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イネ科雑草花粉アレルギーとは?カモガヤ・オオアワガエリ・ホソムギなど5〜10月の見落とされやすい花粉症を内科医が解説

5月以降も花粉症に悩む方へ——「イネ科雑草花粉」を知っていますか?

スギ・ヒノキのシーズンが終わり、松花粉(5〜6月)の話もしたところで、もうひとつ知っておきたいのがイネ科雑草花粉アレルギーです。5月から10月にかけての長期間、つまり夏〜秋を通して症状が出続けるタイプの花粉症で、河川敷や公園に近い暮らしをしている方には他人事ではありません。

本記事では、イネ科雑草花粉の特徴・主な原因草・症状・口腔アレルギー症候群との関係・治療・対策をまとめます。

イネ科雑草花粉とは

イネ科(Poaceae)は世界中に1万種以上ある巨大な植物グループで、お米・小麦・トウモロコシなどの作物のほか、身近な雑草・牧草が多数含まれます。これらの雑草が春〜秋に大量の花粉を飛ばし、アレルギーを起こします。

主な原因草

  • カモガヤ(オーチャードグラス):最も代表的。河川敷・公園・道端どこにでも
  • オオアワガエリ(チモシー):牧草、北海道や本州山地で多い
  • ハルガヤ:春に飛散ピーク
  • ホソムギ(イタリアンライグラス):5〜6月にピーク
  • カラスムギ・ナガハグサ・スズメノカタビラ:都市部の空き地によく生える

これらは「雑草」として目立たないため、本人も自分の周りにこれだけの花粉源があると気づいていないことが多いです。

イネ科雑草花粉の特徴——スギ・松との違い

項目

スギ・ヒノキ

イネ科雑草

飛散時期

2〜4月

5〜6月

5〜10月(長期)

粒径

約30μm

40〜60μm

20〜30μm

飛散距離

数十km

数百m〜数km

数十m〜数百m(近距離)

場所

山林

海岸松林

河川敷・公園・道端(生活圏)

気づかれ方

有名

マイナー

マイナーだが患者多い

「近づくと症状」が特徴

イネ科は背丈が低く(〜1m)、花粉の飛散距離も短いのが特徴。スギのように遠くから飛んでくるのではなく、その草の近くに行ったときに症状が出る傾向があります。

  • 河川敷でジョギング・サイクリングをした後
  • 子どもが公園で遊んだ後
  • 草刈り・ガーデニングをした日
  • サッカー・野球など草の上のスポーツの後
  • 犬の散歩で草むらに入った後

あの場所に行くと毎年体調が悪い」というパターンがあれば、強く疑える花粉症です。

典型的な症状

  • くしゃみ・鼻水・鼻づまり(スギ花粉症と似た症状)
  • 目のかゆみ・充血・涙
  • 喉のイガイガ・咳
  • 気管支喘息の悪化(特に小児)
  • 皮膚のかゆみ(草に触れた部位)
  • 頭痛・倦怠感

症状自体はスギ花粉症とよく似ています。違いは「時期(5〜10月)」と「場所(生活圏の草地)」です。

口腔アレルギー症候群(OAS/PFAS)——果物・野菜の交差反応

イネ科花粉症で見逃せないのが、「特定の果物・野菜を食べると口の中がかゆくなる」という現象。これを口腔アレルギー症候群(OAS)または花粉食物アレルギー症候群(PFAS)と呼びます。

イネ科花粉と交差反応しやすい食品

  • メロン・スイカ(特に多い)
  • トマト
  • キウイ
  • 桃・オレンジ・バナナ
  • パプリカ・じゃがいも(生)
  • セロリ・ニンジン
  • ピーナッツ・大豆製品

OASの症状

  • 食べた直後(数分以内)に口・唇・舌・喉のかゆみやピリピリ感
  • 軽度の腫れ
  • まれに全身症状(蕁麻疹・呼吸困難・アナフィラキシー)に進展
  • 加熱した果物・野菜では症状が出にくい(タンパクが熱で変性するため)

「メロンを食べると毎回口がかゆくなる」「スイカで喉がイガイガする」という方は、イネ科花粉症の可能性があります。

診断

① 問診

  • 5月以降の症状発現時期
  • 河川敷・公園・草地での増悪
  • 果物・野菜での口の症状(OAS)
  • 合併する他の花粉症(スギ・ヒノキ・松)

② 特異的IgE抗体検査

  • カモガヤ、オオアワガエリ、ハルガヤなどイネ科花粉の特異的IgEを採血で測定
  • 同じイネ科同士は交差反応が強いため、代表でカモガヤを測ることが多い
  • View39やMASTパネル検査で同時に多くのアレルゲンを評価可能

