「脱水を防ぐ」「周囲にうつさない」「受診の判断を誤らない」の3点を優先してください 診察室でよく聞かれる質問 「先生、これってどこでうつったんでしょう?」 嘔吐・下痢が続いているとき、患者さんの多くがこう尋ねます。昨日食べたものが悪かったのか、誰かからうつったのか、職場の食事会が原因なのか——気になるのは当然のことです。 ただ
ノロウイルス感染症の症状を徹底解説|潜伏期間・感染経路・受診の目安【福岡市博多区 内科】
この記事の要点 ノロウイルスは潜伏期間24〜48時間後に突然発症し、嘔吐・下痢・腹痛が主症状 症状は通常1〜3日で改善するが、症状消失後も1週間〜1か月は便中にウイルスを排出 感染性胃腸炎患者の年間患者数は約195万人/年と推定され、その多くがノロウイルスによる(厚生労働省) 有効な抗ウイルス薬・ワクチンはなく、対症療法と脱水予防が治療の柱 アルコール消毒は効果が限定的であり、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒と石鹸での手洗いが有効 乳幼児・高齢者・基礎疾患保有者は重症化リスクが高く、早期受診が必要 ノロウイルスとはどのようなウイルスか ノロウイルスはカリシウイルス科ノロウイルス属の1本鎖RNAウ
2026年春のスギ花粉、全国で飛散開始|福岡はピーク目前、今週末が最初の山場
この記事の要点 2026年のスギ花粉は2月中旬、全国で一斉に飛散を開始しました。東京は2月13日、九州・東海の一部は2月16日までに飛散開始が確認されています。 飛散量は地域差が大きく、東日本・北日本は例年より多く非常に多い所もある見込みです。西日本は概ね例年並みの予測です。 福岡では2月16〜17日に観測値が急増し、本格飛散が始まりました。ピークは2月下旬からの見込みです。 2月21〜23日の3連休は全国的に気温が急上昇し、飛散量が大幅増の見込みです。黄砂との同時飛来リスクも重なります。 1. 全国の飛散状況:2月第3週時点でどうなっているか 飛散開始の確認状況 日本気象協会の第4報(202
下痢で低カリウム血症になる理由|仕組みと対処法を内科医が解説
この記事の要点 下痢では大腸からカリウムが直接失われる(便中K濃度は20〜50 mEq/Lに達することがある) 脱水によるアルドステロン上昇が腎臓からのカリウム排泄をさらに増加させる 嘔吐を伴う場合は代謝性アルカローシスによる細胞内シフトも加わり、低K血症が急速に悪化する 補液の際は必ずカリウム補正を行う(生理食塩液のみでは悪化する可能性がある) 「下痢が続いたら足がつった」「採血でカリウムが低か
犬に咬まれたらまず何をすべき? ― 応急処置・病院受診の目安・感染リスクを内科医が解説
この記事の要点 犬に咬まれた直後にまずやるべきことは、流水で最低5分間、傷口を徹底的に洗い流すことです。 これが感染予防において最もエビデンスのある初期対応であり、Pasteurella属菌や狂犬病ウイルスのリスクを大幅に低減します[1][2]。 「ちょっと咬まれただけ」「血も止まったし大丈夫だろう」――そう判断して受診しない方は少なくありません。 しかし、犬咬傷の感染率は3〜18%とされており[
A型にかかったのに、またインフルエンザ? ― 1シーズンに2回かかる理由と、今やるべきこと【2026年2月第3週】
この記事の要点 2026年2月第3週、インフルエンザの流行が再び加速しています。 厚生労働省の2月16日発表(第6週:2月2日〜8日)では、定点当たり報告数が全国で43.34に達し、前週の30.03から大幅に増加しました[1]。 定点医療機関からの報告数は164,744人。33の都道府県が警報レベル(定点30以上)を超えています[1]。 福岡県も例外ではなく、福岡地区の定点当たり報告数は55.36
アフターピルが薬局で買えるようになった? 現状と制度の整理【2026年2月最新版】
この記事でわかること いつから薬局でアフターピルが買えるようになったか 現状の購入条件と流れ 注意点と受診が必要になるケース 結論:現時点の要点(2026年2月) 2026年2月2日から、日本国内の一定の要件を満たす薬局で、医師の処方箋なしに緊急避妊薬(アフターピル)の対面販売が始まりました。ただし販売できる薬局や対応薬剤師の要件があり、すべての薬局で買えるわけではありません。薬局販売は「要指導医
外国人診療をつつがなくこなしているクリニックは、日本人に対する診療姿勢も良いと予想される理由
最近、日本の医療現場でも外国人患者を診る機会は確実に増えています。観光、留学、就労など背景はさまざまですが、「言語や文化が異なる患者を診療する」という場面は、もはや特別なものではありません。 今日は少し肩の力を抜いて、一般論としての雑感を書いてみます。 あくまで個人的な観察ですが、外国人診療を安定して、落ち着いて、つつがなくこなしている医療機関は、日本人に対する診療姿勢も丁寧である可能性が高い、と
デパスは本当に危険な薬なのか? ―依存性問題と臨床的役割を整理する―
「デパスは危ない薬らしい」 「依存になるから絶対にやめた方がいい」 このような情報を目にして、不安になったことがある方もいるかもしれません。 しかし医療は、善か悪かの二元論では語れません。 重要なのは「薬そのものが悪かどうか」ではなく、どのような状況で、どのように使われているかです。 今回は、デパス(一般名:エチゾラム)について、薬理学・ガイドライン・臨床現場の実態を整理します。 デパスとは何か
