健診でクレアチニン・eGFRが引っかかった——腎臓の数字の読み方と、筋肉量で変わる落とし穴を内科医が解説
健診の腎機能の欄にある「クレアチニン」と「eGFR」。「eGFRが60を切ると慢性腎臓病」と聞いて驚かれる方も多いのですが、この数字には筋肉量という大きな落とし穴があります。数字の読み方と、本当に腎臓を心配すべき場合を整理します。
クレアチニンとeGFRの関係
クレアチニンは筋肉から出る老廃物で、腎臓でろ過されて尿に捨てられます。腎臓の働きが落ちると血液中にたまるので、腎機能の指標になります。ただし、クレアチニンは筋肉量に比例するため、筋肉の多い人は腎臓が正常でも高めに、筋肉の少ない高齢の方や痩せた女性は腎臓が悪くても低めに出ます。
そこで、クレアチニンに年齢と性別を加味して「腎臓が1分間にどれだけ血液をろ過できるか」を推定したのがeGFR(推算糸球体ろ過量)です。90以上が正常、60〜89が軽度低下、60未満が3か月以上続く(または蛋白尿がある)と慢性腎臓病(CKD)と定義されます。
落とし穴——筋肉量と一時的な変動
- 筋トレをしている・体格が大きい——クレアチニンが高めに出てeGFRが低く計算されます。実際の腎機能は正常のことがあります
- 高齢・痩せ型・筋肉が少ない——逆に腎機能が落ちていてもeGFRが良く見えることがあります
- 脱水・激しい運動の直後・プロテインや肉の大量摂取——一時的にクレアチニンが上がります。健診前日の運動と脱水は避けてください
- 一部の薬(胃薬のシメチジン、抗菌薬のST合剤など)はクレアチニンを上げます
こうした影響を除きたいときは、筋肉量に左右されないシスタチンCという別の血液検査でeGFRを推算できます(保険で測定可)。
本当に腎臓を心配すべき場合
- eGFRが60未満で、尿蛋白も陽性(腎臓の傷みが進んでいるサイン)
- eGFRが年々下がっている(年に5以上の低下は要注意)
- eGFRが45未満
- 糖尿病・高血圧があり、eGFRが低下傾向
- むくみ・尿量の変化・夜間頻尿・血尿を伴う
内科で行うこと
尿検査(蛋白の定量・潜血)、血液検査の再検(必要ならシスタチンC)、血圧・血糖・脂質の確認、腎臓のエコー。腎機能低下の最大の原因は糖尿病と高血圧なので、これらの管理が腎臓を守ることに直結します。塩分を控える、鎮痛薬の常用を避ける、脱水を防ぐ——日常でできることも大切です。eGFRが低い場合は、腎臓の専門医との連携を検討します。
参考文献
- 日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」
- 日本腎臓学会 一般向け情報「CKD(慢性腎臓病)」
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