③ 鑑別

  • 松花粉(5〜6月)
  • カビ・ダニアレルギー
  • 非アレルギー性鼻炎
  • 秋の花粉症(ブタクサ・ヨモギ)——9〜10月にイネ科と重なる

治療

① 抗ヒスタミン薬

第二世代抗ヒスタミン薬を、シーズン中(5〜10月)継続。眠気の少ないフェキソフェナジン、ビラスチン、ロラタジン、ルパタジン、レボセチリジンなど。

② 点眼薬・点鼻薬

  • 抗アレルギー点眼薬(オロパタジン、ケトチフェンなど)
  • 点鼻ステロイド(フルチカゾン、モメタゾン、デキサメタゾン)

③ 重症例

  • 短期内服ステロイド
  • 気管支喘息合併例には吸入ステロイド・ICS/LABA
  • 難治例にはオマリズマブ(抗IgE抗体)

④ アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)

カモガヤなどイネ科花粉に対しては舌下免疫療法(SLIT)が一部で行われています(保険適用条件あり)。スギ花粉症と同様、3〜5年継続することで根本的体質改善を狙う治療です。詳細はアレルギー専門医にご相談ください。

セルフケア・対策

  • 草地・河川敷への接近を減らす——シーズン中は迂回コースで散歩
  • マスク・サングラスの着用
  • 草刈り・ガーデニング時は長袖・長ズボン・帽子・マスク必須
  • 子どもが公園で遊んだ後は服を払う・洗顔・うがい
  • 洗濯物・布団の外干しを控える時間帯(草地に近い場所)
  • 河川敷・公園でのスポーツは風の弱い日や朝早くを選ぶ
  • 窓を閉める、空気清浄機(HEPAフィルタ)の活用
  • シャワーで頭髪を洗い流す

食物アレルギーへの注意(OAS)

  • メロン・スイカ・キウイ・トマトなどを食べた直後に口の症状が出る方は、生での摂取に注意
  • 加熱・加工した果物・野菜(ジャム・缶詰・ソース・ジュース)は症状が出にくいことが多い
  • 呼吸困難・蕁麻疹・血圧低下を伴う場合は救急受診(アナフィラキシーの可能性)
  • エピペン処方の必要性は専門医と相談

受診の目安

  • 5月以降に毎年同じような症状を繰り返す
  • スギ・ヒノキシーズン後も鼻炎・目のかゆみが続く
  • 河川敷・公園・草地に近づくと症状が出る
  • 果物・野菜を食べて口の中がかゆくなる
  • 市販薬で十分にコントロールできない
  • 気管支喘息の発作が増えている
  • 原因アレルゲンを採血で確認したい

よくある質問

Q. お米を食べてもアレルギーが出るのですか?

イネ科花粉とお米(の食用部分)のアレルギーは別物です。お米はタンパク構造が異なり、お米アレルギーとして独立して存在しますが、イネ科花粉症の方が必ずお米アレルギーになるわけではありません。

Q. 河川敷でランニングしていますが、続けて大丈夫?

症状が軽ければ続けても問題ありませんが、マスク着用・帰宅後の洗顔うがい・治療薬の継続を組み合わせてください。重症例ではコースを変える、時期を避けるなどの調整も検討してください。

Q. 子どもが運動会の練習後に咳が止まりません

校庭はイネ科雑草が生えている場合があり、運動で吸入量が増えて症状が出ることがあります。気管支喘息の可能性も含めて、小児科または内科で評価をおすすめします。

Q. メロンで口がかゆくなります。アレルギー検査できますか?

可能です。イネ科花粉の特異的IgE+メロンなど食物の特異的IgEを組み合わせて確認します。検査結果と症状を合わせて、生での摂取制限の必要性を判断します。

Q. 舌下免疫療法は受けられますか?

カモガヤを対象とした舌下免疫療法の薬剤があり、保険適用条件を満たせば導入可能です。詳細は当院やアレルギー専門施設にご相談ください。

まとめ

  • イネ科雑草花粉アレルギーは5〜10月と長期間にわたる花粉症
  • 主な原因はカモガヤ・オオアワガエリ・ホソムギなど身近な雑草
  • 飛散距離は短いため、河川敷・公園・草地への接近で症状が出やすい
  • 口腔アレルギー症候群(メロン・スイカ・トマト・キウイ等)に注意
  • 診断は特異的IgE抗体検査で確定
  • 治療は抗ヒスタミン薬・点眼・点鼻ステロイド、難治例には舌下免疫療法も
  • 対策はマスク・草地接近の回避・帰宅時のケア

「春の花粉症は終わったのに、5月以降も鼻炎・目のかゆみが続く」「特定の果物で口がかゆくなる」「河川敷を走ると毎年体調が悪い」——こうしたパターンの方は、イネ科雑草花粉も視野に入れた評価をおすすめします。お気軽にご相談ください。

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