nodocaが新たに「コロナ参考判定機能」を取得 AI診断が拓く次の医療の形
当院でも導入しているAI診断支援システム「nodoca」が、2025年10月に新型コロナウイルス感染症の参考判定機能を追加承認されました。
これは、既に薬事承認を得ている「インフルエンザAI診断機能」に対する一部変更承認という形で、既存システムの延長として認められたものです。
つまり、これまで咽頭画像からインフルエンザの可能性をAIが解析していたのに加え、同じ画像からコロナの“参考結果”も提示できるようになりました。
nodocaのコロナ判定は「参考情報」扱い
今回のコロナ機能は、あくまで「確定診断」ではなく、補助的な参考判定という位置づけです。
AIが咽頭画像を解析し、「検出あり」「検出なし」「判定保留」のいずれかを示します。
性能評価試験ではPCRとの比較で感度80.3%、特異度77.9%、**判定保留が約72.8%**とされています。
現時点では“結論が出ない”ケースも多く、最終的な判断は医師の臨床判断に委ねられます。
nodocaの強み:痛くない、早い、そしてAI
nodocaの大きな特徴は、検査の痛みがないこと。
鼻腔スワブを深く入れる従来検査に比べ、咽頭をカメラで撮影するだけで済むため、患者の負担は極めて軽いです。
さらに、nodocaは撮影からわずか1分ほどでAI判定が表示されます。
この即時性は、従来の抗原定性検査(判定まで約15分)に勝るスピードで、
発熱外来の混雑緩和や、感染拡大期の動線管理においては大きな利点です。
当院の現状と使い分け
当院では現在、インフルエンザA・B・コロナを同時に判定できる富士フイルム製の増感装置付き定性検査を標準運用しています。
感度が高く、結果の信頼性も十分で、導線設計上の相性も良いことから、現時点ではnodocaは稼働していません。
ただし、今後は患者希望によって使い分ける方針です。
「痛みを避けたい」「迅速に知りたい」という方にはnodocaを、
「確定的に結果を得たい」という方には同時定性検査を提案し、選択肢として提示していく予定です。
AI診断の未来に向けて
AIが画像を解析し、感染の有無を推定するという技術は、医療現場の効率化だけでなく、
医師の主観に左右されにくい客観的な判断材料を提供する可能性を秘めています。
nodocaの今回の追加承認は、そうしたAI医療の進化が着実に臨床へ入り始めている証といえます。
もちろん、現段階では人間の目と判断が必要ですが、
AIの精度が上がり、臨床データが蓄積していけば、
「喉を撮影するだけで感染症をスクリーニングする」未来は確実に近づいています。
AIと医師が協働し、患者にとって痛みの少ない診断体験を届ける──
nodocaの進化は、その一歩目として意義ある出来事です。
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