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院長ブログ

日々の診療室から(340件)

インフルエンザ

【2026年1月最新】全国インフルエンザ感染状況 ― 今シーズンの特徴と注意点 ―

2025–2026シーズンのインフルエンザは、例年より早い時期から全国的に流行しています。 2026年1月時点の感染症発生動向調査をもとに、現在の状況を整理します。 全国の流行状況(2026年1月時点) 全国の定点医療機関からの報告では、 多くの都道府県で警報レベルを超過 全国平均の定点当たり患者数は警報水準付近で高止まり 流行は一部地域に限らず、全国規模で持続 という状況が続いています。 特に九

感染症・流行情報

Edwardsiella tarda(エドワルジエラ・タルダ)とは

Edwardsiella tarda は、腸内細菌科に属するグラム陰性桿菌です。 自然界では淡水・海水・魚類(特にウナギなど)に存在し、ヒトでは主に経口感染により感染します。 日本では魚介類の生食文化があるため、まれに便培養で検出される菌です。 感染経路 確認されている主な感染経路は以下です。 生または加熱不十分な魚介類の摂取 汚染された水の摂取 調理時の二次汚染(手指・調理器具) 人から人への感

感染症・流行情報

感染性胃腸炎の感染経路|医学的に確認されているものをすべて整理する

感染性胃腸炎は、ウイルス・細菌・一部の原虫などを原因として発症し、 その感染経路は大きく分けると糞口感染を中心とした複数のルートが存在します。 以下、医学的に確立している感染経路を順に解説します。 1. 糞口感染(fecal–oral transmission) 感染性胃腸炎の最も基本かつ主要な感染経路です。 仕組み 感染者の便・嘔吐物に含まれる病原体が 手指・物品・食品などを介して 口から体内に

日常の風景

自分で診断を決めて医師を動かそうとするより、もう一段ラクなやり方がある

日々の診療をしていると、たまにこんな場面に出会います。 「ネットで調べたら◯◯病だと思うので、この薬をください」 「前と同じ診断で大丈夫ですよね」 「検査はいいので、診断書だけお願いしたいです」 悪気がないのは分かります。 むしろ、ちゃんと調べてきている方も多い。 ただ正直に言うと、 それ、あまり“スマート”ではないことが多いです。 医師の役割は「指示通りに出す人」ではない 医師の仕事は、 ・

一般内科・症状解説

耳の後ろが刺すように痛い 小後頭神経痛・大耳介神経痛についての総説

「耳の後ろがチクッと刺すように痛む」「触ると電気が走る感じがする」「頭を動かしたときに一瞬強い痛みが出る」。 このような症状は、後頭部から耳の周囲を走る末梢神経が原因となる神経痛で説明できることがあります。代表的なのが小後頭神経痛と大耳介神経痛です。 小後頭神経・大耳介神経とは 後頭部から耳の後ろにかけての感覚は、主に頸神経叢から分かれる神経で支配されています。 小後頭神経 第2頸神経(C2)由来

一般内科・症状解説

蕁麻疹の最新研究(2025年) ― 内科医の立場から、いま分かっていることだけを整理します ―

はじめに 蕁麻疹は、内科外来でも非常によく遭遇する症状のひとつです。 一方で、2025年は慢性蕁麻疹、とくに「慢性自発性蕁麻疹(CSU)」に関して、海外を中心に新しい治療薬の臨床試験結果が複数報告されました。 ただし、最初に明確にしておきます。 当院(ひろつ内科クリニック)は内科クリニックであり、 これらの最先端治療(生物学的製剤や新規分子標的薬)を実施する医療機関ではありません。 本記事は ・患

アートメイク・脱毛

医療レーザー脱毛で硬毛化した場合の対処法 ― ジェントルマックスプロ使用時の考え方と対応 ―

医療レーザー脱毛は、高い減毛効果が期待できる治療ですが、まれに「硬毛化(こうもうか)」と呼ばれる現象が起こることがあります。 本記事では、**ジェントルマックスプロ(アレキサンドライトレーザー 755nm/Nd:YAGレーザー 1064nm)**を使用した医療脱毛を前提に、硬毛化の医学的整理と、現在のエビデンスに基づく対処法を解説します。 硬毛化とは何か 硬毛化(paradoxical hyp

一般内科・症状解説

リフヌア(ゲーファピキサント)とは何か

リフヌアは、**慢性咳嗽(8週以上続く咳)**に対して2022年に日本で承認された新しい作用機序の治療薬です。 従来の「原因疾患を治療する咳止め」とは異なり、咳そのものの神経過敏を抑える薬という位置づけになります。 適応 既存治療(喘息、GERD、後鼻漏など)を行っても改善しない 原因が特定できない、または複数要因が絡む慢性咳嗽 作用機序:P2X3受容体拮抗薬 咳は「気道の知覚神経」が刺激されるこ

