更年期障害の採血検査は内科でも受けられます|婦人科との違い・検査項目・費用を解説
「更年期かもしれない」と思ったとき、最初に迷うのが「何科を受診すればいいのか」ではないでしょうか。
婦人科のイメージが強い更年期障害ですが、実は内科でも採血検査を受けることができます。しかも保険適用です。
この記事では、内科医の立場から、更年期障害の採血で何がわかるのか、婦人科との違いは何か、費用はどのくらいかを整理します。
更年期障害の採血で調べる項目
更年期障害が疑われるとき、主に以下のホルモンを採血で測定します。
女性ホルモン関連
- E2(エストラジオール):女性ホルモンの代表格です。閉経に近づくと低下し、おおむね20pg/mL以下で閉経相当とされます。
- FSH(卵胞刺激ホルモン):脳から卵巣に送られる「もっとホルモンを出して」という信号です。卵巣機能が落ちるとこの値が上がります。40mIU/mL以上が閉経の目安です。
- LH(黄体形成ホルモン):FSHとセットで測定し、卵巣機能の状態を総合的に判断します。
ただし、ホルモン値は月経周期や日内変動で変わります。1回の採血で「更年期確定」とはなりません。症状と合わせて判断することが大切です。
内科で採血するメリット:他の病気を同時に除外できる
ここが内科で採血する最大のメリットです。
更年期障害の症状――倦怠感、動悸、発汗、気分の落ち込み、体重変動――は、実は他の病気でもよく見られます。
特に注意すべきは甲状腺の病気です。
甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症は、更年期とほぼ同じ症状を起こします。しかも40〜50代の女性に多い。「更年期だと思って我慢していたら、実は甲状腺の病気だった」というケースは珍しくありません。
内科では、ホルモン検査に加えて以下の項目を同時に調べられます。
- TSH・FT4(甲状腺機能):甲状腺疾患の除外
- 血算(CBC):貧血の除外(倦怠感やめまいの原因になります)
- 血糖・HbA1c:糖尿病の除外
- 肝機能(AST/ALT/γGTP):肝障害の除外
- 脂質(LDL/HDL/TG):閉経後に急上昇する脂質異常症のチェック
つまり、1回の採血で「更年期のホルモン評価」と「他の病気の除外」を同時に行えます。これは内科の強みです。
婦人科との違い
内科と婦人科では、できることが異なります。
内科 | 婦人科 | |
|---|---|---|
ホルモン採血(E2/FSH/LH) | できます | できます |
甲状腺・貧血・脂質の検査 | 得意です | 実施可能ですが主軸ではありません |
内診・経腟エコー | できません | できます |
子宮がん検診 | できません | できます |
HRT(ホルモン補充療法) | 制度上は可能ですが、実際には婦人科的検査が前提になります | 専門です |
漢方処方 | できます(保険適用) | できます(保険適用) |
プラセンタ注射 | できます(45〜59歳、保険適用) | できます |
生活習慣病の管理 | 得意です | 管轄外です |
まとめると、採血による評価と漢方処方までは内科で完結できます。一方、HRT(ホルモン補充療法)を始める場合は、子宮体がんや乳がんのスクリーニングが必要になるため、婦人科での評価が欠かせません。
「まず内科で採血して状態を把握し、必要に応じて婦人科を紹介する」という段階的なアプローチも現実的な選択肢です。
※当院では保険でのプラセンタ投与は行っておりません
更年期の漢方は内科でも処方できます
更年期障害に対する漢方薬は、内科でも保険適用で処方できます。代表的なものは以下の3つです。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん):イライラ・不安・のぼせに
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):冷え・むくみ・貧血傾向に
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):のぼせ・頭痛・肩こりに
症状の組み合わせによって使い分けます。漢方は効果が出るまで2〜4週間かかることが多いですが、副作用が少なく、長期的に使いやすい治療法です。
プラセンタ注射も内科で保険適用です
45歳〜59歳の女性で更年期障害の診断がある場合、メルスモン(プラセンタ注射)が保険適用になります。これは内科でも算定可能です。
週に1〜2回の皮下注射で、倦怠感や肌の調子の改善を実感される方が多い治療法です。
※当院では保険でのプラセンタ投与は行っておりません
費用の目安
保険適用(3割負担)の場合の目安です。
- ホルモン検査(E2・FSH・LH)+甲状腺(TSH・FT4):1,500〜3,000円程度
- 上記+血算・肝機能・脂質・血糖:2,000〜4,000円程度
- 初診料・再診料が別途かかります
自費の場合、ホルモン検査だけで5,000〜8,000円ほどになります。症状があって受診される場合は、基本的に保険が使えます。
「婦人科に行きづらい」という方へ
「内診が苦手」「婦人科に行くのは気が重い」という声は少なくありません。
採血だけで評価できる範囲であれば、内科で十分に対応できます。まず採血をして、ホルモンの状態を確認する。そのうえで、HRTなど婦人科的な治療が必要であれば紹介する。この流れであれば、最初のハードルはかなり下がるはずです。
「何科に行けばいいかわからない」と迷っている間に症状が長引くよりも、まずはかかりつけの内科で相談してみることをおすすめします。
まとめ
- 更年期障害の採血検査は内科でも保険適用で受けられます
- 内科の強みは、甲状腺や貧血など他の病気を同時に除外できること
- 漢方処方・プラセンタ注射は内科でも対応可能
※当院では保険でのプラセンタ投与は行っておりません
- HRTが必要な場合は婦人科を紹介します
- 迷ったら、まず内科で採血から始めてみてください
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