院長ブログ |

増えすぎた自作ツールを「止まらない」ように作り直した話——35個を運用して学んだ安定化の工夫

診療で使う業務ツールを、AIと一緒に作り続けて、気づけば35個ほどになりました。便利になった一方で、数が増えると別の問題が出てきます。1つを動かすと、つられて別のツールが止まる。パソコンを再起動したら、いくつも立ち上がってこない。以前「壊れる日は突然やってくる」という話を書きましたが、今回はその逆——止まらないように作り直した側の話です。

「壊れる」の次にやったこと

ツールが少ないうちは、止まったらその都度、手で立ち上げれば済みます。でも数が増えると、どれが静かに止まっているのか、気づくこと自体が難しくなります。作る速さより、止まらないこと。最近はそこに時間を使うようになりました。地味ですが、毎日使うものほど効いてきます。

再起動しても、勝手に戻ってくるようにした

まず、すべてのツールをWindowsのタスクスケジューラに登録して、パソコンが再起動しても自動で立ち上がるようにしました。これで「再起動したら何個も手で起動し直す」作業が消えます。僕は基本、何もしません。

さらに、パソコンがオフだった時間にスキップされたタスクが、次に起動した瞬間に自動で実行される設定(StartWhenAvailable)も入れました。ただ、これには落とし穴があって、Windowsの「高速スタートアップ」が効いていると、シャットダウンが“起動”として扱われず、設定が働かないことがあります。便利な設定ほど、効かない条件を一度は踏んでみないと信用できない、と学びました。

1コマンドで「全部生きてるか」を確認する

次に、ツールの本体に、健康状態を返す窓口をひとつ作りました。パソコンでコマンドを1つ叩くと、システム全体の状態がまとめて返ってきて、「ok」と出れば全部動いている、という仕組みです。1つずつ画面を開いて確認する必要がなくなりました。何かが落ちていれば、ここで一発で分かります。

毎朝、決まった順番で目視する

自動で動く仕組みを増やすほど、逆に「どれかが静かに止まっていても気づかない」というリスクが上がります。自動化したものほど、人の目を定期的に通す必要があります。そこで、毎朝、決まった項目を上から機械的に確認する時間を作りました。異常を早く拾えるのは、勘よりも、決まった手順の方でした。

壊れにくい形に寄せていく

仕立て直しの過程で、壊れやすさの原因もいくつか見えてきました。

  • 絶対パスのベタ書き:設定ファイルにフォルダの場所を直書きしていると、構成が少し変わっただけで複数のツールが一斉に止まります。環境変数や相対パスに寄せて、前提が崩れにくいようにしました。
  • 同じ処理のコピー:似たツールが増えると、同じ処理をあちこちに複製しがちです。これを共通の部品にまとめておくと、1か所直すだけで全体に反映できます。どこで共通化するかの見極めは、今も毎回迷います。
  • 止めるべき時に止まる設計:自動化は「止まらないこと」ばかり考えがちですが、変な値を外に出すくらいなら、はっきり止まって気づける方が安全な場面もあります。落ちない設計と、落ちるべき時に落ちる設計は、別物でした。
  • 戻せるようにしておく:動いているものを触る前に、必ずバックアップを1つ取り、戻すための手順をメモしておく。前進と同じだけ、後退の準備をしておくと、踏み込みも軽くなります。

まとめ

ツールを増やす段階から、増えたツールを止まらないように保つ段階へ。やっていることの重心が、この数か月で確かに移りました。新しく作る楽しさより、毎日きちんと動いている安心の方が、いまは大事に感じます。派手さはありませんが、現場で長く使えるかどうかは、たぶんこの地味な部分で決まります。

※この連載では、開業2年目の内科クリニックでの、AIを使った業務改善の実際を書いています。ツールはClaude Codeで内製し、患者データの扱いは三省二ガイドライン・ZDR準拠の設計を基本にしています。

ひろつ内科クリニック受診予約はこちらから
https://wakumy.lyd.inc/clinic/hg08874

ページ上部へ戻る