メディカルダイエット

マンジャロ使用で奇形児は増えるのか?現時点のエビデンス整理

メディカルダイエットや糖尿病治療で使用されるマンジャロ(一般名:チルゼパチド)について、「使用すると奇形児が増えるのではないか」という質問を受けることがあります。 本記事では、現時点で確認されている医学的事実のみを整理します。 結論: マンジャロ使用により、ヒトで奇形児の発生率が上昇したと示す臨床データは存在しません。 ただし、動物試験では胎児毒性が確認されており、妊娠中の使用は明確に禁忌とされて

一般内科・症状解説

鶏肉とO157の関係

1. O157は「牛由来」が圧倒的に多い O157の主な保菌動物は牛 牛肉・牛レバー・牛由来の糞便汚染が感染源の中心 そのため、鶏肉はO157の典型的リスク食品ではない 2. それでも「ゼロではない」理由 鶏肉の生食でO157が起こりうる理由は以下です。 食肉処理場や調理環境での交差汚染 牛肉 → まな板・包丁 → 鶏肉 流通・調理段階での二次汚染 非常にまれだが、鶏がO157を保菌していた報告例

一般内科・症状解説

高トリグリセライド血症の治療薬を網羅的に解説します

健康診断や採血で「中性脂肪(トリグリセライド:TG)が高い」と指摘される方は非常に多く、外来でも頻繁に相談を受けます。 この記事では、日本のガイドラインを前提に、高トリグリセライド血症に対して使用される治療薬を、実臨床での使い分けが分かる形で整理します。 高トリグリセライド血症とは 日本動脈硬化学会では、空腹時中性脂肪(TG)150 mg/dL以上を高トリグリセライド血症と定義しています。 特に注

一般内科・症状解説

帯状疱疹に対する抗ウイルス薬の使い分け|内服・点滴・腎機能まで網羅解説

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が体内で再活性化することで発症します。 治療の中心は**抗ウイルス薬の全身投与(内服または点滴)**であり、発症早期に適切な薬剤を選択できるかが重要とされています。 本記事では、日本の診療ガイドラインを前提に、 ・使用される抗ウイルス薬 ・内服薬と点滴の使い分け ・腎機能低下時の注意点 を中心に、実臨床ベースで整理します。 抗ウイルス薬治療の目的 帯状疱

インフルエンザ

福岡県のインフルエンザ感染者数が全国でも最上位水準となっている現状について

福岡県のインフルエンザ流行状況(最新データ) 福岡県では、2025年冬シーズンに入りインフルエンザの流行が急速に拡大しています。 感染症発生動向調査(定点把握)によると、2025年第49週(12月1日〜12月7日) における福岡県のインフルエンザ定点当たり患者報告数は 65.56 でした。 この数値は、同時期の全国平均(38.51)を大きく上回る水準であり、都道府県別に見ても全国で最上位水準に位置

一般内科・症状解説

低用量ピルとトラネキサム酸併用で血栓症リスクは本当に上がるのか ―「過度に心配する必要はない」と言える根拠を整理する―

低用量ピル(OC/LEP)を内服中の方が、月経過多や肝斑治療などの目的で**トラネキサム酸(TXA)**を併用してよいのか、という相談は少なくありません。 とくに「血栓症リスクが重なるのではないか」という点がよく問題になります。 結論から言うと、現時点のエビデンスを総合すると、適切な患者選択と短期・適正使用であれば、併用を過度に恐れる必要はない、という整理が妥当です。 まず大前提:理論的懸念と臨床

一般内科・症状解説

帯状疱疹の治療薬と腎障害 ― 腎機能が低下している方は何に注意すべきか ―

帯状疱疹(Herpes zoster)は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化によって起こる疾患です。 治療の基本は抗ウイルス薬の早期投与ですが、これらの薬剤は腎機能の影響を強く受けるという重要な特徴があります。 特に高齢者では、自覚のない腎機能低下を合併していることも多く、薬剤選択や用量調整を誤ると副作用リスクが高まります。 この記事では、帯状疱疹治療薬と腎障害の関係について、実臨床ベース

インフルエンザ

12月中旬以降のインフルエンザワクチン接種について 今年はインフルエンザAの流行が早かったが、それでも無意味ではない理由

今年のインフルエンザシーズンは、例年と比べてインフルエンザA型の流行開始が早いという特徴があります。 そのため、 「もう流行ってしまったのでは?」 「12月中旬以降にワクチンを打つ意味はあるの?」 と疑問に思う方も少なくありません。 結論から言うと、12月中旬以降のワクチン接種は、確かに“万能”ではありませんが、決して無意味ではありません。 その理由を、今年の流行状況とワクチンの位置づけから整理し

