胸の痛みで救急に行くべきサイン——心筋梗塞・大動脈解離・肺塞栓と、心配の少ない胸痛の見分け方を内科医が解説
胸の痛みは、内科の症状の中で最も「軽く見てはいけない」ものの一つです。一方で、実際に来院される胸痛の多くは心配のいらないものでもあります。この記事では、救急に行くべき胸痛の特徴を先に、その後で心配の少ない胸痛の見分け方を整理します。
今すぐ救急要請すべき胸痛
- 締めつけられる・圧迫される痛みが数分以上続く、冷や汗・吐き気・左腕や顎への放散を伴う——心筋梗塞の典型です。安静にしても治まらないなら迷わず119番
- 引き裂かれるような激痛が突然、背中まで抜ける——大動脈解離。血圧が高い方、突然の発症が特徴
- 突然の胸痛+息苦しさ——肺塞栓(長時間の同じ姿勢のあと)や気胸(若い痩せ型の男性に多い)
- 胸痛に、意識が遠のく・脈が乱れる・呼吸困難を伴う
共通するのは「突然」「これまでにない強さ」「安静で治まらない」「他の症状を伴う」です。この4つのどれかがあれば、様子を見ずに救急へ。
受診はしたほうがよいが、救急ではない胸痛
- 労作時の胸の圧迫感が数分で治まる——狭心症の可能性。今は治まっていても、早めに循環器の評価が必要です
- 動悸を伴う胸の違和感が繰り返す——不整脈の評価を
- 食後や横になると出る胸やけのような痛み——逆流性食道炎
- 咳・発熱を伴う胸痛——肺炎や胸膜炎
心配の少ないことが多い胸痛
- 押すと痛い、体をひねると痛い、一点を指させる——肋間神経痛、筋肉や肋軟骨の炎症(肋軟骨炎)。心臓の痛みは通常、押しても変わらず、場所もぼんやりしています
- 数秒でチクッと刺すような痛みが単発で出る
- 不安や緊張のときに出て、深呼吸で楽になる
ただし「押すと痛いから大丈夫」と自己判断で済ませるのは、持病(糖尿病・高血圧・脂質異常・喫煙)のある方、中高年の方にはおすすめしません。心電図と血液検査(心筋のダメージを示すトロポニン)で、その場で大きな病気を除外できることが多いからです。
受診したら何をするか
痛みの性状・持続時間・誘因・随伴症状を伺い、心電図、必要に応じて血液検査、胸部レントゲンを行います。狭心症が疑われる場合は、循環器専門の医療機関で運動負荷検査や冠動脈の評価に進みます。「胸が痛かったが今は治まっている」という受診は、決して大げさではありません。
参考文献
- 日本循環器学会「急性冠症候群ガイドライン」
- 日本循環器学会 一般向け情報「胸痛」
ひろつ内科クリニック受診予約はこちらから