花粉症市販薬を徹底比較①【完全版】 アレグラFX・クラリチンEX・ストナリニZはどう違うのか ― 成分構造・眠気・鼻閉への効果まで医学的に整理する ―
花粉症シーズンになると、まず検討されるのが市販薬です。 その中心にあるのが第二世代抗ヒスタミン薬です。 現在、ドラッグストアで主力となっている代表製品は次の3つです。 アレグラFX クラリチンEX ストナリニZ 結論から言うと、 「どれが一番強いか」ではなく、 症状タイプと眠気リスクで選ぶ薬が変わります。 その理由を順に説明します。 1. まず病態を整理する 花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)はIg
花粉症市販薬を徹底比較④【完全版】 眠くならない市販薬はどれか ― 「眠気」と「集中力低下」を薬理学で整理し、具体的な選び方を提示する ―
花粉症の市販薬を選ぶとき、毎年必ず問題になるのが「眠気」です。 ただし、眠気は単に「眠くなる/ならない」だけではありません。 抗ヒスタミン薬の中枢移行によって起こり得るのは主に2つです。 眠気(主観症状) インペアード・パフォーマンス(集中力・判断力・作業効率の低下) 本人が眠気を強く自覚しなくても、後者が出ることがあります。 この視点が、市販薬選びでは重要です。 1. 眠気はなぜ起こるのか:中枢
花粉症市販薬を徹底比較⑥【完全版】 OTCで治らない花粉症 ― どこからが医療介入か。市販薬の限界を“重症度と作用機序”で整理する ―
シリーズ最終回は、結論を明確にします。 市販薬(OTC)は、成分そのものは医療用と共通のものも多く、軽症〜中等症の一部では合理的に使えます。 一方で、花粉症は「症状の強さ」「鼻閉の比率」「合併症(喘息・副鼻腔炎など)」によって、OTCだけでは管理しにくい層が一定数存在します。 本稿では、 「どこからが医療機関での評価・治療が検討されるか」 を、推測ではなく、ガイドラインの枠組みと薬理学で整理します
花粉症市販薬を徹底比較②【完全版】 フルナーゼ点鼻薬とナザールαARは本当に有効か ― 炎症カスケードから理解する点鼻ステロイドの位置づけ ―
第1回では第二世代抗ヒスタミン薬を整理しました。 しかし日本の鼻アレルギー診療ガイドラインでは、 中等症以上の第一選択は「点鼻ステロイド」です。 市販で購入できる代表製品は次の2つです。 フルナーゼ点鼻薬〈季節性アレルギー専用〉 ナザールαAR0.1% いずれも有効成分は フルチカゾンプロピオン酸エステルです。 1. 抗ヒスタミンと何が違うのか? まず構造的な違いを明確にします。 ■ 抗ヒスタミン
花粉症市販薬を徹底比較③【完全版】 鼻づまりに強い市販薬はどれか ― ナザールスプレーとプソイドエフェドリンの功罪を整理する ―
第1回・第2回で整理した通り、 抗ヒスタミン薬はヒスタミン経路のみ 点鼻ステロイドは炎症全体 に作用します。 しかし、 「今この瞬間の鼻づまりをどうにかしたい」 というニーズに使われるのが血管収縮系薬剤です。 代表的製品は次の通りです。 ■ 局所血管収縮薬 ナザールスプレー 主成分:ナファゾリン塩酸塩 ■ 内服血管収縮成分を含む製品 コンタック鼻炎Z (プソイドエフェドリン含有) 1. 鼻づまりの
花粉症市販薬を徹底比較⑤【完全版】 総合鼻炎薬という名の“配合カプセル”を解体する ― パブロン鼻炎カプセルSα・コンタック鼻炎Zの成分構造を読む ―
ここまでで整理したように、 ・抗ヒスタミン単剤 ・点鼻ステロイド ・血管収縮薬 は、それぞれ作用機序が明確です。 一方、市販棚で目立つのが 「総合鼻炎薬」「カプセルタイプ」です。 代表例: パブロン鼻炎カプセルSα コンタック鼻炎Z 一見「強そう」に見えますが、 重要なのは“何が入っているか”です。 1. 配合剤の基本構造 多くの総合鼻炎薬は、以下のような構成です。 成分群 役割 抗ヒスタミン く
痛風発作に対するコルヒチンの効果と用量 ― 病態から承認用量・低用量レジメンまで整理する
痛風発作は「尿酸が高いこと」そのものではなく、関節内に沈着した尿酸ナトリウム(MSU)結晶に対する急性炎症反応です。 コルヒチンは鎮痛薬ではなく、この炎症カスケードを抑制する薬剤です。 本記事では、 痛風発作の分子レベルの病態 コルヒチンの作用機序 臨床的位置づけ 日本の承認用量 近年の低用量レジメン を体系的に整理します。 1.痛風発作の本態:IL-1βと好中球炎症 ① MSU結晶の沈着 高尿酸
授乳中の内服は何に注意したらいいのか ―「飲めない」ではなく「どう判断するか」を整理する―
はじめに 授乳中の方からよく聞かれる質問のひとつに 「授乳中は薬を飲んではいけないのでしょうか?」 というものがあります。 結論から言えば、授乳中であっても内服が検討される薬は存在します。 一方で、すべての薬が無条件に使用できるわけではなく、医師は一定の判断軸に基づいて可否を考えています。 この記事では、 授乳中の内服を判断する際に、医療者が何を見ているのか という点を、一般の方にも分かるよう総説