ヒトメタニューモウイルス(hMPV)とは?成人が注意すべき症状・検査・治療を内科医が解説
ヒトメタニューモウイルス(hMPV)をご存じですか?
ヒトメタニューモウイルス(human metapneumovirus:hMPV)は、2001年にオランダで初めて発見された呼吸器ウイルスです。RSウイルスと同じパラミクソウイルス科に属し、乳幼児の気管支炎や肺炎の原因として知られていますが、実は成人にも感染します。
特に高齢者や基礎疾患のある方では重症化するリスクがあり、近年は世界的に注目が高まっています。2025年初頭には中国で大規模な流行が報じられ、日本国内でも認知度が急速に上がりました。
この記事では、成人におけるhMPV感染の特徴・検査・治療・予防について、内科医の視点から解説します。
hMPV感染の主な症状
hMPVに感染した成人の多くは、いわゆる「風邪症状」を呈します。
- 発熱(38℃前後が多いが、高齢者では微熱のこともある)
- 咳(乾いた咳が長引きやすい)
- 鼻汁・鼻閉
- 咽頭痛
- 倦怠感
- 喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー)
症状だけではインフルエンザやRSウイルス、新型コロナウイルス感染症との区別が困難です。「風邪が長引いている」「咳だけがなかなか治らない」という場合に、hMPVが原因であることも珍しくありません。
重症化しやすい方
健康な成人であれば多くの場合、自然に回復します。しかし以下に該当する方は肺炎や気管支炎に進展するリスクがあり、注意が必要です。
- 65歳以上の高齢者
- COPD(慢性閉塞性肺疾患)や喘息などの慢性呼吸器疾患をお持ちの方
- 心不全などの心疾患をお持ちの方
- 糖尿病・腎疾患などの慢性疾患をお持ちの方
- 免疫抑制状態の方(ステロイド長期内服、抗がん剤治療中など)
こうした方が「風邪が長引く」「息苦しさが出てきた」という場合は、早めに医療機関を受診してください。
検査について
hMPVには迅速抗原検査キットがあり、鼻咽頭ぬぐい液を用いて15〜20分程度で結果が出ます。インフルエンザの迅速検査と同じ要領です。
ただし、保険適用は現在のところ6歳未満の小児に限られています。成人の場合は原則として自費検査になるか、医師の判断で他の検査(インフルエンザ・コロナなど)を優先して行い、それらが陰性の場合にhMPVを疑うという流れが一般的です。
また、症状が強い場合は胸部レントゲンや血液検査で肺炎の有無や炎症の程度を評価します。
治療について
現時点で、hMPVに対する特効薬(抗ウイルス薬)はありません。治療は対症療法が中心になります。
- 解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)
- 鎮咳薬・去痰薬
- 気管支拡張薬(喘鳴がある場合)
- 十分な水分摂取と安静
細菌の二次感染が疑われる場合は抗菌薬を使用することもあります。重症例では入院のうえ酸素投与が必要になることもあります。
予防のポイント
hMPVに対するワクチンは、2024年〜2025年にかけて海外で開発が進んでおり、近い将来実用化される可能性があります。現時点では、基本的な感染対策が最も重要です。
- 手洗い・手指消毒の徹底
- 咳エチケット(マスク着用)
- 体調不良時の外出自粛
- 室内の換気
- 十分な栄養と睡眠
飛沫感染・接触感染で広がるため、インフルエンザやコロナと同じ対策が有効です。
流行時期
日本国内では例年3月〜6月にかけてピークを迎える傾向があります。インフルエンザ(冬)やRSウイルス(夏〜秋)とはずれた時期に流行するため、「この時期に風邪?」と思ったらhMPVの可能性も頭に入れておくとよいでしょう。
インフルエンザ・コロナとの違い
臨床的に区別が難しいのが正直なところですが、傾向としては以下のような特徴があります。
- インフルエンザ:突然の高熱・関節痛・筋肉痛が強い。迅速検査で判定可能
- 新型コロナ:味覚・嗅覚障害(近年は減少傾向)、倦怠感が強い。抗原検査・PCR検査で判定可能
- hMPV:咳が目立つ(特に長引く乾いた咳)。喘鳴を伴うことがある。検査でインフル・コロナが陰性の場合に疑う
当院での対応
ひろつ内科クリニックでは、発熱や咳などの呼吸器症状で来院された患者様に対して、インフルエンザ・新型コロナウイルスの迅速検査を実施しております。これらが陰性で症状が持続する場合、hMPVの可能性を含めて総合的に診察・治療いたします。
「風邪が長引いている」「咳が止まらない」「息苦しさがある」といった症状でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
ひろつ内科クリニック
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