寝ている間の熱中症——朝の頭痛・だるさは「夜間熱中症」かもしれない。残暑の寝室対策を内科医が解説
熱中症というと、炎天下の屋外で起こるものと思われがちです。ただ、救急搬送の統計を見ると、熱中症の発生場所として最も多いのは実は「住居」で、そのなかには寝ている間に起こる熱中症が含まれています。朝起きたら頭痛がする、体が重い、めまいがする——残暑の時期のその不調、夜間の熱中症かもしれません。
なぜ寝ている間に熱中症になるのか
人は一晩でコップ1杯以上の汗をかくといわれます。熱帯夜ではさらに発汗が増えますが、睡眠中は喉の渇きに気づけないため、水分の補給が朝まで止まったままです。つまり、汗はかき続けるのに補給はゼロという状態が数時間続きます。
加えて、就寝中の寝室は思った以上に暑くなります。日中に建物にたまった熱が夜に放出されるため、外気温が下がっても室温が28度を超えたままのことがあります。「電気代がもったいないから」「体に悪そうだから」とエアコンを切って寝る方ほど、危険な条件がそろいます。
特に注意が必要な方
- ご高齢の方:暑さや喉の渇きを感じるセンサーが加齢で鈍くなり、暑くても「それほどでもない」と感じてしまいます
- 利尿薬を飲んでいる方、糖尿病のある方(尿量が増えやすい)
- 寝る前にお酒を飲む方(アルコールの利尿作用で脱水が進みます)
- 日中に屋外で活動して、すでに汗を大量にかいた日
朝のこんな症状は夜間熱中症のサイン
- 起床時の頭痛、頭の重さ
- めまい、立ちくらみ
- 強いだるさ、体が重くて起き上がりにくい
- こむら返り(足がつって目が覚めた)
- 尿の色が濃い、量が少ない
軽い場合は、涼しい場所で経口補水液などをゆっくり補給すれば回復してきます。ただし、意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応がおかしい、自力で水分をとれない、嘔吐を繰り返す場合は重症のサインです。ためらわず救急要請(119番)してください。特に独居のご高齢の方は発見が遅れやすく、注意が必要です。
今夜からできる予防
- エアコンは朝までつける。設定は26〜28度を目安に、タイマーで切らない。電気代より体が大事です
- 寝る前にコップ1杯の水(トイレが気になる方も、少量でよいので飲んでから寝る)
- 枕元に水分を置いておき、夜中に目が覚めたら一口飲む
- 寝る前の飲酒はほどほどに。お酒は水分補給になりません
- 通気性のよい寝具・寝間着にする。扇風機の風を壁に当てて空気を回すのも有効です
「エアコンをつけて寝ると体がだるくなる」という方は、風が直接体に当たっていることが原因のことが多いです。風向きを天井や壁に向ける、タオルケットをかける、といった工夫で解決できることが多いので、エアコン自体をやめるのではなく、当て方を変えてみてください。
受診の目安
朝の頭痛やだるさが水分補給で改善しない、数日続いている、微熱を伴う——そんなときは一度ご相談ください。血液検査で脱水や電解質の乱れを確認し、必要であれば点滴で補正します。残暑の時期は「夏の疲れ」と「かくれ脱水」が重なりやすく、実際に調べてみると脱水がベースにあった、ということは珍しくありません。
参考文献
- 総務省消防庁「熱中症による救急搬送状況」(発生場所別統計)
- 環境省「熱中症環境保健マニュアル」
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