しもやけ(凍瘡)——寒暖差で起こる仕組み、家庭での予防と手当て、レイノー現象や膠原病を疑うサイン、受診の目安を内科医が解説
朝晩の冷え込みが強まるこれからの季節、手足の指や耳たぶが赤く腫れて、むずむずとかゆくなることはありませんか。いわゆる「しもやけ」で、医学的には凍瘡(とうそう)と呼びます。しもやけは、寒さそのものだけでなく、1日の気温の差や湿り気が重なって起こりやすくなります。また、しもやけによく似た見た目の陰に、別の病気が隠れていることもあります。
この記事では、しもやけが起こる仕組み、家庭でできる予防と手当て、しもやけに似た別の病気を疑うサイン、そして受診の目安をまとめます。
しもやけ(凍瘡)とはどんな状態か
凍瘡(しもやけ)は、寒さにさらされることで、手足の先や耳たぶなどに起こる局所的な炎症です。赤み、かゆみ、痛みを伴い、ときには皮膚が破れて汁が出ることもあります。
皮膚科の教科書では、次のような特徴が挙げられています。
- 出やすい場所は、寒さにさらされやすい手足の指先、耳たぶ、鼻の先です。ときに頬、ひざ、前腕にも出ます
- 指全体が紫がかった色にぱんぱんに腫れる型(樽柿型)と、小さな赤い斑点がいくつも出る型(多形紅斑型)があり、その中間の型もあります
- 温まると、かゆみが強くなります
- 晩秋から初冬、または早春に出やすくなります
- かつては学童期に多いとされていましたが、中年以降の方や高齢の方に出ることもあります
しもやけは、暖かい季節になると自然に治まることが多いものです。教科書では、通常は1〜3週間で治るとされています。ただし、重い場合には水ぶくれ(水疱)やただれ、潰瘍(皮膚が深くえぐれた傷)ができることもあります。
なぜ寒い時期に起こるのか——温度差と湿り気
しもやけは、寒さを繰り返し受けることで手足の先の細い血管が縮み、そのあとに血液が滞る(うっ血する)ことで起こる炎症と考えられています。血の巡りや汗のかきやすさといった体の素因に、寒さや湿り気といった環境の要因が加わって、局所の血行障害が起こります。詳しい仕組みには、まだはっきりしていない部分もあります。
意外に思われるかもしれませんが、しもやけは真冬の厳しい寒さの時期よりも、冬の始めや終わりに多くみられます。皮膚科の教科書では、気温が4〜5℃で、1日の気温の差が10℃ほどある時期に頻発するとされています。暖かい地域でも起こります。
また、起こるかどうかには、気温だけでなく、汗による湿り気や生まれつきの体質も大きく関わっています。同じ環境で過ごしていても、しもやけになりやすい人とそうでない人がいるのはこのためです。
なお、しもやけは、極端な寒さにさらされて誰にでも起こる「凍傷」とは別のものです。しもやけは、冬の日常生活の中の5〜10℃程度の比較的低い温度で起こります。
家庭でできる予防と手当て
しもやけの予防と手当ての基本は、「冷やさない」「湿らせたままにしない」「血の巡りを助ける」の3つです。皮膚科の教科書でも、寒さと湿り気を避けること、局所の保温、マッサージが挙げられています。
- 冷やさない:手袋、厚手の靴下、耳まで覆う帽子などで、手足の先や耳を寒さから守りましょう
- 湿らせたままにしない:汗で湿った靴下や手袋、水仕事のあとの手は、そのままにせず、よく拭いて乾かしましょう。汗による湿り気は、しもやけの要因の一つです
- 血の巡りを助ける:指先や足先をやさしくマッサージしましょう
温まるとかゆみが強くなるのが、しもやけの特徴です。入浴後や布団に入ったあとにかゆくなっても、かきこわさないように気をつけましょう。
医療機関では、ビタミンEを含む塗り薬、炎症を抑える塗り薬(ステロイド外用薬)、血の巡りを良くする飲み薬などが使われます。腫れやかゆみ、痛みが強い場合は、医療機関にご相談ください。
しもやけに似た別の病気——レイノー現象と膠原病
しもやけによく似た発疹の陰に、別の病気が隠れていることがあります。皮膚科の教科書では、暖かくなっても良くならないときは、全身性エリテマトーデスなどを疑って検査するとされています。見分けるべき病気として、エリテマトーデスが挙げられています。
全身性エリテマトーデス(SLE)
全身性エリテマトーデスは、膠原病(こうげんびょう)の一つで、指定難病です。日本皮膚科学会は、寒さの刺激で手指が白く冷たくなるレイノー現象や、しもやけのような赤い発疹が出ることがあると説明しています。ほかに、次のような症状がみられます。
- だるさ、疲れやすさ、発熱が先に出ることが多い
- 筋肉痛や関節痛。手指の関節が痛むことが多い
- 両頬に、蝶が羽を広げたような形の赤い発疹(蝶形紅斑)
- 日光に当たった部分の赤みや水ぶくれ(日光過敏)、髪の抜け毛
レイノー現象
レイノー現象(レイノー症状)は、冷たい物に触ったり冷たい外気にさらされたりしたときに、指の血管が縮んで血流が落ち、手指が突然、白や紫に変わる症状です。温めると元に戻りますが、手全体が真っ赤になった状態が続くこともあります。赤く腫れてかゆみが続くしもやけとは、色の変わり方が異なります。
レイノー症状は、健康な人でも数パーセントにみられるとされています。一方で、全身性強皮症(皮膚が硬くなる膠原病)では、患者さんの80%以上がレイノー症状で始まります。全身性強皮症以外の膠原病でも起こります。次のような変化を伴うときは注意が必要です。
- 指先に潰瘍(傷)ができる。指先の血流が極端に落ちると起こります
- 爪の根元のあま皮に、黒い小さな点状の出血がみえる
- 手指がむくむ、腫れる、だんだん皮膚が硬くなる
- 朝起きたときに手指がこわばる
このほか、ごくまれですが、幼い頃に手足のしもやけのような発疹で始まる「中條・西村症候群」という指定難病もあります。
受診の目安
しもやけの多くは、保温などの手当てと暖かい季節の訪れで治まります。ただし、次のような場合は、しもやけ以外の病気の可能性や、治療が必要な状態の可能性があります。皮膚科や内科でご相談ください。
- 暖かくなっても良くならない
- 水ぶくれ、ただれ、潰瘍ができた
- 発熱、だるさ、関節痛や筋肉痛を伴う
- 頬の赤い発疹、日光に当たったあとの赤みや水ぶくれ、抜け毛がある
- 冷えると指が白や紫に変わる
- 指先に傷ができた、爪の根元に黒い点がある、指がむくむ・こわばる・硬くなる
しもやけだと思って様子をみていた症状が、ほかの病気の手がかりになることもあります。気になる症状が続くときは、早めにご相談ください。
参考文献
- 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 膠原病と類縁疾患」(全身性強皮症 Q8・Q10、全身性エリテマトーデス Q1)
- 難病情報センター「全身性エリテマトーデス(SLE)(指定難病49)」(令和6年4月情報更新)
- 難病情報センター「中條・西村症候群(指定難病268)」(令和7年12月情報更新)
- 寺澤捷年「凍瘡(しもやけ)の発現機序に関する一考察」(日本東洋医学雑誌 第67巻第4号・2016年)
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