感染症・流行情報

手足口病とは?大人にも起こる症状・治療・出勤の目安を医師が解説

夏から秋にかけて流行しやすい感染症として知られる「手足口病」は、子どもの病気というイメージが強いかもしれません。しかし実際には、大人でも感染することがあります。 この記事では、手足口病の基本的な特徴から、大人の場合の症状、治療の考え方、仕事を休む目安までを、医学的根拠に基づいて解説します。 手足口病とは 手足口病は、ウイルス感染によって起こる急性の感染症です。 主に小児に多く見られますが、保育や子

一般内科・症状解説

腕に「帯状の赤みと腫れ」が出たときに考える病気

腕の皮膚に、帯状(横方向・線状)の赤みや腫れが急に現れることがあります。いわゆる「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」として知られる細菌感染でみられる症状ですが、同じような見た目を示す他の病気もあり、原因によって対処が変わります。 今回は、医学的に根拠が確認されている範囲で、帯状の発赤が腕に出たときの主な鑑別疾患と考え方をまとめます。 蜂窩織炎(細菌による皮膚の炎症) 蜂窩織炎は、皮膚の浅い部分から皮下組

一般内科・症状解説

日本の年末年始の医療体制と備え(総説)

年末年始に医療体制が変化する理由 日本では、12月29日頃から1月3日頃まで多くの医療機関が休診となり、外来機能が一時的に低下します。 そのため、患者の受診先が限られ、救急医療機関・当番医に負荷が集中する構造が毎年みられます。 厚生労働省および各自治体は、これを「特定期間の医療提供体制」として整理しており、休日期間中は 自治体が指定する休日当番医 救急告示病院(ER機能) 小児救急拠点病院 夜間急

一般内科・症状解説

犬に咬まれたときの「破傷風」は大丈夫?

トキソイド・テタノブリンの適応と、最近の在庫不足についてわかりやすく解説します 犬に咬まれたとき、多くの方が心配されるのは「傷口の感染」や「狂犬病」ですが、実は破傷風(はしょうふう)のリスク評価もとても重要です。 破傷風菌は土壌などに広く存在し、傷口から体内に入ることで発症します。日本での発生数は多くありませんが、重症化することがあり、けがをした時点での適切な予防が大切です。 この記事では、一般の

一般内科・症状解説

低用量ピルでLDLコレステロールは上がる? 医師が最新エビデンスでわかりやすく解説

低用量ピル(経口避妊薬)は避妊だけでなく、月経痛の軽減やPMS改善の目的でも広く使われています。 その一方で「ピルを飲むとLDLコレステロール(いわゆる悪玉)が上がるのでは?」という質問をたまに受けます。 結論として、 低用量ピルの内服中にLDLが上昇することはありうる というのが医学的にも妥当な説明です。 ただし、多くは軽度で、変化が全くない方も多く、上がるかどうかは個人差があります。 ここから

感染症・流行情報

大人のアデノウイルス感染症が疑われたら 出勤停止期間はどれくらい? (最新ガイドライン準拠)

アデノウイルスは「子どもの病気」という印象が強いですが、実は 大人でも普通に感染します。 そしてもうひとつ大事なポイントとして、大人が職場で過ごす場合、 症状が落ち着く前に復帰すると周囲に広がりやすい ことが知られています。 今回は、大人がアデノウイルスに感染したとき、出勤をどうすべきか 日本のガイドラインに基づいて「はっきり」まとめます。 結論から書くと、 アデノウイルス感染症には 法的な出勤停

インフルエンザ

インフルエンザ薬(タミフル)予防投与外来を開始しました 福岡市博多区(2025年・当院自由診療)

インフルエンザの流行が続いており、同居家族が陽性となった場合など、「自分も発症して仕事や学校を休めない」という状況に備え、ひろつ内科クリニックでは タミフル(オセルタミビル)による予防投与外来 を開始します。 日本では、タミフルの予防投与は 家族内発症など特定の状況で使用されることがある とされています。発症抑制効果が報告されていますが、必ずしも発症を防げるわけではありません。医療用医薬品であり、

一般内科・症状解説

若者の自然気胸について総論 (10〜30代に多い“突然の胸痛と息苦しさ”の正体)

自然気胸は、突然「胸が痛い」「息がしづらい」といった症状で始まることが多く、特に 10〜30代のやせ型の男性 にしばしばみられます。 肺の一部が破れて空気が胸腔に漏れ出し、肺がしぼんでしまう状態です。 1. 自然気胸とは何か 日本呼吸器学会の定義では、外傷や医療処置を伴わずに肺が破れて起こる気胸を「自然気胸」と呼びます。 そのうち明らかな基礎疾患がないものを 特発性自然気胸(primary spo

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