健診の前日、何を控えればいい?——食事・お酒・運動・薬、検査値に響くものと響かないものを内科医が解説
秋は健康診断のシーズンです。「明日は健診なのに、昨日の夜に飲み会があった」「前日は何時から食べてはいけないの?」——毎年この時期、健診の前日の過ごし方についての質問をよくいただきます。前日の過ごし方で検査値は実際に変わります。今回は、どの項目が影響を受けやすいのか、何時間前から何を控えればよいのかを整理します。
食事は「10時間前まで」が基本
健診の多くは空腹時の採血を前提にしています。目安として、受診の10時間前からは水以外を口にしないのが基本です。朝9時の健診なら、前日の23時までに食事を済ませる計算になります。
食事の影響を最も受けるのが血糖値と中性脂肪です。特に中性脂肪は食後に大きく上がり、戻るまで時間がかかります。前日の夜に脂っこいものをたくさん食べると、翌朝の数値に残ることがあります。前日の夕食は、いつもどおりの量を、なるべく早い時間に、あっさりめで済ませるのが理想です。
水は飲んでかまいません
「水も飲んではいけない」と思い込んで、真夏や残暑の時期に脱水気味で来られる方がいますが、水は飲んで大丈夫です。むしろ脱水になると血液が濃縮して、かえって検査値に影響したり、採血がしにくくなったりします。糖分の入っていない水やお茶は、当日の朝もコップ1杯程度なら問題ないとされることが一般的です(施設の案内があればそちらに従ってください)。
お酒は前日だけやめても「なかったこと」にはならない
「前日だけ禁酒すれば大丈夫ですか」ともよく聞かれます。残念ながら、γ-GTPなど飲酒の影響を受ける項目は、数日の禁酒では十分に下がりません。逆に、前日に深酒をすれば中性脂肪や尿酸、血糖には直接響きます。
おすすめは、前日は禁酒、可能ならその数日前から控えめに。そして「良い数字を出すため」ではなく、普段の生活の実態を映した結果を受け取る、という気持ちで受けていただくことです。健診は試験ではなく、体の現状を知る機会です。
意外と知られていない「運動」と「睡眠」の影響
前日に激しい運動をすると、筋肉由来の酵素(CK)や肝機能のASTが上がり、尿検査で蛋白や潜血が出ることがあります。健診の前日は、ジムでの追い込みやフルマラソン級の運動は避けて、軽い運動までにしておくのが無難です。
睡眠不足や徹夜明けも、血圧や脈拍、血糖に影響します。前日はしっかり眠ってください。
タバコとコーヒー
当日の朝の喫煙は血圧を上げ、胃の検査がある場合は胃の動きにも影響します。当日は健診が終わるまで控えてください。コーヒーはブラックでも胃液の分泌を促すため、胃カメラやバリウム検査がある日は当日の朝は避けるのが基本です。
飲んでいる薬はどうする?
自己判断で中止しないでください。特に血圧の薬は、当日の朝も少量の水で飲んでよいとされることがほとんどです。糖尿病の薬やインスリンは、絶食のまま使うと低血糖の危険があるため、事前に主治医への確認が必要です。判断に迷う場合は、健診を受ける施設か、処方している医療機関に前もって問い合わせておくと安心です。
前日チェックリスト
- 夕食は早めに・あっさりめに。受診10時間前からは水以外を口にしない
- お酒は前日は禁酒(できれば数日前から控えめに)
- 激しい運動は避ける。しっかり眠る
- 薬は自己判断で止めない。糖尿病の薬だけは事前に主治医へ確認
- 当日の朝は喫煙・コーヒーを控える。水は少量なら可
もし前日にうっかり食べてしまった・飲んでしまった場合は、隠す必要はありません。受付や問診で正直に伝えていただければ、結果を解釈するときにその前提で読みます。数値は条件次第で動くものなので、条件の情報こそが大事なのです。
当院では雇入時健診・定期健診(法定健診)に対応しています。結果の見方についてのご相談も、外来でお受けしています。
参考文献
- 日本人間ドック・予防医療学会「検査前の注意事項」に関する一般向け案内
- 厚生労働省 労働安全衛生法に基づく健康診断関連資料
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