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健診でHbA1cが「高め」と言われたら——境界型は将来を変えられる分かれ道。内科医が解説

健診結果の血糖の欄に「HbA1c 5.9%」「要注意」——糖尿病とは書かれていないけれど、正常とも言われていない。この「高め」の判定を受け取った方が、秋の健診シーズンには多く来院されます。実はこの段階こそ、将来の糖尿病を防げるかどうかの分かれ道です。

HbA1cという数字が表しているもの

HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)は、過去1〜2か月の血糖の平均を反映する数字です。健診当日の朝食を抜いたかどうかに左右される血糖値と違い、直前の努力では動かせません。だからこそ、ふだんの生活がそのまま映る「正直な数字」です。

目安を整理すると、健診の判定では5.5%以下が基準範囲、5.6〜5.9%が「要注意」、6.0〜6.4%は糖尿病の疑いが否定できない範囲(日本糖尿病学会の糖尿病診療ガイドライン2024では血糖値とあわせて「境界型」相当として扱われます)、6.5%以上で糖尿病型と判定されます(診断は血糖値と組み合わせて行います)。本記事では、この5.6〜6.4%の幅を便宜的に「境界型」と呼びます。

「まだ糖尿病じゃないから大丈夫」ではない理由

境界型の段階では自覚症状はまずありません。ただ、この段階でも次のことが分かっています。

  • 境界型の方が糖尿病に進行する率は、正常の方の数倍以上
  • 境界型の段階から、動脈硬化(心筋梗塞・脳梗塞のリスク)はすでに進み始めている
  • 肥満・高血圧・脂質異常が重なると、進行はさらに速くなる

一方で、朗報もあります。境界型の段階で生活習慣を見直すと、糖尿病への進行をおよそ半分に減らせることが、国内外の大規模研究で示されています。「まだ薬はいらない、でも何もしなくていいわけではない」——それが境界型の正しい受け止め方です。

何から始めるか——ハードルは思ったより低い

  • 体重を3%減らす:70kgの方なら約2kg。これだけで血糖の改善効果が示されています。10kg痩せる必要はありません
  • 食べる順番:野菜・たんぱく質→炭水化物の順にすると食後血糖の上がり方が緩やかになります
  • 甘い飲み物を減らす:清涼飲料・加糖コーヒーは液体の糖として最速で血糖を上げます
  • 食後に10分歩く:食後の軽い運動は血糖のピークを直接下げます
  • 睡眠不足の解消:睡眠は血糖コントロールに直結します

受診して確認しておきたいこと

境界型と言われたら、一度は医療機関で全体像を確認しておくことをおすすめします。確認するのは、①血糖値とHbA1cの再検(健診の数字の確定)②血圧・脂質・肝機能・腎機能など、動脈硬化に関わる他の要素 ③家族歴や生活状況を踏まえた、その方に合った目標設定です。

75gブドウ糖負荷試験という検査で、食後の血糖の上がり方のパターン(隠れた食後高血糖)を調べることもあります。HbA1cが同じでも、食後だけ急上昇するタイプはリスクが高いことが分かっており、対策の優先順位が変わります。

「要注意」の紙を引き出しにしまう前に、一度だけ相談に来てください。この段階なら、打てる手はたくさんあります。当院では健診結果の読み解きからの相談をお受けしています。

参考文献

  • 日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド」
  • Diabetes Prevention Program (DPP) 研究/J-DOIT1(生活習慣介入による発症予防)

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